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 棚を作る


棚の製作目的

 温室内で使用していた棚も15年以上経過して傷んできました。
 当時の作り方が悪かった事も原因の一つですが、この点に関しては後で補足します。
 温室内には6つの棚があり、痛みの大きいもの、あまり傷んでいない物等、様々ですが、思い切って全部、更新しました。
 棚の製作方法はいろいろあるとは思いますが、前回同様、矢崎化工のイレクターパイプを使用したものとしました。
 この方法が、素人には最も簡単だと思います。
 今回の棚は温室内で使う事、鉢掛けを取り付けて使用するため構造が非常に簡単ですが、工夫すれば屋外用の屋根付きの物等が 製作可能です。
 実際に私も温室を建てる前には屋根付き、扉開閉式の棚をイレクターパイプで製作して使用していました。
 この頁は私自身の製作メモですが、棚の製作を考えている人の参考になれば幸いです。


棚の形状

棚の形状

 図が今回製作した棚で、上図の2段のものを2つ、下図の3段の棚を4つ作りました。
 ただし、3段の棚の内、1つは幅1000mm+2αと若干、小さいものになっています。
 これは、私の温室内のレイアウト上の都合によります。
 奥行きは全て500mm+2αとなっています。
 尚、寸法でαと表示しているのはジョイント部品で加算される寸法でα=37mmです。
 中段、下段の棚は任意の高さに固定します。
 他の頁でアップ済みの温室内の写真は、古い棚が写っているものがあり、構造が多少、違っているものがあるで 了承願います。
 今回製作した棚の寸法は一例ですので、この通りに作る必要はありません。

パイプの長さと外形寸法 パイプの長さと外形寸法


棚の寸法

 寸法の取り方は外形を基準にしたり、パイプの中心を基準にした場合、パイプの寸法に端数が出るので材料取り が大変になります。
 そこで、パイプの寸法を基準にします。
 この場合はジョイント部品の寸法が加算されるので、外形寸法に端数が出ますが、植物を載せる棚ですので問題ありません。
 材料として各種の寸法のパイプを多数、用意しなければなりませんが、簡単で間違いが少なくなります。
 まず、奥行きの寸法ですが、これは鉢掛けの長辺の寸法より、若干、小さくします。
 大きいと鉢掛けが載らず、小さすぎると棚が倒れやすくなります。
 売られている鉢掛けの長辺の寸法は630mm程度ですので奥行きの外形寸法は600mm程度が適当です。
 両端のジョイント部品で加算される寸法74mmを引くとパイプの寸法は526mmとなりますが、材料取りを考慮して 500mmとしました。
 尚、販売されている切断済みパイプで450mmのものがありますが、若干、小さいので長尺パイプを切断して500mm パイプを作りました。
 具体的には2000mmのパイプから1500mmの横パイプと500mmのパイプを切り出しました。
 横幅は1500mm+2αとしましたが、これ以上にすると強度的にも取り扱い上も問題があると感じます。
 1500という値は材料取りの都合ですが、5個×2列の鉢掛けが5個並ぶ寸法でもあります。
 3段の棚の内1台だけレイアウトの関係で幅1000+2αで製作しました。
 次に高さ方向ですが、3段の棚が1200+αとなっているのは1200mmのパイプが定尺として売られていた為です。
 2段の棚の高さ750mm+αは1500mmのパイプを2等分します。
 出来るだけパイプの切断余りが出ないように工夫します。


イレクターパイプ

 イレクターパイプは矢崎化工が販売しているDIY材料で、ホームセンターで容易に入手出来ます。
 もっと太くて頑丈なシリーズもありますが、温室内の鉢程度の軽い負荷では一般的なφ28シリーズで十分です。
 大型盆栽の棚などでは、もっと太いパイプをメタルジョイントで組んだものも見かけます。
 φ28シリーズのパイプは色々な長さに切断されて販売されています。
 これら定尺以外の寸法は自分で切断する必要があります。
 色はグレー、アイボリー、グリーン、ブラック等がありますが、グレーとアイボリーが一般的です。
 接続用のパーツも色々ありますが、特定の色しかないものもあります。
 詳しくは矢崎化工のホームページを見てください。
 キーワードに”DIY−LIFE”と入力して検索すればトップに出てきます。
 パーツ一覧とか寸法の出し方とか便利なページが開けます。


必要な材料

パイプ パイプ

 こんな簡単な棚でもパイプは結構の量が必要です。
 例えば幅1500mm+2α、3段の棚では1台あたり以下のパイプが必要です。
 2000mmのパイプ6本を切断し、1500mmのパイプ6本と500mm6本を作り、横パイプとします。
 1200mmのパイプ4本を縦パイプとします。
 1200mmのパイプは定尺として販売されていました。


