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入門書 | ディップメーター |
私は高周波回路の知識経験が全くありません。
そこで入門書を購入して勉強してみることにしました。
ついでにアマチュア用のツール「ディップメーター」も購入してみました。
書籍はCQ出版社の「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作」です。
この本の最終章「ワイヤレスモデム」に関する実験を行ってみました。
書籍では2台のワイヤレスモデムをパソコン等に接続し、双方向「全二重」でデータ通信を行うことを想定しています。
しかし、現在は無線LAN等が普及しているので、あまり用途が無く、1200BPSでは遅くて使い物になりません。
今回は、例えば家の温室から仕事部屋に4点の温度データを絶えず送り続ける(半二重)ことを想定しました。
いろいろ苦労した割には結果は思わしくなかったのですが、経過を記録するという意味でアップしました。
この書籍は1999年10月に初版が発行され、現在は9版です。
しかし、12章だけで2つの回路図のミスを発見しました。
例えばモデムICのP3とP4に抵抗が接続されていますが、1カ所では100KΩと書かれ、もう1カ所では100Ω
と書かれています。
現在、データシート等の資料が入手出来ないので、どちらが正しいのか判りません。
もう一つ、RS232CレベルコンバータのP11とP14が逆です。
この書籍では未使用部分ですので問題ありませんが、たまたま他物件の動作チェックをしたとき、この図を参照した為、
被害にあいました。
私は12章しか見ていませんが、全体では間違いが沢山あるような気がします。
もっと大きな問題があります。
ここで使用されているモデムIC「MN6127A」は初版の時点で既に保守品種だったと思われます。
現在では、データシート等の関係資料は全く入手出来ません。
IC自体は以前、大量に生産されていたようで、現在でもストックが若干、有るようです。
いずれにせよ、このまま書籍を増刷していくことは問題があると思われます。
FMらじおくん | プリアンプ | 室内アンテナ |
この書籍は初心者向けですので受信機にFMラジオを使用します。
家にFMラジオが無かったので、パーツ屋さんで、「FMらじおくん」という組み立てキットを購入しました。
このラジオはLA1800というICが使われていました。
回路図を見ると、入力部の同調は取っておらず、局部発振のみバリコンで可変しています。
データシートを見ると入力には帯域フィルタを入れるように書いてありますが、キットには付いていません。
また、一般の受信機のように中間周波トランスやセラミックフィルタがありません。
このICは中間周波を低くしてCRフィルタで代用しているとの事です。
組み立てて動作させてみると感度が低くて使い物になりません。
そこで、入力にプリアンプをいれてみました。
プリアンプの回路図
多少、効果はありましたが、まだ不十分です。
次に、かなり昔のVHF用室内アンテナを接続してみました。
これは、非常に効果があり、やっと普通のFMラジオになりました。
送信部基板 |
送信部は部品の交換が楽なように生基板の上に部品を取り付けてあります。
基本的に書籍の回路を真似ていますが手持ち部品や基板構造の影響で定数は若干異なります。
この部分の動作は全く問題ありませんでした。
低周波発信器で変調を掛けたところ、30m位離れた別棟のFMらじおくんで安定して受信出来ました。
送信アンテナは1m程度のビニール線です。
送信部の回路図
変調回路基板 |
書籍では汎用の双方向モデムとして書かれています。
CPUは実験のため、私が付加したものです。
回路、ソフト共、実験目的で作られ、実用性はありません。
CPUはPIC16F876を使用しています。
タイマー1の1秒割り込みを動作開始のタイミングとしています。
VRで電源電圧を分圧した4点の電圧をAD変換し、変換コードを各々、4文字のキャラクタでRS232端子から出力し
終了コードとして0DHを付加します。
ボーレートは1200BPSと遅いです。
変換コードの確認用に液晶表示器を接続しています。
ソフトはCCSCコンパイラを使用しました。
このCコンパイラは方言がありますが、組み込み関数が多く、簡単です。
ソースは読みにくいかもしれません。
(言語仕様と私の稚拙さの両方の理由で)
出力されたRS232C信号はモデムICに接続され、変調用の信号に変換されます。
モデムICの出力はFM送信回路に送られ、FM変調されて電波になります。
変調部の回路図
ソフトウエアのダウンロード
復調回路基板 |
まず、FMラジオの音声出力をモデムICに入力します。
モデムICは信号をRS232Cに復元します。
これをPIC16F876で処理し、AD変換コードを液晶表示します。
RS232Cの受信割り込みで受信キャラクタを受信バッファに積み込みます。
0DHコードが来たら、受信バッファの先頭から4文字づつ液晶表示します。
その後、受信バッファを初期化して次回の信号を待ちます。
復調部の回路図
ソフトウエアのダウンロード
液晶表示1 | 液晶表示2 | 液晶表示3 |
結果は思わしくありませんでした。
写真は何れも受信側(復調回路)での液晶表示です。
電波を受信してみると、液晶表示1のように文字化けします。
液晶表示2は変調回路のモデムIC(MN6127A)の出力と復調器のMN6127Aの入力を直結したものです。
4個のデータの内、最初の2個は正常ですが、残り2個は文字化けしています。
液晶表示3は変調回路のCPUのRS232C出力と復調回路のCPUのRS232C入力を直結したものです。
4個のデータが正常に表示されています。
尚、データの値自体は意味がありません。
実験の結果から以下の事が判りました。
・ 変調回路と復調回路のCPUとソフトは正常に動作している。
・ 電波の送信、受信は正常である。
・ 変調側か復調側、又は両方のMN6127Aの結線か回路定数に問題がある。
MN6127A周りの回路は書籍の回路図を真似ました。
既にMN6127A関連のデータや資料が入手出来ないので、これ以上の検証が出来ません。
既に書籍としての寿命がつきているので、内容を変更するか廃刊にして欲しいと思います。