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ラジオの回路としては前回の4球ポータブルスーパーと大きな違いはありません。
ただし、電源を1.5V単3電池2本のみ(パラ接続)とし、B電源はDC/DCコンバータで作成しています。
その為、バーアンテナの配置、ヒーター電源のフィルター等ノイズを拾わないように注意を払っています。
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ラジオの回路は一般的なものですが、まともなバーアンテナが入手出来ず、ポリバリコンも不良品を入手したので調整には
苦労しました。
B電圧は1.5Vから45Vに昇圧しています。
調整にはCVCC電源を使用したので、いろいろな保護回路が付いています。
電池の場合、逆に接続することは、まずありませんが、調整中のCVCC電源では逆に接続してしまう可能性があります。
回路図のMOSFETは1Vの入力の時、負荷に5Ωの抵抗を接続し、電圧降下が50mV以内のものを選別しました。
また、調整の時はDC/DCコンバータを使わず、直接CVCC電源からB電源を供給するので過電圧、過電流、逆接続に
対しても保護しています。
B電流は3mA以下ですが定電流ダイオードは4.5mAのものをパラに入れています。
1本でも保護出来ますが電圧降下を減らす為に2本入れています。
定電流動作では電圧降下は5V位ありますが、この回路の電圧降下は1V程度です。
尚、定電流ダイオードは電流値5.6mAまでは耐圧100Vで、これ以上の電流値のものは耐圧が下がります。
従って小電流のものを並列接続した方が耐圧の点で有利です。
調整終了後、これらの保護回路を除くことも可能ですが、そのまま残してあります。
その為、若干のロスが有りますが、再度、調整する事が必要になるかも知れません。
バーアンテナは今まで入手できていたSL−55Xが入手出来なくなったので自作する羽目になりました。
ポリバリコンも160pFのものしか入手出来ず、バーアンテナのインダクタンスが大きくなるので分布容量が気になり、
全体の1/3位のところにタップを付けてグリッドに入力しています。
OSCコイル、IFTは全て10mm角の市販品を使っています。
OSCコイルは同調コイルを少し巻き戻してインダクタンスを減らしています。
これはコイルの分布容量を減らす為です。
IFTは無改造ですが出力巻き線を使っていないのでコアの色は何でも同じです。
出力トランスは山水ST−30の巻き線と鉄心の隙間に0.16mmのUEWを巻けるだけ巻いています。
今までも真空管ラジオでDC/DCコンバータを使用していますが今回は電源をヒーター電源と共用する事、ラジオの筐体サイズ
が小さい為、ラジオの回路に接近しているので、より難しい点があります。
DC/DCコンバータは空中にラジオノイズを放射するのですが、ヒーター電源と共用した場合、ヒーター配線経由でもノイズ
が回り込む事が判りました。
図はロイヤーの回路と呼ばれるもので発振周波数は鉄心の材質と巻き線、電源電圧等で決まります。
空中に飛ぶノイズは発振周波数が低い程、弱くなりますがヒーター配線に回り込むノイズのフィルターは周波数が低い程、
大容量のものが必要になります。
一次巻き線と並列にに入っている1uFのコンデンサーは波形を鈍らせ、で空中に飛ぶノイズを低減しますが、ヒーター配線
経由のノイズは増え、効率も下がります。
今回は鉄心にフェライトコアFT−50#75を使用しました。
巻き線は一次が0.26mmUEWを80回程度(40回バイファイラ巻き)、二次が0.1mmを700回程度です。
発振周波数は約1KHzで結構、高いのですが、その分、ヒーター回路のフィルターは楽になります。
空中に飛ぶノイズ対策としてはコンバータ全体を厳重にシールドしています。
保護回路を含めた効率はデータを取っていませんが55%程度だと思います。
今までトランジスタスーパー用の小型バーアンテナとして、あさひ通信のSL−55Xが入手できたのですが最近になって
入手出来なくなりました。
代替品はコアが10φの丸棒になった為サイズが大きくなり、スペースに収まりません。
ネットを検索して、ある通販サイトからスペースに収まりそうなバーアンテナを2種類購入しました。
1つ目のバーアンテナはサイトの広告写真とは異なるものでした。
