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 富貴蘭 その他の植え方

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 富貴蘭は伝統的な「空洞植え」が用いられますが、他の植え方でも楽しむことが出来ます。
 植え方を変えれば、単調になりがちな栽培棚の風景にも変化を与え、今までと違った楽しみ方を味わうことが出来ます。
 又、裾物等、安い品種でも、鑑賞価値を高める工夫が出来ます。
 ボウラン、ナゴラン等、他の着生蘭でも応用が可能だと思います。
 ただ、書かれた内容は、私の実験的な試みですので、結果の保証をすることは出来ません。

(1)御城覆輪


 御城覆輪砂植


砂植え

(1)三重県産豆葉 (2)開花 (3)富岳系実生 (4)御城覆輪 (5)山採り青
(1)三重県産豆葉(2)開花(3)富岳系実生(4)御城覆輪(5)山採り青

藤娘 無銘チャボ 実生苗 山採緑花 紅花交配種
(6)藤娘(7)無銘チャボ(8)実生苗(9)山採緑花(10)紅花交配種

金光星 豆金剛 駿河天山 立司殿 紀州雪虎
(11)金光星(12)豆金剛(13)駿河天山(14)立司殿 (15)紀州雪虎

南国の舞 春及殿 山採りチャボ 朝日殿 蜃気楼
(16)南国の舞(17)春及殿(18)山採りチャボ(19)朝日殿 (20)蜃気楼

なぜ砂植えか
 何年か前からフウランの砂植えの実験を行っています。
 きっかけは、富貴蘭の相場が下がったのに、水苔は、むしろ高くなり、植え込み材料のコスト比率が上がった事と、 毎年の植え替えを3〜4年に1回で済ませたいと考えた事にあります。
 ただし、全部を砂植えに切り替えるつもりは無く、裾物等の安い品種に限定し、植え込み材料のコスト比率を下げるのが 目的です。

用土
 安価な軽石砂を使用しました。
 注意点として、大粒を使用しないと駄目という事があります。
 小粒、中粒では根が中に入っていきません。(最初、失敗しました)
 ゴロ土程度の大粒であれば、粒と粒の隙間に根が伸びて いきます。
 空中に伸びた根は石と石の隙間に誘引してやります。
 成長の止まった休眠期に行えば根を傷めないで済みます。
 水やりの回数を減らしたい、又は乾きすぎて管理が大変な場合は椰子殻チップ(アク抜き済みのもの)を混入したり、 用土の表面を水苔で覆う(マルチング)のも手です。
 (追補)
 その後、実生苗とか、極小型の品種でも砂植えに挑戦しています。
 この場合は細かな砂を使用しています。
 要は、根の太さで砂の粒の大きさを変えるという事です。


 素焼き鉢では乾きすぎるので、駄温鉢を使っています。
 実験に用いたフウランは小型の株ですので、大きさは3号です。
 もっと、大きな株であれば、もう少し大きな鉢が必要になると思います。
 ただ、駄温鉢は見た目が悪いので、山草用の焼き締め鉢等を使えば、鑑賞価値が上がると思います。
 万年青鉢等、深さのある楽鉢でも良いかもしれません。
 (追補)
 その後、大型の株や株立ちを、やや大きな鉢に植える試みに挑戦しています。
 この場合は素焼き鉢も使用しています。

管理
 灌水は楽鉢に水苔植えの富貴蘭と同じです。
 たっぷり、水を掛けても、さっと水が抜け、過湿を気にしないで済むので、管理はむしろ楽です。
 初心者は水を与えすぎる傾向がありますが水を与えすぎて根を傷める可能性は減ります。
 反面、最初に植え付けした直後は、乾き過ぎないように、多少、注意が必要です。
 施肥に関しては、砂植えの場合、発酵油粕の玉を置けるのが利点です。
 十分発酵したものであれば、直接、根の近くに置いても根痛みは、ありませんでした。
 大粒の砂に何年も植える関係で、どうしても施肥は必要と考えています。
 置き場所は普通の水苔植えの鉢と同じ場所で構いません。
 ただし、若干、重いことと、施肥をしているので、排水を下の鉢に当てないように、最下段に置いてあります。

生育
 水苔植えより生育は若干遅い感じはしますが、その分、締まって出来るような気がします。
 水苔植の場合、条件が整うと急激に成長する場合がありますが、逆に根痛み等で、急激に作落ちすることがあります。
 砂植の場合、根痛みは無い様です。
 急激な成長は望めませんが、ゆっくり着実に成長しますので、コンパクトに育ちます。

