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 12V−6Vコンバーター

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 カーバッテリーから6Vを得る

 DC6Vを電源とする真空管ラジオの電源をカーバッテリーから取ることを考えてみました。
 今までヒーター電圧6.3Vの傍熱管を使用したラジオを何点か製作しました。
 電源電流0.5A以下のものは単3電池4本を直列にしています。
 連続動作時間は最短で4時間です。
 それ以上のものはAC電源としています。
 AC電源のものもヒータートランスでDC6Vを作り、これをヒーターとDC/DCコンバータに供給しているスタイルは 同じです。
 現在、最大規模のものは6AJ5又は6AK5を6本、6BH6と6AK6を各1本使用しました。
 電流値はヒーターに1.35A、DC/DCコンバーターに0.28Aの合計1.63Aとなります。
 カーバッテリーの電圧は12V〜14Vに変化しますが13.5V程度の場合が多い様です。
 そこで入力13.5Vのとき負荷に6V1.7Aを供給する電源を考えてみました。
 現在、この電源が必要になっている訳ではありません。
 必要ないものを作るのは基本的な精神に反するのですが、今後、実際的に使用する事を想定し、真面目に製作してみました。

 ただし、現状では、この電源で動作させるラジオが無い為、実用に適しているかは確認出来ていません。
 入力がCVCC電源、負荷が固定抵抗での実験結果です。


 回路方式

 ドロッパー式は回路が簡単でノイズも少ないのですが効率が40%程度になってしまいます。
 約10Wの出力を得るのに10W以上の発熱があります。
 又、出力を絶縁することが出来ません。
 一般的なスイッチング電源用ICは強烈なノイズを発生するのでラジオの電源としては、まず使えません。
  入出力が絶縁出来る品種が殆ど無く、あっても使い方が面倒です。
 結局、完成された電源ユニットという事になりますが12V〜14V入力で出力6V1.7A程度のものは見たことが ありません。
 ここでは電池管ラジオで多用したロイヤー回路を変形したものを使いました。
 定電圧動作は考えていません。
 電池を電源とする以上、電圧変動は想定内です。
 定電圧化にするとノイズレベルが大きくなります。


 コンバータ回路図

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コンバータ回路図

 最初の2SJ344は逆流防止のダイオードです。
 次に過電流を検出して出力を遮断する回路が続きます。
 自動復帰にするとオンオフを繰り返すのでSCRでラッチします。
 復帰させるには一旦、電源を切って再投入します。
 2番目の2SJ344は出力を遮断するスイッチです。
 あとは簡単なロイヤーの回路です。
 トランジスタの選定は重要です。
 ベースバイアス抵抗の値も効率に大きく左右します。
 ベースバイアス抵抗とノイズ吸収用コンデンサーは半田付けではなく丸ピンICソケットに装着して調整時に  最適な値を決定しています。
 トランスの2次側は両波センタータップの整流回路です。
 ブリッジにするとダイオードのVFによるロスが2倍となります。


 2SD2075A

等価回路

 2SD2075Aは大電流スイッチング用のトランジスタでコレクタ耐圧60V、最大コレクタ電流10A、コレクタ損失30W のトランジスタで図のようにダイオード、ツェナーダイオードが内蔵されています。
 コレクタ飽和電圧が小さくコレクタ電流1A時の電流ゲインが500〜1500と非常に大きくなっています。
 正常動作時は放熱不用と思いますが調整中のトラブルに備え放熱しています。


 HRF502A

 HRF502Aは以前、秋月電子で4個1パック200円で期間限定で販売されていたのを見つけ、10パック程購入しておいた ものです。
 5A20Vのショットキダイオードで順方向電圧降下が非常に小さいのが特徴です。
 低い電圧の整流では効率を大きく左右します。


