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 0〜15V、0〜10A定電圧電源

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壊れた実験用電源を作り直す

 かなり昔ですが24V15Aの巨大な電源トランスを意味もなく購入しました。
 しばらく使い道が無かったのですが使わなければ勿体ないということで定電圧電源を作って使用していました。
 ところが4年ほど前、車のバッテリーを充電していて壊してしまいました。
 その後、壊れたままになっていましたが、今回、再度製作しました。
 筐体、トランス等、多くの部品は流用しましたが、回路は新規に製作し、パワートランジスタを新規に購入しました。
 その他は手持ちの部品を使用しました。
 筐体内部はかなり発熱することが予想されるので電解コンデンサーは105℃定格のものを使用しています。
 コンパレータ、OPアンプは周囲温度85℃まで使える新日本無線のものを使いました。
 (本家のものは70℃です。)

回路図

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電源回路図

 回路はCVCC電源で電圧と電流は10回転のポテンショメーターで0〜15V、0〜10Aに設定出来ます。
 不用意に最大電圧を上げてしまわないように過電圧(OVP)設定用のVRを付けました。
 電圧設定値とOVP設定値は、どちらか低い方が選択されるので安全装置として使用出来ます。
 OVPは普通の1回転のものを使用しています。(ポテンショメーターが2個しか無かった為)
 回路は大きな電流ゲインを持っている為に容易に発振します。
 初段の2SC1815のベースとGNDに入っているコンデンサーが発振止めです。
 余り大きな値にすると応答が遅れます。
 0.1UF程度で発振が止まるので余裕を見て0.22UFのフィルムコンデンサーを取り付けています。
 また出力電圧のフィードバック結線にノイズが乗りやすく、増幅されて0.2Vp−p程度のノイズが出力電圧に出たので コンパレータの入力に1000PFのコンデンサーを直接、取り付けています。
 コンパレータの入力に直接コンデンサーを付けるのは好ましく無いですが、小容量であること、完成後の手直しの為、簡単に 処理しました。
 効果は抜群で現状ではリップル、ノイズは観測出来ません。
 フォトモスリレーは制御回路の電圧が立ち上がらなければ バイアス電源を遮断してしまうインターロックです。
 電圧、電流、OVPのコンパレータ出力はワイヤードORされてバイアスをカットします。
 出力トランジスタの発熱を抑える為にトランスのタップを手動で切り換えています。
 巻き線タップ15Vでも3A程度なら15Vを出力できますが、出力15Vで10A流すような場合は18Vタップに 切り換えます。
 出力電圧が低い場合は15Vタップで問題無く10A流せます。
 実は当初、出力電圧によりトランスタップを自動で切り換える予定でしたが
・ スペースが無い
・ 面倒くさい
・ トラブルが怖い
 等の理由で断念しました。
 電圧計、電流計はアナログメーターを使っています。
 電圧計は30Vしか手持ちに無く、電流計も100UAのものを10Aとして使っています。

制御基板

出力トランジスタ 出力ブロック 制御基板
出力トランジスタ出力ブロック制御基板

 発熱は最大で200W程度になるので放熱器は貧弱ですがシャーシーに固定するので若干、こちらからの放熱が 期待できます。
 放熱不足ですので、トランジスタはコレクタ損失220Wのものを4個パラにしています。
 2枚目の写真はエミッタ抵抗、電流検出抵抗、ドライバートランジスタを取り付けたものです。
 ドライバーも最大で3W程度の発熱があるので小型の放熱器に付けています。
 全電流が集中する配線には1.25sq以上の太さが必要になりますが今回は2sqのものを使っています。
 制御回路は簡単ですが電線の引き出しが多く面倒です。

完成した電源

装置正面 装置裏面 装置内部
装置正面装置裏面装置内部

 写真は完成した装置の外観と内部です。
 とにかくトランスの重さにはうんざりします。
 18V12A程度のトランスがあれば良いのですが、このトランスは24V15Aですので余裕がありすぎます。
 筐体は鉄板ですので通風の穴を開けるのは大変ですが、これは前回、最初に電源を作った時の作業です。
 内部は配線でゴチャゴチャしているので手順を考えて作業しないと組上がらなくなります。
 特にトランスは最後に取り付けて半田付けします。

動作確認

 基本的な動作は確認していますが、特性は計測出来ていません。
 これは負荷抵抗が用意出来ない為です。
 例えば出力電圧15Vで10A流すには1.5Ωで200〜300Wの抵抗が必要となります。
 現在、出来ているのは5Ωの抵抗で0〜15Vを出力することです。
 15Vの時3Aですが、これでも出力45Wですので100W程度の負荷抵抗が必要となります。
 10A流せるかどうかの確認は出力を短絡して電流設定値を最大にし、短絡電流を計測しました。
 短絡電流はコンパレータの基準電圧を調整することにより変える事が出来ますが、現状10.26Aでした。
 以上、動作確認は完璧では有りませんが、最も過酷な短絡電流10Aで特に問題ないので大丈夫と判断しました。
 ただし、電流値10Aでの長時間の短絡は発熱が大きいので避けます。

既知の問題

 使用には支障ありませんが、気の付いた点が1つあります。
 負荷が軽いとき又は負荷解放状態で電源を切ったときに定電流表示のLEDが10秒位、点灯するというものです。
 制御回路は電源が遮断されても22000UFに残った電荷が放電してしまうまで動作しています。
 ところが電流計測のOPアンプの負電源(VBB)は短時間で落ちてしまうため電流計測出力が出てしまうと考えられます。
 電流検出回路は初段がゲイン1倍の差動アンプ次段がゲイン10倍の非反転アンプになっています。
 単電源OPアンプは0Vの入力は出来るのですが出力に飽和電圧があり、0Vに出来ません。
 この飽和電圧を2段目で10倍にするので定電流出力が出てしまう訳です。
 この為、動作中は負電源を与え2電源で動作させているのですが電源遮断後の持続時間の差により誤動作が発生しています。
 電源遮断後の表示だけの問題ですので、このままにします。


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