コアの寸法は4×10×38で合っていますがコイルが10φ丸棒用でユルユルでした。
インダクタンスも広告のデータとは異なり、400uHしかありません。
これは全く使えません。
2つ目のバーアンテナはサイトの広告写真と見た目は同じでしたがインダクタンスは200uHも大きいものでした。
巻き線は雑に巻いたハニカム巻きといった感じです。
最初870uH位だったものを600uH程度まで巻き戻し、取り付けました。
ディップメーターで同調周波数を確認したのですが、最高周波数でディップが浅く、これも止めました。
結局、バーアンテナは自作することになりました。
コアは最初の写真のものを使い、2番目の写真のバーアンテナから巻き戻したリッツ線を巻きました。
タップを全体の1/3程度のところに付け、これをグリッドに入れています。
ポリバリコンは手持ちがあったのですがバーアンテナを購入したサイトから通信販売で求めました。
取り付ける前に最大容量と最小容量を計測し、この時は問題ありませんでしたが調整中に局発が発振しなくなりました。
調整中にバリコンが壊れるという事は頭になかったので原因を発見するのに手間取りました。
結局、局発の羽とGNDがショートしていたので手持ちのものと交換し、廃棄処分となりました。
回路はユニバーサル基板に組みました。
写真で茶色の電解コンデンサー2個はヒーター回路のフィルター用の560uF6.3V、黒い電解コンデンサーはB電圧
フィルター用の33uF100Vです。
ラジオ外観 | ラジオ内部 |
今回もケースはタカチPR−140Gを使用しました。
銅テープでシールドされた箱の中にDV/DCコンバータが入っています。
NHK第二(639KHz)、NHK第一(882KHz)、静岡放送(1404KHz)が実用的に聞こえますが音が小さい
です。
ポリバリコンの容量が小さい為、分布容量の影響を受け、特に局発の調整範囲に余裕が無いのが原因です。
どれか1局にポイントを絞って合わせれば、もう少し大きな音で聞くことが出来ます。
もう少し大きな容量のポリバリコン、もう少し高性能なバーアンテナが手に入れば作り直したいと思います。
回路的には完璧とは言えないまでも大きな問題は無いと思います。
DC/DCコンバータのノイズ対策は十分で、殆ど影響は受けず、支障無く聞くことが出来ます。
ヒーター電流は170mAでB電流は3mA以下ですのでDC/DCコンバータの電流も200mA以下だと思います。
単3電池2本で6時間程度聞く事が出来ると思います。
ポリバリコンとバーアンテナを交換しました。
ポリバリコンは最大容量に大きな変化はありませんが最小容量が同調側も局発側も1pF近く減りました。
その為、特に局発の周波数範囲が545KHz程度〜1600KHz程度に拡がりました。
バーアンテナは以前、景品として貰ったカード型ラジオのバーアンテナを使ってみました。
このラジオは3個ほど手元にあったので、1台に犠牲になっていただきました。
このラジオはAM用3端子ICを使用していてアンテナの巻き線にはタップや二次巻き線が無く、そのままICに入力
されています。
バーアンテナのインダクタンスは700uH位だったので若干、巻き戻す必要がありました。
安物の為、フェライトバーにUEWを直接、巻き付けてあるのでコイルを移動してインダクタンスを調整することが
出来ません。
少しずつ巻き戻して同調周波数を調整しました。
ラジオに取り付けたところ特に高い周波数で感度が上がった様です。
音量調整VRは500KΩから100KΩに変更し、シールド線を止めました。
500KΩではシールド線を使わないと低周波発振を起こしたのですが100KΩではシールド線を使わなくても大丈夫
です。
結果、音量が上がりました。
シールド線は一種のコンデンサーですので低周波信号が喰われていたようです。
DC/DCコンバータのノイズは全く感じません。
電池の持ちを確認するために新品の電池で連続して聞いてみました。
6時間〜7時間は室内で普通に聞こえます。
それ以降は手元に置いて内容を聞き取れる程度です。
10時間が経過し、音が小さくなり、電池電圧が0.9Vになったので終了しました。
ただ、出力管と出力トランスが貧弱な為、大きな音は出ません。
修正した回路図をアップします。
最初の回路図と殆ど変わっていません。