 発振トランス

 発振トランスは最も結果を左右する部品ですが知識が乏しいので勘と経験に頼っています。
 フェライトコアの#77にウレタン線を巻いています。
 コアのサイズは114で外径29mmです。
 小さいと磁気飽和の可能性があるしコイルが巻きにくくなります。
 #77コアは導電性があります。
 絶縁されたウレタン線を巻くので問題無いような気がしますがコア自体も絶縁したほうが良いと思います。
 まず0.6mmのウレタン線をバイファイラ巻きで30回+30回巻き、2次巻き線としました。
 この上に0.5mmのウレタン線で1次巻き線を巻きました。
 バイファイラ巻きで62回+62回巻き、出力電圧を確認しながらすこしずつ巻き戻します。
 現状は57回+57回程度になっています。
 1次巻き線の巻き数を減らすことは出力電圧が上がる事を意味します。

  注)2次巻き線の上に1次巻き線を巻いている。
 巻き数の多い方を調整した方が細かく調整できる。


 調整

 最初に出力電圧6Vの時1,7Aの電流が流れるダミー負荷を製作します。
 抵抗値は3.5Ω程度になります。
 0.51Ω2Wの酸金抵抗が多数あったので7本直列にしたところ3.64Ωでした。
 これに50Ω1/2Wの抵抗をパラにして3.39Ωにし、負荷に接続します。

 入力はCVCC電源にして電流を絞り10V程度から通電します。
 問題なければ13.5Vにして負荷電圧を測ります。
 最初は6Vより低いはずですので1次巻き線を1巻きずつ減らしながら負荷電圧を6Vに近づけます。
 作業は面倒ですのでトランスは長いリード線のまま半田面に仮配線します。
 巻き戻した巻き線は再度、巻き足す可能性もあるので切り詰めないでおきます。
 もう一つ合わせ込む要素があります。
 それはベース抵抗の値です。
 ベース抵抗が低いとコレクタ電流が増えます。
 コレクタ電流はトランジスタを確実に飽和させる程度は流す必要があります。
 ただし流し過ぎると効率が下がりノイズが増えるので最適値があります。
 ベース抵抗は丸ピンICソケットで簡単に交換出来るようにしてあります。
 ベース抵抗の最適値はコレクタ波形で判断します。
 具体的にはトランジスタがオフする時のオーバーシュートの大きさで判断します。
 ここら辺は経験的な要素が大きく一言では言えません。
 絶えず効率を計算し波形と見比べます。
 最後に両コレクタ間に小容量のコンデンサーを入れて波形を少し鈍らせます。
 これで空中伝搬ノイズが減ります。
 とは言っても10Wを超える出力ですので、そこそこのノイズは発生すると思います。
 今回の電源ははラジオ内部に組み込む訳ではないので多少のノイズは目をつぶり、効率優先で進めました。
 それでも一般的なスイッチング電源やACアダプターよりはノイズレベルが低くないといけません。


 製作したコンバータ

製作したコンバータ ケースに収納
製作したコンバータケースに収納

 基板サイズにピッタリのアルミケースがあったので収納しました。
 取り扱いが便利になり、空中伝搬ノイズが低減しました。
 入力に3Aのヒューズ、出力に電源表示LEDを取り付けました。


 特性データ

特性データ
入出力電圧グラフ

 負荷に3.39Ωの抵抗を接続した時の効率は11.5V〜14.5Vの入力電圧範囲で77%以上です。
 グラフは負荷抵抗3.39Ωの時と無負荷の時の入出力電圧を示しています。
 実際の負荷は3.39Ωより軽いのでグラフは青線と赤線の間の位置になります。
 例えば入力電圧13.5Vの時、負荷抵抗6.15Ωを接続した場合。負荷電圧は6.24Vになりました。


 保護回路

 保護回路は出力側には付けていません。
 効率が大きく落ちる為です。
 入力の過電流検出だけです。
 これで例えば出力をショートしたときは瞬時に出力が遮断されます。
 過電流はSCRでラッチします。
 自動復帰にするとオンオフを繰り返します。
 再起動は一旦、電源を落としてSCRをオフさせた後、再び電源を入れます。
 入力電圧の過大に関しては検出していませんが過電流になるので出力が遮断されます。
 検出電流はVRで調整出来ますが、現状、入力電圧15V以上で遮断されます。
 検出電流はVbeの温度特性の影響を受けます。
 冬になれば遮断電圧が若干、上がる可能性があります。
 ただし、アルミケース内は少しの発熱があるので温度差が緩和されるかもしれません。