植え替え
 写真の鉢で、3年目ですが、4〜5年は大丈夫のような気がします。
 長期的なデータは取れていません。

写真の説明
 写真(1)、(2)の株は三重県で「山採り豆葉」として購入したもので、3号の駄温鉢に植わっています。
 たいした特徴もない平凡な個体ですが(だから、実験台にされた)、コンパクトに育って、いい感じになっています。
 もう少し芽数が増え、良い鉢に植わっていれば、鑑賞価値があると思います。
 (3)は富岳と宝船の交配実生で、派手柄です。
 あまり、成長していませんが、芽当たりが1つ出来ました。
 苗のうちから派手な個体は、水苔植でも成長が遅いので、砂植えが大きく劣るとは言えません。
 成長は遅いものの、状態は悪く無いと思います。
 派手な斑入りが砂植えに耐えるかどうかの実験でしたが、立派に耐えています。
 (4)はヘゴに付いていた御城覆輪ですが、長年のヘゴ付けで軸が伸び、ヘゴから浮き上がってきた為、外して砂植えに しました。
 大きな木ですので、3.5号の素焼き鉢に植えました。
 数年間、植え替えをサボっても良いように、深めに植えました。
 軸が伸びたら、砂を足すつもりです。
 (5)は山採りの青ですが、葉姿に少し特徴が有ります。
 庭木に付けていたのですが、剥がれて落ちていたので、砂植えにしました。
 千切れて根の状態が悪かった為、暫く鉢で作り、回復したら再び、木に付ける予定です。
 (6)はフジイランとの交配種「藤娘」です。
 根が細いので、やや細かい砂を使用し、水持ちを良くするために椰子殻チップを混ぜています。
 (7)は、かなり前に三重県の園芸店で求めたチャボです。
 水苔植では調子が出ず、株立ちにならないでバラバラになってしまうので砂植にしました。
 根が細いので、細かめの砂に植えてあります。
 用土に苔が生え、いい感じになってきました。
 (8)は実生苗を直接、砂植えにしたものです。
 1年経過しましたが、生長しているので問題無いと思います。
 この場合、丈夫な「青」の苗ですので良いのですが、斑入り等の弱い苗は、もう少し工夫が必要になるかもしれません。
 根が細いので砂は細かめにし、水持ちを良くします。
 (9)は花色が少し薄いですが山採緑花です。
 3.5号の素焼き鉢に植えていますが調子は上々です。
 (10)は私の交配では無く、かなり前に購入したものです。
 朱天王と猩々の交配種とのことです。
 (11)金光星は2年間植え替えていませんが、根があまり伸びない品種です。
 (12)豆金剛も植え替えて2年経過しました。
 栽培上は、もう少し大丈夫ですが、見た目は植え替えた方が良さそうです。
 (13)駿河天山は丸1年経過しましたが、もう1〜2年植え替えをサボります。
 (14)立司殿は水苔植えの時より詰まって見た目が良くなりました。
 (15)紀州雪虎は植え替え直後のものです。
 (16)南国の舞(17)春及殿は豪華な花を付けるので消耗が大きく、花後に調子を落とすことが多かったのですが砂植に してから葉持ちが良くなりました。
 (18)山採りチャボの株立ちですが水苔植で植えていた時は結構面倒でした。
 (19)親木は派手ですが育っています。
 (20)腰の部分に虎斑の出る品種で本芸が出ると綺麗です。
 花は11月の狂い咲きです。



砂植えの実際

植え替え前
植え替え前

 写真は三重県で山採りされた豆葉ですが、特に特徴があるものではありません。
 空中に伸びた根に節があるので前回に植えてから2年経過していることが判ります。
 もう1年位は植え替えしないで育てられますが、隣りの鉢に根先が入り込んだりすると面倒ですので植え替えます。
 植え替え時期は根が固い成長期は避けます。
 私は11月初旬から12月初め頃に行いますが、根が伸びる前の3月下旬頃が最適ではないかと思います。
 植え替えで、多少、根を傷めても、直ぐに新根が出る季節になる為です。

用土
用土

 用土は軽石砂の大粒を使い、場合により、中粒を混ぜます。
 今回、素焼き鉢ですので保水の為、椰子殻チップを混合します。
 椰子殻チップは通販でLサイズのものを求めたのですが、Lサイズのものは裁断が雑ですのでMサイズの方が良いと 感じました。
 鉢の種類、置き場所、灌水の頻度により椰子殻チップの割合を0〜5割程度に調整します。
 私は富貴蘭に関しては古土(再生用土)を使うので春ランや寒ランの用土の日向土や焼き赤玉土が混じっているのですが 新しい砂の場合は軽石単用で十分です。
 再生用土を使うのは勿体ないからで、裕福な方は常に新しい用土を使ってください。
 尚、春ラン、寒ランには古い土は使っていません。
 椰子殻チップのような有機質のものは古い物を使ってはいけません。

古土の処理
古土の処理

 古い土といっても、そのまま使う訳ではありません。
 洗って育苗トレーに入れて1年間、屋外に置き、雨、天日にさらします。

鉢から抜く
鉢から抜く

 鉢から株を抜きます。
 富貴蘭の根は素焼きの肌には、それ程強く粘着せず、外すのは容易です。

株の掃除
株の掃除

 枯れた葉、枯れた花茎、傷んだ根を取り除き、根の向きを整えます。

鉢を用意
鉢を用意

 鉢は植えてあったものを、そのまま使います。(3.5号素焼き鉢)
 植えて2年間経過した素焼き鉢は、緑藻等で、かなり汚れていますが、そのまま使います。
 汚れを取るには時間が、かなり掛かり、多量の植え替えを行う場合に労働時間が増える為です。
 また、素焼きの鉢は柔らかいので強く擦ると摩耗し、寿命が短くなります。
 それに、せっかく綺麗にしても直ぐに汚れます。
 勿論、新品の鉢を使っても構いません。
 鉢底網を置き、軽石砂の細粒を薄くひきます。
 これで鉢底から根が出る確率が、かなり減ります。

完成
完成

 鉢に根を収め、隙間に用土を詰めます。
 隙間無く用土を詰めるには少し面倒です。
 最後に発酵油粕の小さな粒を3個ぐらい鉢の隅に置き、鉢底から水が流れる位に灌水して完成です。


植え替えを怠ると

山採りチャボ

 写真は頁の上の方で紹介した山採りのチャボです。
 植え替えを怠った為、新根が鉢に張り付いています。
 調子は良いので、まだ何年かは、このまま育てられます。
 ただし新根が空中に伸びるようになると弱るので、いずれは植え換えなければなりません。
 生育の旺盛でない柄物などは毎年、植え替えた方が無難です。