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上の回路図の2本の5678を6088に変更したところ音量と感度が若干、上がりました。
6088は一応、出力管ですのでゼロバイアスでは電流が流れやすくなった為と思われます。
この場合、増幅するのは中間周波と低周波ですので結果が良かったのですが、もう少し高い周波数では5678の方が
ゲインが大きくなります。
ヒーター電流は2本で60mA減ったのですがB電流が1mA程度増え、DC/DCコンバータの負荷が重くなりました。
電池が新しいときB電圧は実測で44V程度になり、6088のカソードには1.2mA程度流れました。
6088の最大カソード電流は1.5mAですので、B電圧が45V以上の時は注意します。
(この場合はスクリーングリッドに抵抗を入れる。)
電池の持ちを確認してみました。
今回も電池は100円ショップで買った新品の単3電池2本です。
1日目は17時間連続動作させました。
音は小さくなりましたが静かな部屋では十分、聞こえます。
2日目に3時間聞いたところで聞きづらくなりました。
ラジオを手元に置かなければ内容が聴き取れません。
電池電圧を計ると0.9Vでした。
この時点でもマグネチックイヤホンなら実用的に聞くことが出来ます。
真空管を交換する前の連続動作時間は10時間でしたので電池の持ちが2倍になりました。
この回路では真空管を5678から6088に変更したところ性能が上がりましたが常に6088の方が優れている訳
では無いので注意が必要です。
前記のラジオは、そこそこ使えたのですが他に、もっと調子の良いラジオが出来たので、このラジオは分解し
作り直すことにしました。
基板は作り直しましたがケースとシャーシは流用しました。
ただし、配線の都合でボリュームとバリコンの位置が逆になっています。
前回、低周波発振が起きた為、音量調整VRを100KΩに下げたのですが、今回は1MΩでも大丈夫でした。
外した球を流用したので回路構成は同じです。
バリコン、IFTは外したものを流用しましたが局発コイルは巻き直しました。
バーアンテナはインダクタンスを調整出来るものに変更しました。
DC/DCコンバータは作り直しました。
回路は同じですが機械的振動音を減らす為に一次巻き線をアクリル樹脂のラッカーで固めています。
また、入力側にチョークコイル、出力側に過電圧、過電流保護部品を内蔵しています。
その為、ラジオ側の定電圧ダイオードは除きましたが調整時にCVCC電源を使う場合、注意が必要です。
電池電圧1.5Vの時、10KΩ負荷に43Vを発生するように二次巻き線の巻き数を微調整しています。
また、効率が最大となるようなバイアス抵抗を丸ピンICソケット取り付けるようにしています。
効率は上記の条件で約70%です。
単3電池ボックスは逆装着出来ない構造のものに換えたのでヒューズ、逆電圧防止回路は除きました。
ただし、調整時に電池やコンバータを使わずCVCC電源を使う為、ダイオードで保護しています。
回路図をクリックすると拡大表示されます。
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基板のスペースに余裕があれば1AG5の負荷はチョークトランスにするのですが余裕が無いので抵抗負荷にしています。
ここでは抵抗値を簡単な実験で決めています。
プレート抵抗、スクリーン抵抗は丸ピンICソケットで交換可能にしておきます。
RP=120K
RG2=270K
上の写真は黄色が入力波形で約1KHzの正弦波、縦軸は20mV/DIVです。
出力は青色で縦軸は500mV/DIVです。
20倍〜25倍のゲインがあります。
無信号電位はプレート電圧18.6V、スクリーン電圧20.5Vに低下しています。
RP=470K
RG2=1M
上の写真は黄色が入力波形で約1KHzの正弦波、縦軸は20mV/DIVです。
出力は青色で縦軸は1V/DIVです。
60倍〜70倍のゲインがあります。
無信号電位はプレート電圧10.1V、スクリーン電圧11.7Vに低下しています。
プレート電圧が低いので心配になりますがゲインは大きいのでこの定数を採用しました。
実際にはプレート抵抗1M、スクリーン抵抗2.2Mの組み合わせも試していて、さらにゲインが大きくなることを確認
しています。
しかし、プレート電圧は8V程度になり、出力インピーダンスが上がりすぎると思い、止めています。
