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1.5V又は6Vから真空管ラジオのB電源を発生させるDC/DCコンバータは何台も製作しています。
今回は傍熱管を使用したFMラジオのB電源を想定したDC/DCコンバータです。
傍熱管を使用したFMラジオは既に1号機が製作済みで該当頁に使用したDC/DCコンバータがアップされています。
今回は2号機用として、さらに出力を増やしています。
出力は45V30mAで真空管ラジオのB電源用として製作したDC/DCコンバータとしては最大のものです。
ただし、FMラジオ2号機は、まだ製作されtおらず、とりあえず電源の頁にアップしました。
実験データ等を記録して置く為です。
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発振トランス
コアはFT−82#75と少し大きめのサイズにしています。
過電流で発振が止まりにくくするためと巻き易くするためです。
1次巻き線は0.4mmウレタン線を60回バイファイラ巻きにしています。(60回+60回)
2次巻き線は0.26mmウレタン線を260回程度巻き、少しずつ書き戻して負荷電圧を調整しました。
具体的には負荷に1.5KΩ(実測1492Ω)の抵抗を接続し入力6Vの時に負荷電圧が45Vになるようにしました。
トランスを基板に取り付けてしまうと作業が困難になるので仮配線で調整し調整後に基板に実装します。
#75コアは導電性があるので絶縁されたウレタン線を巻くにしても絶縁した方が無難です。
私は透明のアクリルラッカーをスプレーし乾かしてから1次巻き線を巻きました。
1次巻き線を巻き終えたらもう一度アクリルラッカーをスプレーして乾かします。
発振周波数は通常2KHz〜6KHzの可聴周波数ですので僅かな機械振動音がします。
巻き線を固めることで音のレベルを下げます。
トロイダルコアは接合面が無いので他の鉄心よりは有利で気にならないレベルです。
2次巻き線は巻き数を調整するのでスプレーはしません。
定電流回路
定電流回路は過電流のリミッタで定格電流の30mAより少し大きな電流値にします。
今まではセミテックのCRDをパラに接続していましたが今回は5.6mAのものを8本もパラにしなければならず
見た目が悪いのでトランジスタで組みました。
尚、セミテックのEシリーズで100V耐圧のものは5.6mAが最大で、それ以上は30V耐圧になります。
仮に本回路に30V耐圧のCRDを使った場合、出力短絡で壊れます。
本回路では出力を短絡した場合、発生電力の殆どを定電流回路で消費しなければなりません。
(発振トランジスタのベース電流を発振が止まらない程度に流している。)
CRDの場合は発熱すると電流値を減らすので耐圧以内であれば壊れませんが今回は定電流回路の全ての部品が発熱に
耐えなければなりません。
今回は2SD2075Aにパラに分流抵抗を接続し負担を減らしています。
分流抵抗を2本直列にしているのは1/4Wの抵抗を使うためです。
実際の短絡電流は44mAになり連続的な短絡に耐えます。
過電圧保護
発振トランスはレギュレーションが悪いので無負荷では高い電圧が発生します。
無負荷の時は定電圧ダイオードで吸収します。
30mAも流せば45V程度になるはずですが45Vでは定電圧ダイオードに電流は流れません。
つまり定電圧ダイオードに流れる電流は30mAより小さい値となります。
実際の無負荷電圧は48,4Vでした。
発振トランジスタ
効率を上げるにはトランジスタの選択が重要になります。
大電流が流せてコレクタ飽和電圧が低くスイッチングスピードが高いものが適しています。
DC/DCコンバータ用のトランジスタはAC100Vを直接整流してスイッチするのでコレクタ耐圧の高いものが
多く、当然チャンネル抵抗は高くなります。
チャンネル抵抗が高いと飽和電圧は高くなり今一です。
ストロボ用など、あまりコレクタ耐圧の高くないものが向いています。
HFEの高いものが有利です。
ベース抵抗を微調整する必要があります。
ベース電流が少ないと発振が停止します。
ベース電流を増やしていくと発振しますが負荷が重くなると停止します。
さらに増やしていくと重い負荷でも発振を継続しますがコレクタ電流が増加し効率が低下します。
どの程度の負荷まで発振を継続させるかをベース抵抗の値で決定します。
発振が停止すると巻き線の2次側に電力は発生せず、入力電力の殆ど全てを発振トランジスタで消費するので発熱します。
ベース抵抗27KΩでは出力短絡で発振は停止します。
ベース抵抗22KΩでは発振は継続しますがコレクタが飽和出来ず振幅が小さくなります。
今回の18KΩでは振幅が殆ど落ちず負荷の短絡電流は44mAとなりました。
入力電圧 :6V
入力電流 :314mA
負荷抵抗 :1492Ω
負荷電圧 :45.4V
負荷電流 :30.4mA
効率 :73,3%
短絡電流 :44mA
開放電圧 :48.4V
コレクタ電圧 | 負荷端ノイズ |
コレクタ電圧は両コレクタの波形を重ねて表示しています。
プローブはDC結合で横軸中央が0Vラインです。
振幅は電源電圧の2倍になります。
発振が停止しないように若干多めの電流を流しているので多少のオーバーシュートがあります。
オーバーシュートはラジオノイズの発生源ですがシールドで対処出来るレベルです。
ACノイズは負荷端の電圧をAC結合で写したものです。
45Vに対し40mVp−pですので負荷側で簡単に対処出来ると思います。