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2年ちょっと前に電池管に電池管ラジオを作り始めたのですが、サブミニチュア管の入手には苦労しました。
当時、ある通販サイトで6418と5678が安く売られていたので各々20本位を購入しました。
6418は小型でヒーター電流が10mA少ないのが長所ですが実用的なラジオを作るには非力です。
結局、6418を使用したラジオは殆ど分解され、抜いた6418が沢山、残っていますが今後、活用される可能性は今の所
ありません。
5678は安価で能力的には十分ですが低いB電圧では6088の方が調子が良く、何本かを置き換えました。
6088はヒーター電流が20mAと少なく、AM周波数程度では有利だと感じました。
今回、製作したラジオは、この時抜いた5678を4本使用しています。
このラジオは毎日、使用する目的で製作しました。
一番、気になるのはランニングコストです。
ニッケル水素単3電池を2本パラにし、連続12時間程度の動作を見込んでいます。
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回路は前回製作した1.5V単電源4球スーパーUと殆ど同じです。
ただ5678はB電圧が低いと電流が流れにくいので46〜48V程度に上げています。(電池電圧1.5V時)
バーアンテナ
前回同様10φ×20cmのフェライト棒に0.1mm×20芯のリッツ線を巻きました。
最初、ハトロン紙で巻き枠を作りコイルの位置を調整出来るようにしてあります。
同調巻き線はインダクタンスが300uH位になるように巻いたので巻き数を記録していませんが60回程度だと思います。
二次巻き線は適当ですが65uH、30回程度だと思います。
バリコン
ラジオ年から購入した290pF+120pFの親子バリコンです。
OSCコイル
市販のトランジスタ用10mm角のものを使用しました。
巻き線は全て取り除きコアだけを使用します。
巻き線は0.06mmのUEWを使用しました。
最初に二次巻き線を28回巻きました。
その上に一次巻き線を同じ方向に巻きます。
巻き始めから28回でタップとしした。
巻き終わりまでは回数ではなくインダクタンスで判断します。
外側のコアを外した状態で巻き始め−巻き終わりのインダクタンスが140uH位になればOKです。
IFT
これも市販の10mm角の物で無改造です。
基本通り黄コア、白コア、黒コアの順に使用しましたが、どのコアを使っても同じです。
低周波チョーク
ラジオ少年のBT−CH−9です。
出力トランス
ラジオ少年のBT−OUT−1Sです。
スピーカー
これもラジオ少年で購入したもので「小型スピーカー」という名称で販売されているものです。
ケース
ホームセンターで販売されていたパーツボックスです。
DC/DCコンバータはマイコンのPWMユニットを使用しています。
1.5Vではマイコンが動作しないので補助電源で3.3Vを発生しています。
効率は元々高いのですが二次巻き線の巻き数を微調整して、さらに効率を上げています。
回路図の巻き数は設計時の目安で、実際には巻き数を微調整しています。
コアに#43材を使用した場合、20KHz〜100KHzで効率が上がりますが、今回は20KHzにしています。
10KΩのダミー負荷を接続し入力電圧を1.5Vしたとき負荷電圧は48.7Vとなり効率は85%です。
ただし、強烈な空中伝搬ノイズを発生するので厳重にシールドしています。
20KHz以下にすると空中伝搬ノイズは減るのですが、発振周波数が可聴周波数に入ってくるので電源回りのノイズ対策が
必要になってきます。
ニッケル水素電池を使用したときの過放電を防止する為に電池電圧が1V以下になったとき電源表示LEDを点滅させて
います。
/////////////////////////////////////////////// // 電池管ラジオB電源 global.h // // (1.5V電源U) // // 2018/12/4 PIC12F1822 MikroC Ver4.60 // /////////////////////////////////////////////// #ifndef _GLOBAL_H #define _GLOBAL_H ///// 型の短縮名称 typedef unsigned char uchar; typedef unsigned int uint; typedef unsigned long ulong; ///// A/d typedef union{ int adw; char adb[2]; }ADDATA; extern ADDATA addata; extern int btvb; extern uchar adf; extern void ad_init(void); extern void bt_volt(void); #endif /////////////////////////////////////////////// // 電池管ラジオB電源 adconv.c // // (1.5V電源U) // // 2018/12/4 PIC12F1822 MikroC Ver4.60 // /////////////////////////////////////////////// #include "global.h" ADDATA addata; int btvb; //電池電圧 uchar ad_cnt; //AD変換回数 uchar adf; //AD完了 uint adbuffb; //演算バッファ void ad_init(void){ ad_cnt = 0; adf = 0; adbuffb = 0; ANSELA = 