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ニッケル水素単三電池用充電器を製作し、結構、便利に使えていましたが、あるとき一度に8本充電する機会があり、
2回に分けて充電しました。
この時、もう1台作ることを思い立ちました。
当初、全く同じものを作れば考えなくて済むという事で、6本用で進めていたのですが予算の関係で4本用になってしまい
ました。
実は前回、6本用の記事の中で「次は充電電流を1A程度に上げた4本用の充電器を作りたい。」と書いていましたが、結局、充電電流を上げる事は出来ませんでした。
電流を増やせば、電源、使用部品、配線材料、放熱等が大変になってきます。
1号機では電源に市販のユニットを使用したのですが、今回は手持ちの部品で電源も製作しました。
1本あたりの充電電流は1割程度減ってしまったので充電時間は若干延びる可能性があります。
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充電に必要な電圧ですが、充電末期には電池電圧は1.6V近くまで上昇するので、これ以上の電圧が必要です。
さらに逆流防止ダイオードと出力の定電流回路の電圧降下で1Vが必要です。
少し余裕をみて3.3Vの電源とします。
PチャンネルMOSのドライブから判断しても確実にONさせるには2.5Vは必要で、ポート出力飽和電圧0.1V
定電流回路の電圧降下0.6Vを加算すると、やはり3.3Vは必要となります。
3.3V以上、例えば5Vの電源電圧でも良いのですが、電源電圧から電池電圧を引いた残りの電圧は装置のロス(発熱)
となるので効率が低下し、発熱も大きくなります。
充電電流は1本あたり0.6A、4本で2.4A、制御用に少々で2.5A程度必要です。
(電圧計測時には該当ブロックの充電を停止するので、実際には2.3A弱程度でした。)
3.3V、2.5Aを手持ちの12V1Aのトランスから作ろうとしているので余裕がありません。
実際、適当な負荷を接続し、出力電圧3.3Vに調整し(2.57A流れました)、この状態で負荷を解放した時の出力電圧は
3.5V程度に上昇してしまいます。
充電開始前の回路電流は15mA程度ですが、この状態で3.48V程度でした。
これは制御素子の性能というより、トランスのレギュレーションの影響が大きいと思います。
この程度の電圧変動は動作上は問題ないですが、現在、8月ということもあり、4本充電時のトランスは多少、発熱します。
ただし、トランスはA種絶縁で周囲温度40℃に対し60℃の温度上昇が許されていますので100℃までは耐えられます。
手で触った感じではせいぜい50℃程度ではないかと思います。
二次巻き線のAC電圧も12V以上あったので大丈夫と思います。
とりあえずケースには穴を沢山開けておきました。
ブリッジダイオードは電圧降下のロスを減らす為にショットキのものにしてあります。
放熱すれば15Aというものですが、放熱無しでは2A程度です。
こちらは殆ど発熱しませんでした。
制御ICは、以前、秋月から購入してあったSI−8010Yという8Aのステップダウンコンバータを使用しました。
7本足が千鳥の配列になっていますが、足が長いので少し斜めにすればユニバーサル基板に挿入できます。
アプリケーションノートに従い損失を求めたところ1W以下でしたので放熱器は付けてありません。
実際、全く発熱しませんでした。
一方、フライホイールダイオードは1.5W近い損失が発生し、多少発熱します。
このダイオードは5Aのダイオードが2素子入っていて、パラに接続すれば10A流せます。
この10Aの値はジャンクション温度100℃でも流せるようですので、多少の発熱は大丈夫だと判断しました。
リップルやノイズは小さく動作は安定しています。
デバッグは別途用意した定電圧、定電流電源で行い、デバッグが終了した時点で、この電源に接続します。
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前回製作した6本用のものと基本的には同じです。
前回はトランジスタアレイを介して出力をオンオフしたのですが今回は直接ポートでドライブしているので出力の論理レベル
が逆になっています。
CPUは手持ちにあったPIC18LF2620を使用しました。
低電圧で使える18LFは入手性に難があるので、何種類かの在庫を置いています。
価格は割高となりますが、びっくりするほど高価になるわけではありません。
電源容量がギリギリですので、充電電流は前回に比べ1割程度下げています。
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制御基板 | 制御基板裏面 |
制御基板はユニバーサル基板に組んであります。
配線は1mmと0.6mmのスズメッキ線、少し太めの被覆単線を使っています。
