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別の頁「電池管FMラジオの実験」で電池管FMラジオに関する実験をしてきました。
この内容に関しては私の能力も電池管の能力も目一杯なので、なかなか進展しませんでした。
大部、時間が経過したので、この辺で実用的なFMラジオを製作しケースに収めてみようと思い立ちました。
最初に収納するケースを決め、これに収まる回路を製作します。
ラジオを製作した後で収まるケースを探しても適当なサイズのケースは見つかりません。
私は多くのラジオを上の写真のパーツケースに収めています。
写真はAMラジオで1A2、1B2、2P2の3球レフレックススーパーです。
3球ですのでケースに収まっていますがFMラジオでは7球程度になるのでMT菅では収まりません。
上記のケースより大きなケースは馬鹿でかくなってしまいます。
従ってこのケースに決定し真空管はサブミニチュア管としました。
サブミニチュア管という事で局発は5676になります。
高周波増幅が5676で出来ないか試したのですが思わしくなく、高周波増幅は省きました。
混合は5678、中間周波増幅は5678を3段、検波と低周波増幅は1AG5の手持ちが少ないので
ダイオードと5678にしました。
低周波出力は5672を使います。
結局、5672を1球、5676を1球、5678を5球、合計7球使用します。
写真は左より5672、5676、5678です。
B電圧はDC/DCコンバータで作成します。
出来るだけ高い電圧にしたいのですが50V耐圧のコンデンサーを使用する為、電池が新しい時48Vになるようにします。
(過電圧は48Vの定電圧ダイオードでクランプします。)
出力管のバイアス抵抗での電圧降下を考慮しDC/DCコンバータの出力は54Vとします。
ラジオの回路が出来ていない状態ですが先にDC/DCコンバータを製作しておきます。
出力電圧は54Vですが出力電流は10mAと予想し、この条件で製作します。
電池電圧1.5Vの時、入力電流を500mA以内に抑えたいので効率は70%以上を要求されます。
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回路は負荷解放時に出力電圧を55Vに制限します。
負荷短絡時に出力電流を20mAに制限します。
ラジオのA電圧とB電圧をショートさせた場合でも球のヒーターを焼損することはありません。
負荷短絡時にコアが磁気飽和しトランジスタに短絡電流が流れても壊れないように考慮しています。
発振トランスのコアはFT−50#75と小さいですが一次巻き線の巻き数が少なく、相対的に二次巻き線の巻き数も少なく
なる為に容易に巻くことが出来ます。
#75コアは導電性があるので透明のアクリルラッカーで絶縁しておきます。
最初に0.4mmのウレタン線で一次巻き線を巻きます。
12回+12回のバイファイラ巻きにし、コアに均等に巻きます。
片方の巻き始めと他方の巻き終わりを接続しセンタータップとします。
この状態で再びアクリルラッカーをスプレーし一次巻き線を固めておきます。
これで機械的な振動音を低減すことが出来ます。
トロイダルコア自体も接合面が無いので他の鉄心より機械的な振動音は小さいと思います。
一次巻き線の上に、そのまま二次巻き線を250回程度巻きます。
0.14mmのウレタン線を多めに巻き、ほどきながら出力電圧を微調整します。
手持ちの関係で0.14mmを使いましたが0.12mmでも十分ですので、こちらにすれば巻くのが楽になります。
倍電圧整流をするので巻き線に発生する電圧は30V以下です。
従って絶縁耐圧は特に考えていません。
上の写真は製作したDC/DCコンバータです。
発振トランスに一回り大きなFT−82コアの使用も可能なように大きめのサイズになっていますがFT−50コアで済んだ為
スペースが余っています。
コレクタ波形 | 残留ノイズ |
バリコンは「ラジオ少年」で購入したジャンクのバリコンです。
比較的小型でジャンクの割には綺麗です。
AM用の親子バリコンとFM用の3連バリコンで構成されています。
今回のラジオはFM用の3連バリコンのみ使用します。
25pF×3ですが後ろ側の1セクションはトリマーが付いていません。
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作業を始める前に回路図を清書しておきます。
途中で変更が発生したときは、その都度に修正し常に最新の回路図を用意します。
FMラジオは色々、実験していてので短時間で回路が書けました。
実験では高周波増幅も試したのですが思わしくなく、省きました。
中間周波は1.7MHzで3段増幅の後、スロープ検波し低周波増幅を2段行います。
