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ニッケル水素単四電池用充電器が無かったので製作しました。
単三電池、単四電池が両方装着出来る電池ボックスが入手出来れば、わざわざ単4電池専用の充電器を作る必要は
無いのですが・・・
内容的には以前に製作した単三4本用の充電器と同じです。
ただし、単四電池ということで充電電流は1本あたり300mAと少なくなっています。
それに伴い電源部が変更されています。
単4電池の容量は600mAH〜1300mAH程度と思われますので3時間〜5時間で充電出来ると思います。
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前回、CPUを低電圧で使えるPIC18LF2620にしましたが、今回は入手が容易なPIC18F2420
としました。
PIC18Fも新しい素子が出ているので低電圧で使えて入手性の良い品種があるのかもしれませんが、私の対応が出来て
いません。
CPUの電圧が5V、充電電源が3Vですので、ポートから充電回路に逆流しないようにダイオードを入れてあります。
電源は市販の5V1Aスイッチング電源ですが、このままでは0.3A×4=1.2Aが供給出来ないので、充電部の電圧を
MAX652で3Vに下げ、その分、電流を稼いでいます。
このことで、充電部のトランジスタの損失も減っています。
5Vから3Vに変換するコンバータは効率が高くないといけません。
このような低電圧の電源では出来るだけ耐圧の低い素子を使うのがポイントです。
耐圧が低い見返りに内部抵抗が小さくなっています。
今回使用したチップMOSもショットキダイオードも耐圧20Vのものです。
たまたま、秋月電子で扱っていたため取り寄せました。
チップMOSは米粒より小さなサイズですが、開閉する電流のピーク値は2A以上となります。
ただし、常に飽和動作となるので、内部抵抗の小さいこともあり、チャンネル損失は小さくて済みます。
インダクタはアミドンのカーボニル鉄トロイダルコアを使いました。
材質が#3、外径が0.68インチのものです。
これに0.8mmUEWを20回程度巻き、22uHとしています。
5Vから3Vに変換するコンバータの効率は85%程度あります。
充電用の半導体スイッチには今回はバイポーラトランジスタを使用しました。
前回より電圧が下がっている為、MOSではゲートの開閉が大変になります。
電源で使用したチップMOSは低電圧でゲートが開閉出来るのですが、この部分は飽和動作で無いため損失が発生し、
放熱に難があります。
A/Dのリファレンス電圧は3.072Vに調整します。(1bit3mV)
RS232Cは9600ボー、ストップ1bitです。
充電終了後、電源スイッチを入り切りすれば何度でも結果を送信する事が出来、次の充電スタートで消去されます。
電池ケースは秋月電子で購入した単四電池用の金属ケースを使用しました。
構造的には、しっかりしていて接触不良の心配も無いのですが、脱着に力が必要で大変です。
単三用の電池ボックスには逆挿入防止のプラスチックリングが付属していたのですが、単四電池ボックスには付属して
いません。
万が一、逆差しした時、どうなるか検討してみました。
次の2点に対して考慮が必要です。
@ PICのA/D入力に負電圧が加わる。
A 出力トランジスタの損失が増える。
@に関してはA/D入力には1KΩの抵抗が直列に入っているのでクランプされると思います。
Aですが、電池が正常に装着された場合、電源に対して電池電圧がマイナスされた形でトランジスタに加わります。
逆向きに装着された場合、電池電圧が加算された形で加わります。
正常な時は最大で0.6W程度、逆差しの時は最大で1W程度になります。
2SA1359は周囲温度25℃で許容コレクタ損失1.5Wですので1Wでは、かなり熱くなると思います。
ただし、この充電器は起動時20秒だけ無条件で充電するように作ってあります。
その後は電池異常と判断して通電がストップします。
つまり、20秒だけ1Wに耐えればよいということです。
以上、逆装着でも大丈夫のはずですが、あえて試してはいません。
尚、電池にとっては充電でなく、300mAでの放電となります。
制御基板はユニバーサル基板に組んであります。
電流が少ない分スペースに余裕があり、5V→3Vコンバータも同一の基板に入れてあります。
出力素子は1素子あたり最大で0.6Wの損失が発生します。
ソフトウエアは単三4本用のものと同じです。
ただし、CPUが違い、コンフィギュレーションワードが僅かに違います。
リンカースクリプトも異なります。
以下にメモリの使用量を示します。
ケースの加工は面倒な作業ですが製作した機器は、どんな簡単なものでもケースに収納して使い易くします。
剥き出しの基板のままでは使いづらい事もありますが、壊れやすく、事故も起こりやすくなります。
写真は加工が済んだ充電器のケースです。
半分以上は通風の為の穴です。
ACコードを止めるプラスチックパーツを圧入する穴の加工が一番、面倒です。
微妙な形状にヤスリで加工しなければならず、少しでも削りすぎると抜けてしまいます。
装置外観 | 装置内部 |
手持ちの単四ニッケル水素電池を充電してみました。
この電池は最低容量650mAhと表示された比較的容量の少ないものです。
電池が新しいこともあり、比較的低い電圧で充電が完了しています。
充電時間は2時間半余〜3時間未満で揃っています。
一応、HEXファイルを置いておきます。
私のハードウエアでは問題なく動作していますので動作しない場合はハードウエアに問題があります。
私は実験用のCVCC電源を使って、回路の各ブロック毎に慎重に動作確認をしています。
同一基板内でも電源部、充電部、CPU部と切り離して、別々にチェックしています。
まず、5V→3Vのコンバータの負荷特性をとります。
効率は85%、負荷電流は1.3A以上取れる事を確認しました。
次に充電部の電流をチャンネル毎に確認します。
全てのチャンネルの電池端子に電池の代わりに5Ω程度の抵抗を接続し、定電流の値を確認します。
CPUの充電ON用のポートをダミーで接地し、出力トランジスタをONさせます。(CPUは実装しません。)
各チャンネルの電流値が320mA程度であることを確認しました。(重要)
実際の動作では電圧計測サイクルでは通電を止めるので、平均電流は300mA弱となります。
CPU回りの結線を再度チェックし、電源ピン、プルアップされたピンの電圧を測ります。
各コネクタの電源ピンの電圧を測ります。
ICSP以外のコネクタを装着します。
CPUのREFピンの電圧を3.072Vに調整します。
以上は5V1Aの電源では無く、CVCC電源を使って常に電流値を確認します。
問題なければ一旦電源を切り、CPUを装着します。
プログラマでプログラムを書き込むと20mA程度の電流が流れます。
CVCC電源のまま電池を4本装着してスタートさせると0.9A程度の電流が流れます。
ここで初めて親電源をCVCC電源から5V1Aのスイッチング電源に換えて、配線完了です。
この後、実際に充電して結果をターミナルに送信し、問題なければ完成です。
回路図全体を配線して、いきなり通電した場合、間違いなくトラブルが発生します。
フォロー、メンテナンスは一切しませんので、使用する場合は各自の責任でお願いします。
HEXファイルのダウンロード