0x1; //AN0 FVRCON = 0x82; //A/D REFF = 2.048 ADCON1 = 0x93; //右詰め、Fosc/8, FVR } int ad_conv(uchar ch){ ADCON0 = ch << 2; //ch set ADCON0.ADON = 1; //A/D使用 Delay_ms(1); ADCON0.GO = 1; //A/D START while(ADCON0.GO); addata.adb[0] = ADRESL; addata.adb[1] = ADRESH; return addata.adw; } void bt_volt(void){ adbuffb += ad_conv(0); ad_cnt++; if(ad_cnt == 32){ //32回の平均 btvb = 2 * (adbuffb >> 5); //2mVx分圧比/32 adbuffb = 0; ad_cnt = 0; adf = 1; } } /////////////////////////////////////////////// // 電池管ラジオB電源 radp1r55.c // // (1.5V電源) // // 2018/12/4 PIC12F1822 MikroC Ver4.60 // /////////////////////////////////////////////// // CLOCK 4MHz // Oscillator INTOSC, Watchdog controlled by SWDTEN bit, Power-up Timer ON, // MCLR Pin OFF, Code Protection OFF, Data Protection OFF, // Brown-out Reset ON, Clock Out OFF, Int/Ext Switchover OFF, // Fail-safe Clock Monitor OFF, F-Memory Self W-protection OFF, Pll OFF // Stack Of/Uf Reset ON, Brown-out Reset 2.5V, Debug OFF, LVP OFF #include "global.h" void main(){ uchar ledf = 0; uint _delay = 1; OSCCON = 0x6b; //内部 4MHz OPTION_REG = 0xf; //タイマー0関連ダミー APFCON = 0x3; //ALTERNATE CCP LATA = 0x0; //出力 OFF TRISA = 0x9; //RA0,RA3入力 WPUA = 0; //プルアップしない WDTCON = 0xf; //ウオッチドッグ128mS ad_init(); //AD init asm CLRWDT; //WDT CLR CCP1CON = 0x8c; //PWM ACTIVE H PR2 = 49; //サイクルタイム(49+1) x 1u = 50uS CCPR1L = 25; //デューティー 25 x 1uS をセット T2CON = 0x4; //T2 ON プリスケーラー無し PWM1CON = _delay; //ディレーをセット while(1){ asm CLRWDT; //WDT CLR bt_volt(); //電池電圧計測 if(adf){ if(btvb < 1000) ledf = ~ledf; //1V以下で点滅 else ledf = 0xff; //それ以上で連続点灯 adf = 0; } if(ledf) LATA.B2 = 1; //LED ON else LATA.B2 = 0; //LED OFF Delay_ms(20); } }
写真は製作したDC/DCコンバータです。
効率は高いのですがノイズは強烈です。
この基板を厚紙で作ったシールド箱に入れます。
箱はアルミテープを3重に巻き、その上を銅テープで3重に巻いています。
ラジオ基板 | 製作したラジオ | ラジオ内部 |
当地のローカル局3局(639KHz、882KHz、1404KHz)を実用的な音量で聞くことが出来ます。
終段が出力管ではないので大音量は出ませんが室内では十分な音量です。
今回は減電圧特性が特に良くスピーカーは0.9V、イヤホンは0.8V程度まで聞くことが出来ます。
バーアンテナのゲインが大きい為か結構、感度は良いです。
夜間には遠方の局が小さな音ですが受信出来ます。
DC/DCコンバータは厳重にシールドされているのでノイズの影響は殆どありません。
このラジオは電池電圧1.5Vの時310mA程度でした。(ヒーターとコンバータの合計)
電池は単3電池2本パラですので1本あたり155mAです。
新品のアルカリ電池を使い連続で16〜18時間、間欠使用では20時間程度は使えると思います。
今回、電池として単1のニッケル水素電池を考えました。
ところが単1のニッケル水素電池は種類が少なく、入手性が悪い事が判りました。
単1のエネループの公称容量5700mAH、単3のエネループの容量(スタンダードタイプ)は1950mAHですので
2本パラにすれば単1の2/3の容量となります。
ニッケル水素電池の放電終了電圧は負荷により異なりますが、この程度の電流なら放電末期でも1.2Vあると思います。
今まで何台もAMラジオを製作しましたが完成後は棚に収納されています。
このラジオは仕事部屋で毎日、使用することにしました。
その為、若干、手直しをしました。
最初、余剰品の5678を活用する目的で製作したラジオでしたが6088が4本、入手出来たので交換することに
しました。
ヒーター電流が大幅に減るので電池の持ちが良くなります。