DCDCコンバータは作り直しました。
手順として、まず動作条件を仮定します。
今回は電池電圧が1.5Vのとき負荷として10KΩの抵抗負荷に43Vの電圧を発生させます。
負荷電流は4.3mAとなります。
これは実際のラジオより、少し重い負荷となります。
コアは透磁率の大きいFT−50#75を使用し、一次巻き線の巻き数を減らします。
一次巻き線は12回〜24回で十分ですが18回としました。
バイファイラ巻きとしますので、18回+18回となります。
二次巻き線は300回程度になりますが、多めに巻いて巻き戻し、上記の条件に合う様、微調整します。
バイアス抵抗も微調整し、効率を上げます。
#75コアは導電性があるので、最初にアクリルラッカーをスプレーし、絶縁します。
一次巻き線を巻いた後、アクリルラッカーで固め、この上に二次巻き線を巻きます。
機械的振動音を低減し、一次、二次の絶縁性を高めます。
完成後、最初の動作条件で試験し、効率が65%以下だったら、やり直しです。
ラジオの感度や音量に最も大きな影響を与えるのはアンテナです。
このような小型のラジオではアンテナも小型になり、不利です。
特にスーパー用のポリバリコンは容量が小さく、組み合わせるアンテナには大きなインダクタンスが要求されます。
小さなフェライトバーで大きなインダクタンスを得る為に巻き数が多くなり、分布容量が増します。
分布容量の影響で高い方の周波数の局が受信出来ないと言う話はよく聞きます。
どうしても受信範囲が取れない時は巻き線の中間タップや巻き数の少ない二次巻き線を使ったりしますが、受信信号が分圧され
感度は下がります。
小型のスーパー用のバーアンテナは現在、まともな物は入手困難です。
少し前はSL−55Xというバーアンテナが入手出来ましたが、現在は入手できません。
代替品のAR−55Xというバーアンテナはコアの寸法が大きくなり使えません。
多くの種類のバーアンテナを販売している通販サイトがありました。
(この頁の最初の方でも書いています。)
試しに買ってみるとデータが何も付いていません。
広告にはインダクタンスのデータが記載されているのですが、購入して計測してみると皆デタラメです。
多くの場合、インダクタンスは足りないのですが、時々、多すぎる物があったりします。
以前、他のパーツでも不良品を掴まされたことがあり、このサイトの利用は止めていたのですが他に小型のバーアンテナを販売
している店が無かったのでバーアンテナ限定で再度、挑戦してみました。
コアの寸法が丁度良いもの、写真で判断して綺麗に巻かれているもの、予定しているインダクタンスより多めのインダクタンス
が記載されているものを何種類か購入し、何とか使えたのが写真のバーアンテナです。
分布容量も小さく、タップを使ったり、二次巻き線を巻いたりしなくても受信範囲を確保出来ました。
歩留まりが悪く、高い部品となりました。
市販の10K局発コイル(赤コア)を巻き直しました。
まず最初に二次巻き線を30回巻き、巻き終わりをGNDに接続します。
この上に同調巻き線を同じ方向に巻き、巻き始めをGNDに接続します。
コアの位置を中央にしてポリバリコンの子側に結線し、容量最大で530KHz共振するように巻き数を
合わせ込みました。
巻き数は記録していませんが100〜120回程度だと思います。
巻き始めから30回のところにタップを出し、1V6に入力しています。
前回製作したラジオの物を流用しました。
山水ST−30Aトランスの巻き線と鉄心の隙間に0.16mmUEWを巻けるだけ巻いたものです。
50回〜60回程度だと思います。
ラジオ外観 | ラジオ内部 |
以前より感度、音量は向上しましたが、出力管、出力トランスが貧弱ですので大音量とはいきません。
消費電流は僅かに増え、電池電圧1.5Vの時300mAとなりました。
電池1本あたり150mAとなります。
電池応用ハンドブックによると単3電池で10Ω負荷の連続放電時間は18時間程度となりますが終止電圧0.9Vとした
データですのでラジオとしての使用時間は連続12時間程度と思われます。
DCDCコンバータはさらに静になり、全く影響ありません。
音量を0に絞って筐体に耳を押しつけるとDCDCコンバータの発振音が微かに聞こえます。
イヤホンでは遠距離のニッポン放送を聴くことが出来るので感度は、そこそこあると思います。