砂植えで再生する

星光殿
星光殿

 星光殿は好きな品種で何鉢か作っていますが、欠点は芸の安定性が悪いと言うことです。
 上柄であっても、突然、青葉を出したりします。
 又、突然、細い小さな葉になり、酷いときには芯止まりになったりします。
 これらの作落ちした株は1株ずつ水苔植にする価値はありませんので、何株かまとめて砂植えにしています。
 2年程度栽培すると比較的高い確率で、芸が復活します。
 写真の3株のうち2株は葉の大きさが戻り、天葉が紺覆輪で出ました。
 水苔植にしても結果は同じだったかもしれませんが、砂植えの方が安価で簡単であり、用土の傷みもありません。
 このまま、もう少し栽培すれば空洞植で鑑賞できるかもしれません。


4年後の姿

富岳系実生
富岳系実生

 冒頭の富岳系実生の写真が2009年10月、上記の写真が2013年10月の日付ですので、4年が経過しました。
 小さかった子も親と同じ大きさになっています。
 派手ですので成長は遅いですが、着実に成長しています。
 その間、1回も植え替えていません。
 これは、派手で、根が伸びなかった為です。
 成長が早い個体は根が外に伸びてしまう場合があります。
 この場合、休眠期の根が柔らかい時期に鉢のなかに誘引します。
 それでも手に負えなくなったら植え替えます。


砂植の鉢が増えた

砂植の棚
砂植の棚

 砂植でも問題無いことが判り、裾物の多くが砂植になりました。
 現在、全体の1/4程度が砂植になっています。
 活着するまで、多少、水やりに注意する必要がありますが、その後は水苔植と同じ管理で良く、水をやりすぎても 根傷みが無いので、取り扱いは楽です。
 ただし、排水が気になるので、今のところ棚の下段のみに置いています。


伸びた根の処理

伸びた根 鉢内に誘引 砂を足す
伸びた根鉢内に誘引砂を足す

 写真は赤花交配種を3.5号の素焼き鉢で1年間、栽培したものです。
 丈夫な品種は根が長く伸びてしまいます。
 もう1年くらい、このまま育てても大丈夫ですが、長い根は取り扱いに不便ですので、根を鉢内に誘引します。
 時期は休眠期に限ります。
 成長期は根が固く、折れてしまいます。
 このままでも良いですが、砂を少し足してやればベターです。
 最初に植え付ける時、成長を見越して、大きめの鉢に少量の砂で植え、砂を足していけば、何年か植え替えしないで 済みます。
 時間のある人は植え直しても結構です。
 砂は洗って天日干しすれば、再利用可能だと思いますが、裕福な方は新しい砂を使えば作業が楽です。


ナゴランを植えてみる

植え替え直後 1年後 3年後 化粧鉢 さらに2年後
植え替え直後1年後3年後化粧鉢さらに2年後

 富貴蘭で成績が良かったのでナゴランも砂植えにしてみました。
 鉢は3.5号の素焼きです。
 3年経過し生育は良好ですが柄が派手になってきたので心配です。
 砂植で派手になった訳では無いと思います。
 化粧鉢に植えても生育は旺盛ですが、さらに派手になってきました。
 植え替えはしていません。

少し良い鉢に植えてみる

欅鉢 開花 開花
欅鉢開花1年後

 水苔植の場合、楽鉢が鑑賞用に使われています。
 歴史の無い砂植えの場合、鑑賞用の鉢が有りません。
 水持ちの関係で、どうしても一回り大きい鉢が必要になります。
 今回は欅鉢に「藤娘」を植えてみました。
 陶器鉢、磁器鉢、焼き締め鉢等、いろいろ試してみると楽しいと思います。
 鉢穴から根が出ると取り扱いが面倒になるので、細かい防虫網を浮き上がらないように設置します。
 水苔の空洞植えの場合、空洞を指で押し広げる為に、網は使えませんが、砂植えでは問題ありません。
 良く生育し、秋に開花しましたが、根が伸びすぎて砂粒を持ち上げているので来年春に植え替えする予定。
 結局、植え替えを怠り、根が更に伸びてしまいました。  生育は良く、芽数も増えましたが、鑑賞的には、そろそろ、もう少し大きめの鉢に植え替えた方が良いと思います。


持ち込めば生育は良い

新湖東 御城覆輪 古代樹 南国 南国1年後
新湖東御城覆輪古代樹南国南国1年後

 この項目の冒頭で「砂植えは水苔植えより若干、生長が遅い。」というような事を書きました。
 水苔植えは植え替えた瞬間に最良のコンディションになります。
 ところが、砂植えは調子が出るまで1年くらいは掛かります。
 この間、生長が遅れるし、灌水も多目にしなければなりません。
 しかしながら、一旦、活着すれば水苔植えより生長が良くなる場合も多いのです。
 写真の新湖東は兄弟株で、砂植えの方は3年位、植えたままです。
 水苔植えの方は毎年、植え替えをしています。
 たまたま、と言えばそれまでですが、生育は砂植えの方が良いような気がします。
 御城覆輪は冒頭で紹介した写真と同じ株ですが、3年半程、経過しています。
 4年以上、植え替えていないことになります。
 無加温の温室で、これだけの葉数を保つのは水苔植えの場合、私の腕では無理です。
 丈夫な品種は砂植えで十分であると言えますが、根出しの悪い高級品種では今のところ試す勇気がありません。
 経済力のある人に試して頂ければ幸いです。
 「古代樹」は富貴蘭>無地葉変わりの頁で紹介した株です。
 生育が芳しくなかったので、砂植えにしたところ、生育が良くなり、紺地も強くなり、芽数も増えました。
 「南国」のような小型で根の細い品種は活着するまで大変ですが根付けば丈夫です。
 砂を、やや小粒にし、水持ち良い鉢に植えます。
 頻繁に植え替えない方が楽です。
 小割りにした「南国」は水苔植でも難しいものです。