出力素子は1素子あたり最大で1.5Wの損失が発生しますので軽く放熱します。
ソフトウエアは前回の6本充電のものと同じです。
6本が4本になったこと、出力側のトランジスタアレイを省いた事で出力の論理が反転した程度の違いです。
充電電流はハードウエアで決定されます。
前回のソースファイルが汚かったので、変数や定数の名称を整理したのですが、これに起因するバグが複数、発生しました。
他は半田付け不良等のハードウエアのトラブルです。
この装置の動作は単純ですが、4本の充電回路が見かけ上、独立、並行して動作するようになっているためプログラムの構造は
少々、複雑です。
各処理は起動したら結果を待たずに次の処理に飛びます。
結果の処理は完了フラグやタイムアップフラグ等を監視して行います。
従って、処理は細切れになっています。
メモリの使用量は、そこそこあるのですが18LF2620は大容量(32KW:64KB)のメモリを持っているため
殆ど余っています。
8KW(16KB)の18LF2420があれば丁度良いのですが、手持ちに、これしかありませんでした。
多少なりとも電力を扱う機器では慎重にデバッグを行わないと痛い目に合います。
まず、電源部の動作試験を行っておきます。
負荷特性やリップルノイズ、各素子の発熱等の確認をしておきます。
制御部の回路試験、デバッグには、別途、実験用の定電圧、定電流電源を用意します。
電圧電流の監視と電流制限が必要な為です。
全てのデバッグが終了したら、製作した電源に接続し、最終的な動作試験をします。
まず、CPUを装着する前に各チャンネルの定電流動作を1チャンネルずつ確認しておきます。
仮のワイヤで電池の装着される位置を短絡し、さらに別の仮ワイヤで出力を強制的にONします。
回路に問題が無ければ各チャンネル0.6A程度の電流が流れます。
問題があれば全く流れないか、短絡電流が流れ、実験用電源の電流保護が動作します。
次にデバッグに移ります。
CPUソケットで電源ピンやリファレンス電圧の値を確認し、CPUを装着します。
デバッガを接続し、1本ずつ充電してみます。
今回、チャンネルの1つで未装着にも拘わらず、充電完了ランプが点灯するというトラブルがありました。
(未装着では消灯、充電中は点滅、充電完了で点灯のはずです。)
電池を装着した場合、充電は出来るようです。
原因は電池とパラに入っている22KΩ抵抗の半田付け不良でした。
デバッグが終了したら、プログラマで製品版プログラムを書き込み、製作した電源に接続し、動作試験を行います。
この装置は電源投入時に前回の充電状況をRS232Cで送信する機能があるので動作の評価が、ある程度可能です。
ターミナルの設定は9600BPS、パリティー無し、ストップ1BITのたれ流しです。
データは次回の充電開始で消去されるので、次回の充電をスタートしない限り、何度でも送信出来ます。
(電源を入り切りすれば、立ち上がりで送信されます。)
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装置外観 | 装置内部 |
写真は充電を試した電池です。
いずれも入手から、かなり年月が経過していて、放置されていた事もあり、条件は良くないです。
1本目はパナソニックですが、最低容量1000mAHと、かなり少なく、中国製と書かれていて少々怪しげです。...@
2本目もパナソニックですが、公称1550mAH、最小1450mAHで、こちらは日本製と書かれています。...A
3本目はマクセルで2300mAと大容量ですが長年放置されたものです。...B
4本目はGPの2300mAHのものです。...C
充電データ1
このデータは@の電池を4本充電した結果です。
列方向に充電開始電圧、充電中の最高電圧、終了時点の電圧、充電時間(分)です。
行方向に1本目、2本目、3本目、4本目となっています。
充電開始時に装着チェックの為、20秒間、強制的に全出力をONし、この後、充電開始電圧を書き込んでいますが、
負荷が軽いので、この時点でかなり電圧が上がります。
充電しながら電圧を計測すれば測定値はもっと上がるので、電圧測定している間は充電を止めています。
充電を止めても瞬間的に電池電圧は下がらないので一般的な電池電圧のイメージよりは高い値になっています。
数分間放置すれば電池電圧1.38V〜1.41V程度まで下がりますが計測の為に数分も止めておくわけにはいきません。
充電電流によっても電圧は変わってくるので、記録された電圧はこの装置固有の値です。
尚、充電を止めて電圧を計測する事は特許になっているとのことです。
充電データ1は容量の少ない@電池を使っているので2時間半程度で終了しています。
この電池は電荷が残っていたので充電前に放電しています。
充電データ2
この電池Aは容量が@より増えているので充電には3時間半程かかっています。