 動作波形

コレクタ(AC) コレクタ(DC) ベース(DC) 出力(DC) 出力拡大(AC)
コレクタ(AC)コレクタ(DC)ベース(DC)出力(DC)出力拡大(AC)

 1枚目の写真は2つコレクタ電圧をAC結合で重ねて表示させたものです。
 2枚目の写真は上の写真をDC結合で表示したものです。
 コレクタ電圧はオンの時0Vオフの時電源電圧の2倍になっています。
 オフの時のオーバーシュートが空中伝搬ノイズの発生源ですのでベース抵抗でコレクタ電流を調整してオーバーシュートを 押さえます。
 ただし、減らしすぎると動作が不安定になり、効率も落ち、ついには発振が止まってしまいます。
 適度にオーバーシュートを残し、シールドで対処します。
 両コレクタ間に入れたコンデンサーも波形を鈍らせノイズを減らしますが今回は扱う電力が大きく、この程度の容量では効果が 少ないです。
 両コレクタ波形のオンオフの切り替わり時に隙間が発生し、効率が低下しリップルノイズが増えるので痛し痒しです。
 3枚目の写真はベース電圧の波形をDC結合で撮影したものです。
 両トランジスタの波形を重ねると見にくくなるので片側だけ表示しています。
 逆側のトランジスタは位相が180度ずれます。
 ベースに負電圧が加わらないか心配したのですがオフからオンに切り替わる時0.8V程度のアンダーシュートが加わるだけ ですので特に対策はしていません。
 アンダーシュートの後0.65Vの平らな部分はトランジスタがオンしている期間のベース飽和電圧です。
 電圧は逆側トランジスタのコレクタ電圧(電源電圧の2倍)から供給され大部分はベース抵抗に吸収されます。
 4枚目の写真は出力電圧を写したものです。
 やや、もやっとしているのでAC結合で拡大すると(5枚目の写真)120mVp−pくらいのリップルが見られます。
 3.39Ωの負荷に1.7A以上流しているので仕方ないとは思います。
 実際の負荷は傍熱管のヒーターとB電圧用のDC/DCコンバータですので問題無いと思います。
 直熱管のヒーターに供給すると入力信号となり問題があるかもしれません。
 いずれにせよ問題があれば負荷側で対処します。


 ノイズ

 13.5V入力の時出力に3.39Ωの負荷を接続した状態でケースにポケットラジオを密着します。
 FM放送は影響を受けませんがAM放送は影響を受けます。
 ただし、放送は聞き取れます。
 同じラジオを9V660mAのACアダプターに近づけると放送が飛んでノイズ音だけになります。
 小型のACアダプタよりずっとノイズは少ないと言えます。
 今回はこの程度で良しとします。


 発熱

 入力電圧13.5Vの時、負荷に3.39Ωを接続すると入力13.7W、出力10.7Wとなり、3Wが損失になります。
 損失はトランジスタ、電流検出抵抗、整流ダイオード、トランスの励磁電流、コイルや配線抵抗、PMOSのチャンネル抵抗が 発生源です。
 アルミケースに蓋をした状態で長時間通電するとほんのり暖まります。
 長時間触っても熱いと感じることは無く全く問題ありません。
 発熱に関しては各部品には余裕があるはずです。


 回路変更

 製作後、ヒーターの突入電流で過電流保護が動作するのでは?と悩みました。
 今回の実験では負荷が純抵抗ですので突入電流はありませんでした。
 突入電流は短時間ですので、とりあえず電源投入から一定時間は保護回路が働かないようにしました。
 下記の回路図の定数では電源投入から約20秒は過電流保護が動作しません。
 間に合わせ的な対処です。

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コンバータ回路図

 CVCC電源でタイマー動作は確認しましたが実際の環境での動作は確認していないので問題が残っているかもしれません。
 突入電流で発振が止まるようであれば2SD2075Aのベース抵抗を小さくする必要があります。


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