植え替えが簡単

鯱甲龍
鯱甲龍

 鯱甲龍のような品種は根も葉も行儀悪く伸びるので株立ちともなると水苔で植えるのは大変です。
 砂植えなら簡単に植える事が出来、3年くらいは植え替えをサボる事が出来ます。


砂植え用の鉢

砂植え用の鉢

 富貴蘭(着生蘭)の砂植え用の鉢は今の所、存在しません。
 従って、数多くの種類がある植木鉢の中で使えそうな物を探して流用しなければなりません。
 上の写真の左後方は3.5号の素焼き鉢です。
 この鉢は廃業した洋蘭農家から無償で大量に入手したものです。
 3.5号の大きさは水苔植えには大きすぎるので、使い道が無く、眠っていたので流用した訳です。
 素焼き鉢に大粒の砂植えでは乾き過ぎるので椰子殻チップや粒状の木炭、硬質鹿沼を用土に混ぜています。
 大きさも使い易く、現在、大量に使用しています。
 一般的に売られている3.5号の素焼き鉢より見た目が良く、底面の直径が小さいので鉢掛けにも入れ易くなっています。
 使用上は一般の3.5号鉢と大差ありません。
 素焼き鉢であれば、もっと大きな鉢に大きな株立ちを植える事も可能だと思います。
 写真の左手前は3号の駄温鉢で水持ちが良く、小さい木には使い易いものです。
 右側手前は釉薬の掛かった瀬戸物の鉢で園芸店に15個程あったので買い占めました。
 柄模様は色々あって値段は1個360円でした。
 ただし、入手の再現性はありません。
 3号の駄温鉢より若干、内容積が大きいので普通の株や2〜3本の株立ちは植えることが出来ます。
 右側後方は側面に通気穴の有るプラ鉢で小型の万年青等に使用されると思われます。
 大きさは3.5号と刻印されていますが上面の内径は3号の駄温鉢と同じです。
 背が高い分、根を納めるには好都合ですが上部の内径は少し小さい気がします。
 最初は砂植えが実験的なものだったので鉢は駄温鉢や素焼き鉢を使用していましたが上手く行ったので、最近は色々な鉢を 試しています。
 水苔植えに比べ砂植えは保水力が劣ることと、盛り上げて植えられないので根を納める為に深めの鉢が必要となります。

(1)陶器鉢 (2)陶器鉢 (3)プラ鉢 (4)焼締め鉢 (5)楽鉢
(1)陶器鉢(2)陶器鉢(3)プラ鉢(4)焼締め鉢(5)楽鉢

 上の写真は全て植え込んで間もない物です。
 9月初旬の根が硬い時期に植えましたが、本来は根の柔らかい休眠期に植えるべきです。
 一応、夏に根先が止まったもので、根先が動いている株は植え替えしないほうが良いです。
 (1)の陶器鉢は先ほど紹介した15個口の一つです。
 柄(絵付け)は色々ありますが、安物ですので、趣には欠けます。
 木は大分前に金兜と朝日殿の交配種ということで購入したものです。
 (2)も同じ陶器鉢ですが柄が違います。
 木は紅牡丹で小型ですので、鉢が少し大きく感じます。
 根の柔らかい休眠期であれば、もう少し小型の鉢に納めることが出来ると思います。
 (3)のプラ鉢には大聖海を植えましたが見た目は良くありません。
 (4)は焼締め鉢で木は静岡産の針葉です。
 鉢の高さが大きすぎました。
 (5)は黒楽鉢ですが、ウチョウラン等に使うものと思われます。
 木は富嶽系の実生品種です。
 以上、植え付けて間もないのですが、少なくとも1〜2年の栽培には支障が無いと思います。

砂植コレクション

古代樹 藤娘 実生縞 青軸富岳 鍾馗
古代樹藤娘実生縞青軸富岳鍾馗

緑宝実生 湖東覆輪 友禅錦 織姫覆輪 白麗
緑宝実生湖東覆輪友禅錦織姫覆輪白麗

幽仙 実生散斑 富士覆輪 静岡産針葉 高千穂縞
幽仙実生散斑富士覆輪静岡産針葉高千穂縞

翡翠 宝覆輪 銀世界
翡翠宝覆輪銀世界


富貴蘭以外の蘭

 ここでは富貴蘭を砂植えで栽培する試みを紹介していますが成績が良かったので他の蘭も砂植えにしてみました。

牡丹獅子 三冠王 キバナセッコク キンギアナム 瑞光
牡丹獅子三冠王キバナセッコクキンギアナム瑞光

オンシジウム オンシジウム ボウラン フウラン×ボウラン ナゴラン
オンシジウムオンシジウムボウランフウラン×ボウランナゴラン

 牡丹獅子は長生蘭、三冠王はセッコクとキバナセッコクとの交配種です。
 キバナセッコクは散り斑縞のものです。
 瑞光はミヤマムギランの三光中斑です。
 オンシジュウムは黄爪覆輪と白覆輪です。
 ボウランは青軸素芯のものです。
 フウランとボウランは私自身の交配です。
 ナゴランは既に紹介していますが、これは別の個体です。