放置されて自然放電していたものを、そのまま充電しました。
充電データ3
B電池は容量が大きく充電には5時間半程度かかっています。
この電池は特に長時間放置され、完全に放電していたので充電に時間を要した可能性があります。
充電データ4
Cの電池は2本しかなかった為、チャンネル3,4にはBの電池を入れてあります。
両方とも2300mAHですので充電には時間がかかっています。
チャンネル3のB電池は丁度6時間で充電が終了しています。
この充電器は6時間を超えると(6時間1分で)タイムアップとなり、充電がうち切られます。
タイムアップ直前に充電が完了したことになります。
Cの電池は充電時の電圧上昇はデータのように低いのですが、数日後でも1.35V以上あり、状態が良いことを示して
います。
(購入したのが比較的、新しい為かもしれません。)
使い方は簡単です。
電池を装着し電源スイッチを入れます。
スタート釦を1秒間押すと充電はスタートし、充電完了で停止します。
スタート後20秒間で電池の装着チェックを行います。
この間は電池の有り無しに拘わらず全ての出力がONし全ての充電表示ランプが点滅します。
この後、装着位置の表示ランプが点滅して充電を継続し、未装着の位置の表示ランプは消去され出力はOFFします。
充電完了で点滅表示は連続点灯となります。
電池は1〜4本の任意の本数が装着出来、1本毎に終了判断をします。
充電を強制的に打ち切るときは電源スイッチを切ります。
この後、電源スイッチを入れスタート釦を押せば再度充電が出来ますが、小刻みに充電すると電池のメモリ効果で充電量が
減ります。
この場合、一旦、放電してから充電します。
充電が完了した電池を再度充電した場合、充電完了の判断をするまでに30分程度かかってしまうので、過充電になる可能性
があります。
充電完了した状態の良い電池は数日後でも1.3V以上あります。
少し弱った電池は数日後1.28V程度になります。
放電した電池は1.2V以下ですので充電前に電圧を確認しておくと良いです。
電池を1本も装着しないでスタートさせた場合は充電回路をリセットさせる必要があります。
リセット釦は付けてないので電源を入れ直します。
必要であれば前回の充電状況をターミナルに送る事が出来ます。
PCと充電器をストレートのRS232Cケーブルで接続し、ターミナルソフトを起動しておきます。
設定は9600BPS、8BIT、パリティー無し、ストップ1BIT、フロー制御無しです。
電源を入り切りすれば何回でも送り直す事が出来ますが、スタート釦を押せば消去されます。
充電するときはRS232Cケーブルを外しておきます。
今回使用した電池ボックスは構造的に逆方向に装着出来ないので心配は無く、動作確認はしていません。
それでも一応、SPICEでシミュレーションはしてあります。
ただし、電池のモデルが無かったので電圧源で代用したり、低電圧駆動のPMOSモデルが無かったのでバイポーラトランジスタ
で代用したりしています。
検出電圧は−となるので、AD入力端子に負電圧が加わります。
ただし、1KΩの抵抗で電流制限されるので壊れることは無いと思います。
出力制御素子の電流は同じですが負担する電圧が増える為、損失は2W強となります。
小さな放熱器では熱くなるかもしれません。
ただし、逆向きの電池は20秒で装着無しと判断され、出力はOFFとなります。
20秒位であれば耐えられるはずです。
しかしながら実機で確認はしていませんので逆接続に関して保証はしません。
この充電器はコストや製作の手間の割には大した性能を持っている訳では無いので、記事として読み飛ばして頂ければ
結構です。
それでも作ってみたいという人の為にHEXファイルがダウンロード出来るようにしておきました。
その際の注意点を以下に示します。
完成までには多少の危険が伴います。
調整手順等は本文中に記してあるので参考にしてください。
結果に対する責任は負いません。
しっかりした金属製のケースに入れて使い易くしてください。
むき出しの基板のままでは使いにくいこともありますが、事故も起こりやすくなります。
市販のプラスチックの電池ボックスは使用出来ません。
電極部分のカシメによる接触抵抗で発熱し、溶けてしまった経験があります。
私は100mA以上は使えないと判断しています。
今回は買いだめしておいた金属製の電池ボックスを使っています。
これは以前、秋月で販売していたものですが、現在(2013/8)見あたりません。
充電を止めて電圧計測を行うという事が特許となっているとのことですので、個人使用の目的以外では製作出来ません。
CPUにはPIC18LF2620が必要です。
PIC18F2620では動作しません。
長期間放置された電池(店頭放置も含む)は劣化して使用出来ない場合がああります。
メンテナンスや問い合わせに対する個別対応は行いません。
HEXファイルのダウンロード