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 無菌培養に必要な機材

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はじめに

 ここでは無菌培養に、どの様な機材、設備が必要かということを紹介してみます。
 ここで紹介するものは私の例であって、これでなくてはならないという意味ではありません。
 方法は色々あり、それによって設備、機材も変わってきます。
 ここでの対象は富貴蘭ですが、着生蘭であれば応用は可能かと思います。

 無菌培養に関して私は初心者であるので、技術的な詳細は書籍等で研究してください。
 インターネット上で無菌培養を解説しているサイトもあります。
 ベテランの方に指導してもらうのが早道です。(私の場合、近所に専門家がいました。)
 いきなり上手にはなりません。
 失敗を繰り返しながら徐々に上達すると思われます。(私は未だに下手です。)

 尚、無菌培養に関してはメインメニューの
     栽培のヒント > 栽培と増殖 >
 にも記述があるので、参考にしてください。


大物機材

室内温室 クリーンベンチ 圧力釜
室内温室クリーンベンチ圧力釜

 まず、四畳半ほどのスペースが必要です。
 室内温室とクリーンベンチを置くスペースです
 本格的に取り組んでいる人は、エアコンを設置して、真夏、真冬の休眠期も成長させようとしています。

 ボトルを保管する為に室内温室があると便利です。
 私の場合、エアコンは設置してないですが、250Wのヒーターで冬の保温だけ、しています。
 上部には植物育成用の蛍光灯を付けて、タイマーで6時〜18時まで点灯しています。

 クリーンベンチは、種蒔きや移植の時に使用する無菌箱です。
 これが無いと培地にカビを生やしてしまいます。
 10万円以下からあります。
 理化学機材を扱う店や通信販売で購入します。

 圧力釜は培地を滅菌するために使用します。
 バイオ用の滅菌装置は高価である為、家庭用の圧力釜で代用する訳です。
 代用品といっても、結構、高価で、写真のものは定価5万円を4万円にしてもらいました。


栽培容器

栽培用の容器等 フィルターを貼る 使用例
栽培用の容器等フィルターを貼る使用例

 栽培容器には、いろいろな物があります。
 それによって手順も変わってきます。
 私の場合、耐熱の広口フラスコにシリコンゴムの栓をしています。
 ゴム栓の中央の丸穴にバイオフィルターを貼っています。
 最後に、空気が通る程度に軽くアルミフォイルで覆っています。

 人によっては広口のジャム瓶を使用し、プラスチック蓋に丸穴を開け、フィルターを貼っている人もいます。
 安価で、瓶の口が広いので、作業も、し易いと思います。
 ただし、蓋は使い捨てで、瓶自体も耐熱性でないので、2〜3回の寿命と聞きました。


培地と薬品

培地の材料 薬品等
培地の材料薬品等

 培地の材料は、左から寒天粉末、粉末肥料(ハイポネックス)、活性炭粉末、砂糖です。
 これ以外にも、バナナをミキサーにかけて加えたり、リンゴ果汁を加えたりします。
 培地の例はメインメニューの
     栽培のヒント > 栽培と増殖 > 富貴蘭の培地
 を読んでください。

 薬品の写真で、燃料用アルコールはアルコールランプに使います。(人体に有害ですので絶対に飲まないこと)
 消毒用アルコールは霧吹きに入れたりして、殺菌に使用します。(飲まないほうが良い:焼酎より高価です。)
 水酸化ナトリウムは培地のPHの調整に使います。
 入れすぎたら、レモン汁で戻します。(少しずつ入れて出来るだけオーバーしないように注意します。)
 アルコール類は薬局でも購入できますが、水酸化ナトリウムは理化学機材店で購入します。
 薬品類は個人には売りたがらない傾向がありますので、使用目的を明確に伝えます。
 特にオーム事件の頃は、個人に売らないように通達されていたようです。

 前方にあるのは、PH試験紙です。
 PHメーターも市販されていますが、電極の管理が面倒だったので、これを使っています。
 PH値は生育に影響を及ぼしますが、培地の固さにも影響を与え、作業性が悪くなったりします。
 富貴蘭の培地は弱酸性ですが、酸性が強いと培地が固まらず、中性に近づくと固くなってしまいます。


器具類

秤 器具1 器具2 器具3
器具1器具2器具3

 秤は培地の計量に使います。
 0.1gの分解能があれば、どんな秤でも結構です。

 「器具1」は培地を作る時に使います。
 1リットルのフラスコでボトル12本分の培地を作っています。
 漏斗は培地をボトルに分注するとき使い、ステンレスの網は混ぜたバナナのカスを濾過します。
 スポイトは、PH調整の時に水酸化ナトリウムを注ぐのに使います

 「器具2」のアルコールランプはピンセットの先端等を炎で殺菌します。
 ライターは着火用です。
 ピンセットは移植用で、長い物が必要です。
 有柄針は凵i子房)から種子を、掻き出すのに使用します。
 右端はカッターで、凾切断するのに使います。