愛鷹産黄花 日輪 瑞光
愛鷹産黄花日輪瑞光

 愛鷹産セッコクは既に別の頁で紹介しています。
 ミヤマムギラン「日輪」は丈夫な品種ですので砂植でも作上がりしています。
 ミヤマムギラン「瑞光」は生育が良くなかったので植え直して様子をみています。
 水苔植えでも調子の悪い鉢があるので砂植が悪いとは言い切れません。

 セッコク
 セッコクは既に一般的に砂植が用いられています。
 生育は水苔植えに劣るとは思えません。
 ただ派手な品種の小苗は水苔植の方が安全です。
 根が傷んで少ない個体も水苔植えの方が安全です。
 根が少ない株を砂植すると株がぐらつき活着が悪くなるので支柱が必要です。
 根が細いのでフウランよりは細かい砂を使います。
 椰子殻チップや木炭の粒を混ぜると保水性が良くなります。
 水苔植えでは植え替えの時、根を切りやすいのですが砂植は植え替えが楽です。

 キバナセッコク
 セッコクと殆ど同じです。
 茎が長く伸びる個体が多いので植え替え直後は支柱が必要です。

 ユウコクラン
 水苔植えと生育の差は無いようです。
 根が細いので保水性の良い用土に植えます。
 水苔植は植え替えの時、根を切りやすいです。
 コクランは砂植えでも水苔植えでも長期間の維持は大変です。

 ナゴラン
 フウランと同じ管理で大丈夫です。

 ボウラン
 フウランと同じ管理で大丈夫です。
 茎が伸びるので支柱が必要です。

 ミヤマムギラン
 まだ経験が浅く、詳しいデータは有りませんが生育は可能だと思います。
 派手な品種は生育が悪いようですが、これは水苔植えでも同じです。
 用土や植え方は、さらに工夫が必要だと思います。
 現在の用土は鹿沼土、軽石、矢作砂等の細粒に椰子殻チップや木炭粒を混ぜています。
< 追補 >
 その後2年間経過をみましたが、やはり瑞光等の弱い品種では砂植えでは作落ちします。
 用土を工夫し、常に気を配れば生育は可能とは思いますが、現状では水苔の方が楽です。
日輪 日輪
日輪日輪
 上の写真は強健な「日輪」で1年間、植え替えをサボっていますが開花しています。

 カシノキラン
 まだ2年程度の経験しかありませんが新根が砂の中に伸び、開花していますので問題は無いと思います。
 試したのは素芯花の株ですが黄曙斑の「金牡丹」という品種も追加で試しています。
 小粒の硬質鹿沼と軽石砂、椰子殻チップを混ぜています。
 もう少し様子を見て問題無ければ全鉢、砂植に切り替えます。
カシノキラン素芯
カシノキラン素芯


蘭以外の植物

ノキシノブ黄斑 ノキシノブ山採 黒竜
ノキシノブ黄斑ノキシノブ山採黒竜

 蘭以外の植物でも水苔植えにされている植物は色々有ると思いますが私の棚ではノキシノブがあります。
 最初は全部、水苔植えでしたが少しずつ砂植に変更しています。
 一部、生育の悪い品種等、水苔植えが残っています。
 品種によって向き不向きがありそうです。

 ノキシノブ黄斑は根元に苔が生えて見にくいのですが砂植です。
 水苔植えの時より生育が良くなりました。
 多くの品種で作が上がりましたが黒竜のみ作落ちしました。


砂植の問題点

 砂植は良いことだけでなく、欠点もあります。

1 重くなる
 用土に軽石を使ったとしても水苔植えより重くなります。

2 逆さにすると、こぼれる

3 水に浸けると用土が浮いてしまう
 軽石は水に浮きます。
 重い砂もありますが今まで軽石を主体にして試してきました。

4 植え替え直後は灌水に手が掛かる
 植え替え直後は乾きやすく、灌水を多めにする必要があります。

5 鉢の入手が面倒
 砂植は歴史が無いので専用の鉢が無く、自分で探す必要が有ります。
 保水力が小さいので少し大きめの鉢が必要になります。

6 正面を正確に決める必要がある
 水苔植の富貴蘭は植え付け直後に株を回して正面の位置を調整出来ますが、砂植では植えてしまうと株が動かないので 植え付け前に正確に決めておく必要があります。
 これは鑑賞鉢の場合で、育成鉢では問題になりません。
 また、春蘭、寒蘭、盆栽等、全ての砂植、土植に共通の問題です。

 商売をされている人は鉢の移動や発送が多いので砂植は向かないと思います。


ヘゴ付け

各種寄せ植え ヘゴの大鉢 ムカデラン
各種寄せ植えヘゴの大鉢ムカデラン

目的
 私の場合、裾物の植え替えを省こうという不純な考えがヘゴ付けの動機です。
 ヘゴは形状が丸太か平板で、単調ですので、鑑賞価値を高める目的には無理があります。

ヘゴの入手
 1株単位でヘゴ付けするなら、小さなヘゴで済みますが、これでは空洞植えの方が楽です。
 やはり、何株も、まとめて付けないと植え替えの手間は省けません。
 フウランは根が長く伸びるので、たくさん付けるには、かなり大きなヘゴが必要になります。
 写真のヘゴは直径15cm、高さ20cmの丸太です。
 平板でも良いのですが、株数に応じ、ある程度の面積が必要となります。
 平板の場合、水平に置くと場所を取るので、壁掛けとなり、置き場所が限定されます。
 写真で使用した程度の大きさのヘゴになりますと、かなり大きな園芸資材店でないと置いていません。
 雑誌やインターネットで業者を捜して、通信販売で入手するのも手です。

