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 電池から5Vを作る

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電池とリニアレギュレータ

 電池で5Vの電子回路を動作させたい時、電流が20mA程度なら006P電池と3端子レギュレータが使えます。
 3端子レギュレータに低ドロップアウトのものを使えば、電池電圧5.5V程度まで使用出来ます。
 低ドロップアウトのレギュレータは、5.5V程度以下になると、自己消費電流が急増するものがあるので注意します。
 マンガン電池の場合は、使い切ってしまうので、問題無いかもしれませんが、二次電池の場合は寿命が短くなります。
 過放電しないうちに取り外して、充電する必要があります。

 電流がもう少し欲しい時は単三電池を6本使います。
 ニッケル水素電池を使う場合、市販の充電器は大抵、4本までしか充電出来ません。
 そこで、6本専用の充電器を作ってみました。

単三6本用充電器
単三6本用充電器


ニッケル水素の単三電池を4本使う

 ニッケル水素の単三電池を4本直列にした場合、充電直後は5V以上になります。
 又、放電末期では4V程度になってしまいます。
 これではチョークコイルを使う一般的な昇圧型や降圧型のスイッチングレギュレータは使えません。
 このような時は、一次巻き線、二次巻き線のあるフライバックトランスを使えば、実現出来ます。
 巻き数比で自由に出力電圧を設定出来るからです。
 写真は電池4本から5V35mAを得る目的で製作した電源の外観と回路図です。
 コンパレータにトランジスタを使ったりして、やや部品点数が多いですが、75%程度の効率が得られました。
 E I16コアに一次側0.4mmのウレタン線を16回、二次側に0.26mmを40回、巻きました。
 発振周波数は100KHz程度にしました。
 電池の逆接続の保護用にPチャンネルのMOSFETを使用しています。

ゲートICを使ったもの 回路図
ゲートICを使ったもの回路図

 *お詫び*
 不注意で、電池4本から9V35mAを取り出す回路と説明文を掲載してしまいました。
 2年近く、間違いに気が付きませんでした。
 間違いは、この回路だけで、以下の回路は5V用になっています。
 この回路は2次側に巻き線のあるトランスを使っているので、簡単に5V用に変更出来ます。
 すなわち
 ・トランスの2次側の巻き数を24回程度にする。
 ・R11の15Kを6.8Kに変更する。
 尚、D2の定電圧ダイオードは、万が一、過電圧が発生したとき出力を遮断するものですが、無くても構いません。
 このままでも良いですし、もう少し電圧の低い物にしても構いません。


タイマーICとコンパレータで作る

 もう少し簡単にならないかと思い、タイマーICとコンパレータを使ってみました。
 写真はこの時の試作回路と回路図です。
 E I22コアに一次側0.65mmのウレタン線10回、二次側に0.4mmのウレタン線を17回巻きました。
 発振周波数は約50KHzです。
 入力電圧3.6V〜6.5V、負荷電流0〜50mAで、出力電圧4.98〜5.01Vに保つことが出来ます。
 定格入力電圧(4.8V)、定格負荷(50mA)での効率は67%でした。
 逆接続保護回路の電圧降下を減らし、回路定数を最適化すれば、効率70%は達成出来ると思います。

タイマーICを使ったもの 回路図
タイマーICを使ったもの回路図


昇降圧コンバータ

 入力電圧が出力電圧を跨ぐ場合でも、単純なチョークコイルで出力を安定化するICがあります。
 MC34063は、かなり古くからあるICで、昇圧にも、降圧にも、昇降圧にも使えます。
 昇降圧に使う場合、内蔵のスイッチを昇圧に使い、外付けのスイッチを降圧に使います。
 入力電圧と出力電圧を比較してスイッチを切り換えるのです。
 ただし、回路的に電圧ロスとなる部分が多くなるので、効率は期待出来ません。
 写真は試作回路で、外付けスイッチにPNPトランジスタとPチャンネルMOSの2種類の回路を試しました。
 入力4.8V、出力電流100mAの時の効率は2SA1329で70%、2SJ377で65%でした。
 外付けスイッチの選定で、効率が変わりそうです。(トランジスタが良くてFETが悪いと言う意味ではありません。)
 負荷に50Ωの抵抗を接続し、入力電圧を3.2V〜7Vに変化させたとき出力電圧は4.99V〜5.02Vでした。
 尚、この試験は2SA1329で行いました。(MOSでは素子により、最低入力電圧が上がる可能性が有ります。)
 MOSの場合、チャンネル抵抗が小さくゲートON電圧の小さなものを使います。
 トランジスタの場合、蓄積時間の小さい電力スイッチング用を使い、ダーリントンのものは使えません。
 部品は秋月の昇圧型DC−DCコンバータパーツセットのものを流用しました。
 ただし、外付けスイッチやダイオードが不足するので、別途、用意します。
 基板は、ユニバーサル基板であるので流用できます。

昇降圧コンバータ 回路図(2SA1329) 回路図(2SJ377)
昇降圧コンバータ回路図(2SA1329)回路図(2SJ377)

MAX879

MAX879 試作回路 回路図
MAX879試作回路回路図

 MAX879も昇降圧コンバータです。
 こちらは昇圧側のスイッチも降圧側のスイッチも内蔵されているので、外付け部品が少なくて済みます。
 たまたま、秋月電子で売られていたので、購入してみました。
 小型のパッケージですが、変換基板に実装され、8PINのDIPとして使用出来ます。
 手持ちのトロイダルコアにホルマル線を巻いてチョークコイルを作り、動作させてみました。
 負荷を5V100mAとし、入力電圧を4.8Vとしたときの入力電流は130mAで、効率は80%となります。
 ただ、MC34063に比べて、高速化されているため、ユニバーサル基板では安定に動作せず、使いづらい印象を 受けました。
 入力電圧や負荷電流が変わると不安定になります。
 回路図C4の680PFは、値により、不安定になりますので、最適値がありそうです。
 ただし、データシートでは、幅広い範囲が示されているだけで、最適値は示されていません。


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