 「器具3」のスプレーは中に消毒用のアルコールを入れて吹き付けます。
 左側の箱にはバイオ用のティッシュペーパーが入っています。
 通常のティッシュペーパーでは駄目なのかどうかは判りません。


 これ以外にも、例えば圧力釜を使うときは軍手が必要になります。
 ただし、クリーンベンチの中では絶対に素手で作業してください。
 アルコールをスプレーした後でアルコールランプを使うと手に引火する事があります。
 この時、素手であれば少しヒリヒリする位で済みますが、手袋に引火すると火傷します。
 薄いゴムやビニールの手袋をしたくなるものですが、止めてください。


参考文献

名称著者出版初版
図解ランのバイオ技術加古舜次誠文堂新光社1988年10月
図解ランのふやし方武藤俊夫家の光協会昭和62年1月
自然と野生蘭   新企画出版局1999年12月号

 上記の書籍の写真が「植物関連の書籍」のページにあります。
 これ以外にも、バイオ関連の書籍は、有ると思いますので探してみてください。


補足事項

 洋ランの世界では古くから行われていた無菌培養も、古典園芸に利用されたのは、ごく最近です。
 洋ランの世界では同一個体を量産し、コストを下げて多くの消費者に供給します。
 古典園芸の世界は少数の貴重品が高額で取引されます。
 数が少ないという事が重要な要素であります。
 ここで、金儲けを考える人達が出現しました。
 高価な銘品を実生で量産したり、普及品のセルフ実生を、新品種と偽って高価に売ろうとしました。
 古典園芸の世界では、実生に対して歴史が浅く、免疫がなかった為、業者も騙されました。
 孔雀丸の本芸品が7〜8万円の頃、セルフ実生の青牡丹が数十万円で店頭に並びました。
 最近では問題点も認識され、実生というだけで敬遠される場合も多いです。

 コピーを作らない
 自家受粉を考えてみます。
 自家受粉でも、交配ですので、親と異なる遺伝形質となります。
 実生では覆輪や中透けは遺伝しません。
 一般的な縞の場合、遺伝する確率は、かなり低いです。
 ところが、豆葉、虎斑、散斑では、かなりの確率で遺伝します。
 親に似たものが少量出来、劣ったものが大量に出来ます。  親より劣ったものが、大量に市場にでると、数が増えて、相場が急激に下がります。
 二級品が出回ると、品種としての評価がさがり、人々の栽培意欲がなくなります。

 セルフは親とは別種
 繰り返しになりますが、セルフ(自家受粉)苗と親とは厳密に考えたら別種です。
 親では隠れていた劣性遺伝子が表面に現れる危険性もあり、自然界では一般的に自家受粉を避ける仕組みがあります。
 他の園芸植物で同一形質の植物を大量生産する場合は、成長点培養(メリクロン)等の栄養繁殖が行われます。
 富貴蘭のように実生で出来た大量の一代雑種を選別もせず、親の名前、又は適当な名前を付け、売り切ってしまうのは 滅茶苦茶です。
 複数の人が多量に苗を作っても、富貴蘭の底辺は、それ程広くないので、供給過多になり、すぐに相場が下がり、 「一山いくら」でも売れなくなります。

 実生の意義
 いろいろ弊害があっても実生は必要です。
 古典園芸と言えども、新しい品種が出現しないと衰退してしまいます。
 今後、自然界から新しい品種が供給される事は少ないと思いますが、実生には可能性があります。
 今までに無い品種を作りたいという意欲のある人はチャレンジしてみてください。
 ただし、偶然性に依存する部分も大きいので、金儲けにはなりません。

 特徴の無い物は捨てる
 一本の種子からは、沢山の苗が発芽します。
 捨てると言うと残酷ですが、沢山の苗を全部、親にする事は物理的に無理があります。
 どのみち、捨てるのですから、残す数を少量にした方が管理が楽です。
 他の園芸でも、野菜でも、林業でも、間引きという作業が存在します。

 親になってから評価する
 苗の時の芸は、大きくなるに従い変化します。
 中には芸が消えてしまう場合もあります。
 実生苗が高額で流通する事は問題があります。

 親になるまでの年数
 斑のない花物等は早いものでは、蒔いてから4年〜5年くらいで開花します。
 豆葉品種は、なかなか大きくなりません。
 品種によって異なりますが、全く大きくならないものも有ります。
 小さいうちから派手で綺麗な縞も大きくなりません。

 苗の時は豆葉に見える
 苗の時は葉の長さが短くて豆葉に見える場合があります。
 豆葉の縞といっても苗のうちは信用出来ません。

 水を多めに管理する
 親と同じ様に乾き気味に管理すると萎縮してしまいます。
 少し暗目の場所で水を多めにします。




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