植え付け作業と時期
 作業は春、新根の伸びる前に行います。
 伸びる新根の先端でのみ活着していき、すでに伸びてしまった根をヘゴに押しつけても活着しません。
 ヘゴの付けようとする場所に株を置き、根を広げてヘゴに沿わせます。
 根の固定は、紐やナイロン糸で縛ったり、U字型の針金をヘゴに突き刺したりして、固定します。
 大きめのホッチキスを使う手もあります、ホッチキスを開いたまま、押し当てて、針を打ち込んで根を押さえてしまいます。
 管理が良ければ、このままで大丈夫ですが、心配な場合は活着するまで根を軽く水苔で覆っておきます。

管理
 置き場所、灌水は水苔植の富貴蘭と同じです。
 水の抜けが良いので、水をやりすぎても根痛みはありません。
 ヘゴの体積が、もっと小さい場合、乾きすぎて小さくなってしまう可能性は、あります。
 肥料は水苔植の鉢と同様に、化成肥料の極薄い水溶液を灌水代わりに時々与えるだけです。

生育
 写真のヘゴには、5種類程度の裾物品種がたくさん付いています。
 いつ付けたか覚えていませんが、5年以上は経っています。
 今のところ、非常に生育が良く、水苔植の富貴蘭より、大きくなっています。
 ただ、今後、これ以上に株数が殖えた場合、どうなるかは不明です。

植え替え
 何年程度、植え替えないで済むかは、個々の状況により変わってくるとは思いますが、10年くらいは大丈夫だと思います。
 それ以上になると、株数も殖え、軸も伸び、根も絡んでくるので、形が崩れ、生育も落ちてくる可能性は、あります。
 ヘゴもボロボロになってくると思いますので、そのときはバラして植え直す必要があると思います。
 短期的に見た場合、新根がヘゴの繊維の中に食い込んでいくので、植え替えは困難です。


オスマンダ?

ムギラン
ムギラン

 古いランの栽培書を見ると植え込み材料に「オスマンダ」という用語が頻繁に出てきます。
 ところが、現在、オスマンダは一般的ではなく現物を見る機会がありません。
 かなり前になりますが、たまたま立ち寄った園芸店でオスマンダが売られていました。
 直径7cm位、高さ7cm位の鉢の形に加工されたものです。
 ヘゴに似ていますが繊維が細かく柔らかでヘゴより保水力が大きいものです。
 上の写真は、これを逆さにして底面に覆輪ムギランを植えたものです。
 店で「オスマンダ」と提示していたので、今まで、写真のものがオスマンダと思い込んでいたのですが現物を見る機会が他に なく、間違っている可能性もあります。
 オスマンダはゼンマイの根ということなのですが鉢の形に加工が可能でしょうか?
 いずれにせよ、現在では入手しにくいので無理に使用する事も無いと思います。


木付け

木付け
木付け

目的
 私の場合、やはり、裾物の植え替えをサボるのが目的です。
 ただし、付け木の形状に変化があれば鑑賞価値があると思いますので、最初から鑑賞目的で木付けするのも有りです。

付け木の入手
 最大のポイントが付け木の入手です。
 園芸店で見かけるのは動物の角の様な形で中が中空になったものだけです。
 植木鉢のように植物を植えますが、座りが悪いので吊すしかありません。
 結局、付け木は自分で探す事になりますが、これが簡単ではありません。
 河原等で拾った流木は、数年で雑菌が繁殖して腐ってしまいます。  バーナーで炙って表面を炭化させれば、寿命を延ばす事が出来ますが、焦げた木肌は見た目が悪いです。
 写真の付け木は、かなり大きなものですが、里山の間を流れる小川の水中(土中)に埋まっていた針葉樹の切り株を掘り起こした ものです。
 これくらい大きな木になると、結構、水持ちが良く、下部は湿っている事が多いのですが、全く腐りません。
 ということで、私のお薦めは「水中に埋まった針葉樹の根株」ですが、これ以外にもあるかもしれませんので、工夫してみて ください。

植え付け、管理、生育
 「ヘゴ付け」に準じます。
 通常の水苔植えの富貴蘭と同じ管理で十分です。
 植え付けには、やはりホッチキスが使えます。
 これくらい大きな木の方が管理が楽で、沢山の株を付けられます。
 木が大きい為か、生育も良好で殖えも良いです。

植え替え
 写真のものは最初に付けてから10年くらいは経っています。
 途中で、付け足し、付け足ししているので、付けて3〜4年の株もあります。
 写真の木は腐りそうもないので、ヘゴより長持ちしそうです。
 ただ、株が殖えすぎると混みあって弱る事も考えれるので、間引いたり、部分的に植え替えたり必要があるかもしれません。
 ヘゴの様に根が食い込む訳では無いので、注意深く作業すれば、木から剥がす事も可能です。

サクランボの枝を入手

サクランボの枝 ムカデランを付ける
サクランボの枝ムカデランを付ける

 庭の隅に植えてあったサクランボの太枝が枯れたので、切り取り、しばらく乾燥させました。
 何年、持つか判りませんが、とりあえずムカデランを植えてみました。
 太い枝にはフウランを着生させることも可能かと思います。
 株を固定するには糸で縛るよりホッチキスの針を使った方が楽です。
 ホッチキスにも色々なサイズがあるので、フウランの根を固定するなら大きめの針にします。