J−4 J−4

 最上段の棚に使用し、パイプを接続するためのパーツでJ−4の名称で販売されています。
 棚1台につき4個必要です。


J−12C J−12C

 中段と下段の棚に使用します。
 2段の棚では4個、3段の棚では8個、必要になります。


J−110A J−110A

 足の部分は切り口となっていますので蓋をします。
 切り口のままだと腐食が早いです。
 棚1台で4個必要です。



材料以外に必要なもの

パイプカッター パイプカッター

 パイプを切断する場合、金鋸等では綺麗に切れません。
 簡単に切断出来る専用のパイプカッターが発売されています。
 ただし、4千円近くしました。


接着剤と注入器 接着剤と注入器

 専用の接着剤が販売されていますので購入します。
 接着剤の注入器が付属しています。
 今回、棚6台を製作したのですが、100ccの接着剤1本では足りませんでした。
 接合部から水が侵入しないように、たっぷり使います。

 その他、寸法を測る巻き尺、位置を出す為の木ハンマー、仮固定の為の布テープが必要です。
 また、パイプカッターで切断した切り口は少し盛り上がるので、平ヤスリで少し面取りをすれば、接続部品の穴に差し込むとき 楽に入ります。



組み立ての手順

上段の棚を作る 上段の棚を作る

 まず平らな面の上で上段の棚を組みます。
 幅と奥行きの寸法が正しいか十分チェックし、接着剤を接合部に注入します。
 パイプの長さ+74mmが外形寸法となります。
 上下逆さに置かれていることになります。


中段、下段の棚を作る 中段、下段の棚を作る

 次に中段、下段の棚を作ります。
 2段の棚の場合は1組、3段の場合は2組作ります。


縦パイプを取り付け 縦パイプを取り付け

 上段の棚に縦パイプを差し込みます。
 接着は、まだしないでおきます。


棚の完成 棚の完成

 縦パイプに中段、下段の棚を通します。
 木ハンマーで棚の位置を調整し、布テープで仮止めし、接合部に接着剤を注入します。
 最後に足の部分にキャップをはめ、接着します。
 接着剤が固まったら、ひっくり返して完成です。



完成した棚

完成した棚 完成した棚(横幅1000+2αのもの)

別の角度から見たもの 別の角度から見たもの

鉢掛けを置いてみる 鉢掛けを置いてみる
 実際にはアルミ針金等でパイプと鉢掛けを固定

実際に使用してみる 実際に使用してみる

 作った棚を早速、使用してみました。
 こちらは幅が1500mm+2αのもので、上段には少ししか鉢掛けが載っていません。
 中段の棚がメインです。


鉢の収容数

 3.5号の富貴蘭鉢を10鉢(5個×2列)収容する鉢掛けが1500mm+2αの棚で1段あたり5個置けます。
 3段フルに実装した場合、150鉢が収容出来ることになります。
 横幅1000+2αのものでは1段あたり5個×2列の鉢掛けが3個、5個×1列のものが1個置けます。
 3段フルに実装した場合、105鉢が収容出来る事になります。


耐用年数

破損例1 破損例1

破損例2 破損例2

破損例3 破損例3

 イレクターパイプは丈夫ですが、長年の使用で内部に錆が入ると金属が膨張し外皮の樹脂が割れ、さらに錆が進行します。
 破損例1は軽度のもので、このままでも、まだ何年かは使用出来ます。
 破損例2は重傷ですが、錆止めを吹き付けアルミテープを巻いて補強すれば、まだ何年か使えると思います。
 この状態になるまで15年以上は経過していると思います。
 写真から判るように、殆どの場合、錆は接合部から発生しています。
 接着剤が不足し、内部に水が侵入した可能性があります。
 接着剤を多目に注入し、接合部を完全にシールすれば、もっと長持ちするのでないかと期待します。


ナメクジ対策

ナメクジ除け ナメクジ除け1

ナメクジ除け ナメクジ除け2

 棚を更新したのは良いのですがナメクジ対策を忘れた為、被害が発生しました。
 夜中に見張って犯人を特定したわけでは無いですが、ナメクジが最も怪しいと考えています。
 セッコク、黄花セッコクの新芽の食害、富貴蘭の根先、深山ムギランの葉、イワオモダカの新芽が被害を受けました。
 早速、米糠とランネートの混合物を捲き、駆除しました。
 今回の被害は棚の上部での被害が多く、ナメクジの行動力に脅威を感じました。
 ナメクジは駆除しても直ぐに発生するので、とにかく棚の上部に登れないようにしました。
 ナメクジは銅を嫌うというので棚(パイプ)の最下部に薄い銅板を巻き付けました。(ナメクジ除け1)
 パイプの途中にはアルミテープと銅テープを並べて巻き付けました。
 ナメクジが下から登ってアルミテープを越えて銅テープに触れた時、電圧が発生するのではないかと考えました。
 綺麗に洗った10円玉と1円玉を舌の上に乗せると電気を味覚として感じるという子供の頃の遊びを思い出しました。
 ただし、この件は私の思いつきであり、効果を保証するものではありません。
 今年の夏(2013年7月)実施したばかりで、評価はされていません。
 棚1つで、ナメクジ除け1も2も4個所ずつ取り付けることになり、棚6つでは24個所ずつとなります。
 棚の製作時なら簡単な作業ですが、棚の設置後に後付で作業した為、重労働となりました。


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