IFTはトランジスタラジオ用の局発コイル(赤コア)を使用しました。
10mm角を使いたかったのですが基板のスペースの関係で7mm角を使用しました。
実験で使用していた10mm角に比べて7mm角はインダクタンスが大きい様です。
製作後に共振コンデンサーを交換する羽目になりました。
7mm角を使用するラジオはポリバリコンも小型、小容量になるのでインダクタンスを増やしているのだと思います。
回路は2枚の基板に分割しているので実際は接続用コネクタがあるのですが省略し、調整時にCVCC電源に接続するコネクタ
のみ表示しています。
調整時のCVCC電源に対する保護ダイオードを書いていますが調整後電池(単1電池1本)で動作させるときは不用です。
バリコンのトリマコンデンサーは省略しています。
トリマコンデンサーの無いセクションに後から追加したトリマコンデンサーは書いています。
出力球バイアス調整電圧で電源表示LEDを点灯していますがケースが透明ですので基板に付けたままです。
特にケース表面に引き出してはいません。
今回は受信周波数範囲を76MHz〜95MHz広くとったのでトラッキング調整が大変です。
コイルとバリコンの組み合わせは実験で確認しています。
コイルは1φスズメッキ線を単4電池に巻いて直径12mm程度にしました。
局発コイルは巻き数6、同調コイルは巻き数4、アンテナリンクコイルは巻き数2で同調コイルの隣りに並べました。
バリコンは周波数範囲を確保する為に手を加えます。
まずトリマコンデンサーの付いていない最後尾のセクションにトリマコンデンサーを追加します。
追加するトリマは羽の重なり具合が目視出来る物にします。
調整時、回転する方向や量が判る必要があります。
バリコンと直列にコンデンサーを取り付け周波数の可変範囲を調整します。
トリマコンデンサーは微妙な調整が必要ですが直列コンデンサーは多少ラフですので固定コンデンサーを交換します。
必要であれば並列コンデンサーを取り付けることも可能です。
リード線は基板上のコイルに接続します。
FMラジオの製作記事でコイルの間隔(長さ)を伸ばしたり縮めたりして周波数調整をすると書かれているのを見ますが
周波数を大きく変えることはできません。
大きく変えるほど変形させると取り付けピッチが変わるしQが下がります。
また、作業に再現性がありません。
回路基板 | ラジオ外観 | ラジオ内部 | バリコン周辺 |
上側の基板に低周波回路、下側に局発、混合、中間周波増幅、検波回路が納められています。
バリコンは取り付け位置と選局がクリチカルな為、30mmのバーニアダイアルを取り付けました。
DC/DCコンバータはベース板に取り付けるとトリマーの調整が出来なくなるので蓋に取り付けています。
右側の側面にトリマー調整用ドライバーの軸を通す穴を開けてあります。
ケースの高さが少し足りないので球の足を少し曲げています。
中間周波増幅以降の回路は数多く製作した中波のスーパーと同じですので問題はありません。
ただ、中間周波数は1.7MHzと高くなっているので調整用に安価な信号発生器を購入しました。
中波の時は455KHzの信号発生器を自作しました。
中波のスーパーは15台程度製作したのでIFTの調整に活躍したのですがFMスーパーは台数が増えるとも思えず
1.7MHzだけで良いのかという問題もあるので作る気がしませんでした。
調整は前述した局発と受信周波数の周波数範囲の調整が殆どです。
発振周波数は周波数カウンタで計測しますがノードにプローブを接続すると影響を受けます。
写真のようにピックアップコイルで計測しますが局発コイルとの距離によっては影響を受けます。
同調周波数の計測はケースに穴を開けてディップメーターのコイルを通します。
局発が少し干渉するような感じがするので局発を止めた方が良いかもしれません。
いずれにせよ調整は面倒です。
調整は、まだ完璧ではありませんが地元のローカル局(SBS補完局、NHKFM、KMIX)が実用的に聞こえます。
もう少し良くしようとトリマを少し回すと余計に悪くなってしまいます。
DC/DCコンバータのノイズがFM周波数に影響を与えることを心配したのですが問題ありません。
IFTのQを上げて感度を上げようとすると音が歪みます。
電池電圧1.5Vの時の消費電流は900mA強です。
電池電圧0.9Vまで聴く事が出来ます。
新品のアルカリ1本で連続10時間程度使用出来ると予想します。
その後、トラッキング調整を繰り返し、受信範囲を76MHz〜95MHzに合わせる事が出来ました。
従って76.5MHzのFM島田から93.9MHzの静岡放送FM補間局まで受信出来ました。
ただしFM島田は推定距離15Km出力20Wコミュニティー局ですので音は小さくなります。
電池電圧が下がると聞こえなくなるかもしれません。