石付け

竜眼石 溶岩 抗火石 静岡産針葉 青龍獅子
竜眼石溶岩抗火石静岡産針葉青龍獅子

目的
 石付けはヘゴ付けや木付けより、若干、管理が面倒ですので、鑑賞目的以外では、行いたくありません。

石について
 石付けに用いる石の条件ですが、形状や石肌に鑑賞的な面白みがあるのが望ましいです。
 一般的に付け石として流通しているのは、竜眼石と溶岩です。
 竜眼石は昔から、石付け盆栽用に販売されています。
 焦げ茶色の部分と白い石灰質の部分が斑上に点在していて、色彩的にも形状的にも変化に富んでいます。
 溶岩は山草栽培等で利用されています。
 赤褐色〜黒色の多孔質で比較的、軽く、園芸店、山草店などで売られています。
 これ以外では抗火石も園芸店で売られています。
 多孔質で水に浮くほど軽く、柔らかくて加工も容易です。
 ただ、殆どは中央に円形の穴を開け、植木鉢の形状で売られています。
 保水性が良いので、蒸発冷却効果、多孔質で断熱効果があるので、山野草の夏越しには良いと思います。
 山から切り出して加工しているので、自然石の形状のものはありません。
 もし、穴の開いていない、ブロック状の物が入手出来たら、自分で自然石風に加工して、フウランを着生させることは可能と 思います。
 ただし、色彩や質感が少し劣るので鑑賞価値は下がります。
 このほか、気に入った石があれば、何でも試してみてください。
 石の大きさですが、フウランの根は長いので、あまり小さな石は不向きです。
 ただし、石が大きくなると重く(抗火石以外は)、置き場所にも不自由します。

植え付け作業
 時期は春の根出し前に行います。
 石の付けたい部分に株を置き、石に根を沿わせて水苔で覆い、紐や糸で縛っておきます。
 作業時点で、既に伸びている根は、どのみち着生しませんので、作業は大雑把で良いと思います。
 作業後に伸びた根の先端から粘着物質を出して石に着生します。
 管理が良ければ1年で石につきます。
 1年経てば水苔が傷みますので、取り除いて、新しい水苔で覆い直します。
 2〜3年経って、根が十分回れば、水苔無しでも大丈夫です。(ある程度の石の大きさは必要ですが)

管理
 水苔を取り除いた株は良く乾きますので、通常より多めに水を与えます。
 心配であれば、水苔で覆うか、石を湿った砂の上に置きます。
 肥料は、極薄い化成肥料の水溶液を与えています。(通常の水苔植えと同じです。)

写真の説明
 静岡産の針葉は竜眼石に付けました。
 青軸の小型のフウランで、鳳凰丸に似ていますが、付けや木姿が若干、異なるようです。
 1年前に植え付け、既に活着していますが、石が小さいので水苔を巻いています。
 画面左側に活着した根が見えています。
 青龍獅子は溶岩に付けました。
 植え付けて2年程度経過し、完全に活着したので水苔を取り除きました。
 石に食い込んで伸びた根も視覚的に面白いと思います。
 水切れにならないようにします。
 抗火石に付けた株は無いので、石の見本として、鉢に加工されたものを3枚目に示します。


庭木付け

犬槙(イヌマキ) 着生部拡大 犬槙
犬槙(イヌマキ)着生部拡大犬槙

目的
 フウランを栽培していると柄抜け等の不要品が沢山出来ます。
 これらを全部、栽培する訳にもいかず、かといって捨てるのもかわいそうです。
 究極の手抜きで、庭木に着生させることにしました。
 付けてみると、鉢植えより生育が良く、何年か経つと大株になりました。
 こうなると、花時には、沢山の花が咲き、良い香りがして、鑑賞価値があることが分かりました。
 不要品の処分目的だったのですが、一石二鳥となりました。
 長年、栽培していると、柄抜けから斑入りが復活する場合も、希にあります。

地域限定
 残念ながら、寒冷地では庭木に着生させることは出来ません。
 フウランの自生がある地域に限定されます。
 ただし、アマミフウランは、より南国の植物ですが、当地、静岡では、フウランと差は、あまり感じません。
 もし、庭木付けを行いたい人がいた場合、その地域、その品種で可能かどうかは、各自の判断で行ってください。

樹種
 何の木に着生させたら良いかというデータを持ってはいません。
 私がイヌマキに付けたのは理由があります。
 まず、田口源夫著「富貴蘭」で自生地の写真が紹介されていて、その樹種がイヌマキであったことと、自宅の庭で最も本数の多い木がイヌマキであることです。
 他の木に付けたい場合、これも、各自の判断で行ってください。
 イヌマキでの生育は非常によいのですが、この木は表皮が薄く剥がれます。
 フウランの場合、表皮に食い込むように、しっかり着生するので全く、問題ありません。
 セッコクのように根が細い植物では、長年、栽培していると、表皮と一緒に剥がれてしまう場合がありました。
 イヌマキは葉が密に茂るので暗くなりますが、フウランは多少、暗めでも生育しますし、暗めの方が管理が楽です。

植え付け
 作業は、春の根出し前に行います。
 着生させる木の幹や枝に根を這わせて、軽く水苔を巻き、紐で縛っておきます。
 枝葉が直射日光を遮るような位置に着けます。
 陰になって、多少、暗くなっても大丈夫です。(そのほうが、着生までの管理が楽です。)

管理
 植え付け後、何もしていませんが、乾燥の激しい環境では、時々、灌水したほうが良いでしょう。(特に活着するまでは)