DC−DCコンバータは出力電圧の低いものに交換しました。
出力管として6088を0バイアス(グリッドリークバイアス)で使う場合、電源電圧が45Vを超えると電流定格を
超えます。
現在のDC−DCコンバータのトランスを少し巻き戻せば良いのですが面倒ですので作り置きのDC−DCコンバータを
利用することにしました。
今まで使用したDC−DCコンバータはマイコン制御で85%の高効率です。
ただ、ノイズが多くシールドに大苦労します。
完全にはノイズを取りきれず若干、音が歪んでいるような気がします。
今回、交換したDC−DCコンバータはロイヤーの回路で別頁の記事「不明のコアを使ったDC−DCコンバータ」で製作
したものです。
実際に使用して試してみたいということもあります。
ロイヤーの回路は省部品で小型、空中伝搬ノイズが小さいという特徴があります。
反面、効率が低く、今回のもので65%程度です。
ただし、出力電圧を下げているので入力電流の差は小さくなっています。
もう一つの欠点は発振周波数が可聴周波数に入ることです。
今回の発振周波数は2KHz程度です。
この周波数はコアと巻き線により決まり、制御することは出来ません。
仮に50Hz程度に下がったとしてもハム音が聞こえます。
20KHz以上であれば聞こえませんがロイヤーの回路では無理です。
電池管は直熱ヒーターですので電源ラインを通じて発振周波数に関するリップルノイズが入り込み易く対策が必要です。
A電源に大容量のコンデンサーやフィルターチョークを入れたので問題は無いと思います。
ただし、トランスのコアが機械的に振動する音は取るのは困難です。
この音は蚊の羽音程度で邪魔にはなりません。
使用にあたって回路図のベース抵抗を4.7KΩから2KΩに変更しています。
ラジオの回路自体は変わっていませんが電源周りが変わっています。
DC−DCコンバーター内部に定電流回路が組み込まれているので回路図に示した定電流ダイオード省くことが出来ます。
この時B電圧のロスを1V程度減らす事が出来ます。
しかし、ニッケル水素電池の放電終了1Vでも実用的な音量があるので外していません。
また、このDC−DCコンバータは47Vの定電圧ダイオードを内蔵しているので外付けの定電圧ダイオードも不要です。
定電流ダイオードも定電圧ダイオードも付けておけば直接CVCC電源を接続して回路チェックをする時は有用です。
DC−DCコンバータはPWM制御からロイヤーの回路に変更したので空中伝搬ノイズは大幅に減りましたが電源ラインを流れる
ノイズは増えるはずですので電源回りのノイズ対策は厳重に行いました。
真空管は6088でも5678でも同じように動作するのを確認したのでスペアーに6088が無かった時は5678を使えば
良いです。
調整中に膝の上に乗せていたラジオが床に滑り落ちました。
運悪く運悪く選局ツマミから落下し、バリコンの軸に全重量が掛かりました。
小型の金属バリコンは一発で電気的、機械的に壊れました。
早速、同じ物を注文しましたが、同じミスを繰り返しそうですのでガードを付けました。
1mm厚のアルミチャンネルを切り取って作ったもので強度的には十分ではありませんが変形して衝撃を吸収してくれることを
期待しています。
余った5678を活用する目的で製作したラジオですが、常時、使用するに際しランニングコストを減らす為に結局6088を
4本、注文しました。
6088で動作させたところ電圧低下による感度の低下が大きく、さらに電圧を下げると低周波発振をします。
最初、交換したDC−DCコンバータが電池電圧低下でリップルが大きくなるのではないかと疑い、フィルターコンデンサーの
量を増やしたりインダクターを入れたりしましたが効果ががありませんでした。
デジタルオシロで電源ラインを見ても綺麗です。(AC入力、最小レンジ)
結局、判った事は
・ 発振場所は5極管コンバータ
・ 購入した4本の6088のうち2本で異常あり
・ 他の2本の6088や5678では問題無し
購入した6088は箱が変色してリード線に光沢がありませんでしたが一応、未使用品でした。
異常の真空管はブレッドボードで電圧対電流の特性を測っていた時に1本のヒーターを焼損してしまいました。
動作不良の残り1本は現在、中間周波増幅で使用していますが、此処では問題無いようです。
という訳で5極管コンバータを5678、残り3本が6088になっています。
使用球の4球は全ての場所で5678でも6088でも動作します。(正常な球であれば)
製作したラジオ | ラジオ内部 |
DC−DCコンバータの寸法が小さくなったので収納スペースがガラ空きです。
以前のPWM制御のDC−DCコンバータの時も殆どノイズの影響はありませんでしたが、コンバータの変更で全く
影響が無くなりました。
ニッケル水素電池「エネループ」4本を購入し2本をラジオ電源、2本を充電というサイクルで毎日ラジオを聞いています。
1回の充電で2日程度の間欠使用が出来ます。
毎日の使用を考えるとスペアー球を用意しなければなりませんが、5678でも6088でも良いです。
以前のDC−DCコンバータの時、電池電圧1.5Vで真空管が4本共5678で入力電流が310mAでした。
今回のコンバータは効率が悪いので電池電圧1.5Vで真空管が4本共5678で入力電流が330mAです。
1本を6088に変更すると300mA、2本で270mA、3本で240mAです。
4本とも6088にすれば210mAとなるはずです。
電池電圧1.5Vというのは新品のアルカリ電池の場合であり、充電直後のニッケル水素電池は1.35V程度ですので
入力電流は、もう少し小さくなります。
5678を2本、6088を2本使用した状態で連続放電時間は15時間でした。
現在は5678を1本、6088を3本していることと、間欠使用であるので、もう少し長く使えるはずです。