庭石付け等

庭石付け 石灯籠付け
庭石付け石灯籠付け

 庭石の頂部に2株の富貴蘭を付けました。
 1株は「阿波針紅」で購入したもの、もう1株は別の店で「赤花朝鮮鉄」で購入したものです。
 どちらも「青軸朝鮮鉄」のように開花すると芯止まりになるもので、私には区別が出来ません。
 若干、暗いこともあり、花付きは悪いですが元気に生長しています。
 活着するまでは多少の管理が必要ですが一旦、活着すれば手は掛かりません。
 直射日光の当たる場所は避け、活着するまでは水苔で薄く覆います。
 水苔の量が多すぎると根が怠けて伸びません。
 左側に着生しているのは獅子葉マメヅタです。
 石灯籠に銘品の柄抜けを着生させました。
 やはり、活着するまでは水苔で保護します。


椰子殻チップで植えてみたが

椰子殻チップ植
椰子殻チップ植

 椰子殻チップは「ベラボン」という商品名で売られたりしています。
 アク抜き済みの物は、そのまま使えますが、そうでないものはアク抜きする必要があります。
 アク抜きは水に浸けてアクの出た水を切って乾燥させます。
 砂植に混ぜて保水量の調整をしたりするのが効果的な使い方です。
 単用で植え込んだ場合、乾くと用土としてのまとまりが無くなるので使いづらいと思います。
 通販で入手出来ますが園芸店では扱っていない場合が多く入手性は良くありません。
 フウランで試してみました。
 植え込み時は水分を含ませておかないとパラついて植え込みづらく、乾くと株がぐらつきます。


オマケ(犬槙の話)

 犬槙(イヌマキ)は関東地方以西の暖地に自生する常緑高木で、松や公孫樹と同じ裸子植物です。
 当地、静岡では庭木や生け垣に盛んに用いられています。
 松と違い、刈り込む事が出来るので管理が楽で、病虫害にも強いです。
 樹高は最大25m程になるそうで、自宅にも、幹周り2m位の木があります。
 雌雄異株で雌木には実が成ります。
イヌマキ雌木
イヌマキ雌木
 種子は先端の緑色の部分で直径8mm程度です。
 どういうわけか、家にある17本の庭木は、皆、雄木ですが、生け垣の中に少数の雌木があります。
 種子の基部の花托が成長して赤く熟し、この部分は食べられます。(あまりおいしくありませんが)
 当地ではイヌマキとは言わず、単に「槙の木」と呼んでいます。
 植物名の前に付く「イヌ」の文字は「似て非なる物」の意味を表し、イヌブナ、イヌビワ、イヌザンショウ等、 多数有ります。
 ということは、単に「槙」と呼ばれる植物が、あっても良いはずですが、見あたりません。
 おそらく、昔は槙と呼ばれる植物があったのですが、現在、別の名前で呼ばれるようになり、イヌマキだけが、そのまま残ったと いうことでしょう。
 昔、槙と呼ばれていた植物が杉であるとか、高野槙であるとか、いろいろ言われていますが、はっきりしません。
 尚、イヌノフグリという植物は、種子が犬の睾丸に似ているということで付けられた名前で、直接、犬を示しているので、使い方 が異なります。




再び鉢植えに

(1)宝船×富岳 (2)宝船×富岳 (3)織姫 (4)織姫 (5)織姫
(1)宝船×富岳(2)宝船×富岳(3)織姫(4)織姫(5)織姫

 柄抜けした富貴蘭を庭木に付けていますが、再び柄が出ることがあります。
 織姫、富岳系統の散り斑品種は青から派手な子が突然出ます。
 ただし、一般的な縞物品種は全く出ません。
 庭木に着生させた富貴蘭を見ていて、斑入りの個体を発見すると嬉しくなって、つい鉢に上げてしまいます。
 鉢植えは沢山あるので、庭木に残して置いた方が良いようにも思いますが...
 (1)は宝船と富岳を交配したときに出来た青からの出芽だと思います。(多分)
 鉢に戻してから何年も経つので、木に付いていた形跡は最早ありません。
 最初、青だったとは思えない上柄になっています。
 (2)も宝船と富岳を交配したもので、細長い下葉は木に付いていた時の物です。
 散り斑品種は青から急激に上柄になったり、柄の良い子を出したりします。
 (3)は織姫(多分)で木から外した直後の株です。
 木に付いていた株の多くは、このように思い切り葉姿が乱れています。
 下葉は青ですが、天葉は柄が良くなっています。
 (4)も外した直後の織姫で、親の下葉は青ですが、天葉は派手になっています。
 子も柄良く出ています。
 (5)の織り姫は何年か前に青の株の芽当たりとして出たものです。
 剥がしたショックで親は直ぐ枯れましたが、子は生き残りました。


これは何だろう

不明品種 拡大図
不明品種拡大図

 この個体も庭木に付いていたものですが、柄があったので鉢に戻しました。
 斑は白の絣斑で、コントラストが低く、見栄えはしません。
 写真の鉢は3号の素焼き鉢ですので、結構、大きな木で、葉幅も有ります。
 青軸、青根の様ですので織姫かとも思いましたが、織姫は、こんなに大きくなりません。
 木姿を見ると奄美系統に見えます。
 青軸の奄美と言えば、手持ちに「奄美錦」が有り、柄抜けを木に付けた可能性は有ります。
 ただし、「奄美錦」は紺縞で、若干、斑の感じが異なります。
 奄美フウランは山採りも含め、何種も木に付けた記憶があり、結局、正体は判っていません。


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