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 中国球

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 電池管の入手

中国球

 電池管は真空管ラジオの製造末期の頃、大量に製造されたのですが突然現れたトランジスタに働く場所を奪われ 在庫として倉庫に眠ったままになりました。
 これらの在庫品が現在、消費されている訳です。
 その後、電池管は製造されていないので在庫が終了すれば入手は出来なくなります。
 在庫の減少とともに入手は困難になっています。
 私が電池管ラジオに興味を持った2〜3年前に入手出来た電池管で現在、入手が困難になった品種は多数あります。
 入手出来る電池管も少しずつ値段が上がっています。
 今回、中国製の電池管を安く入手したので早速ラジオを作ってみました。
 写真は左から1A2、1B2、1K2、2P2で米国球の1R5、1S5、1T4、3S4に相当します。
 以前は中国球と言えば目も向けなかったのですが最近ではこういう球にも目を向けざるを得ません。
 値段は安いのですが性能と寿命が比較できないので米国球に比べて得かどうかは判断出来ません。
 特徴としてヒーター電圧が1.2V、ヒーター電流が30mAと言うことがあります。
 2P2はヒーターが2回路で2.4V30mA(直列)か1.2V60mA(並列)が選択出来ます。
 ヒーターの最大電圧が1.4V(直列で2.8V)という点が気になります。


回路図

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ラジオ回路図

 以前、中国球を使った学研のラジオキットが話題になりました。
 このラジオの回路は再生検波でしたが電池管の再生検波では実用的なラジオを作るのは困難です。
 電池管はゲインが小さいので再生を掛けるには帰還量を多くしなければなりません。
 この事が色々なトラブルを招きます。
 周波数による感度差、受信範囲が狭くなる等の弊害が有り、選局が面倒です。
 バーアンテナの指向性と再生の調整は相性が悪いです。
 と言うことで確実に動作するスーパーにしました。
 中国球は変換球の値段が他の球と同じですので5極管コンバータを使う意味はありません。
 本来なら4球スーパーにするところですが電池の持ちを考えて3球レフレックスとしました。
 従って今回1K2は使っていません。
 ヒーター回りに大容量のケミコンが入っていますが、DC−DCコンバータのノイズが回り込むのを防いでいます。
 DC−DCコンバータは「電池管ラジオB電源U」で説明した47.6V、4.85mAのロイヤーの回路です。
 出力管の負バイアス電圧の一部で電源表示LEDを点灯しています。
 470uHのインダクタは2.6Ωの直流抵抗があります。
 電池電圧1.5Vの時ヒーターには約1.4Vの電圧が加わります。
 0.33Ωの抵抗は電源スイッチの接点保護用です。
 ダイオード1N4005は調整時にCVCC電源を接続した時の保護用です。


 使用部品

 バーアンテナ
 ラジオ少年の140mmバーアンテナです。
 少し巻き戻し、二次巻き線を除いています。

 バリコン
 ラジオ年から購入した290pF+120pFの親子バリコンです。

 OSCコイル
 市販のトランジスタ用10mm角のものを使用しました。
 同調巻き線を少し巻き戻しています。
 外側のコアを外した状態で巻き始め−巻き終わりのインダクタンスが160uH位にしました。

 IFT
 これも市販の10mm角の物で無改造です。
 基本通り黄コア、白コア、黒コアの順に使用しましたが、二次巻き線を使っていないので、どのコアを使っても同じです。

 低周波チョーク
 ラジオ少年のBT−CH−9です。

 出力トランス
 ラジオ少年のBT−OUT−1Sです。

 スピーカー
 これもラジオ少年で購入したもので「小型スピーカー」という名称で販売されているものです。

 ケース
 ホームセンターで販売されていたパーツボックスです。


 製作したラジオ

製作したラジオ ラジオ内部 ラジオ操作面
製作したラジオラジオ内部ラジオ操作面

 選局ツマミをぶつけるとバリコンが壊れるのでガードを付けています。

 製作結果

 当地のローカル局3局(639KHz、882KHz、1404KHz)を十分な感度と音量で聞くことが出来ます。
 周波数による感度差もありません。
 音量は小さくなりますがVRを最大にすればニッポン放送(1242KHz)を実用的に聴く事が出来ます。
 減電圧特性は良く、ローカル局は0.9Vまで実用的な音量で聴くことが出来ます。
 DC−DCコンバータのノイズの影響は全くありません。
 中国球ということで心配したのですが性能的には特に問題ありません。
 ただ、寿命とか長期間の安定性が米国球に比べて優れているとも思えませんのでスペアー球を2セット用意し、毎日使用して います。
 今までは5678を3本使用したレフレックススーパーを毎日使っていました。


 電池の持ち

 このラジオは電池電圧1.5Vの時320mA程度でした。(ヒーターとコンバータの合計)
 電池は単3電池2本パラですので1本あたり160mAです。
 新品のアルカリ電池を使い15時間程度は使えると思います。

 再生検波ラジオ

 上記の3球レフレックスラジオは国産球や米国球を使ったラジオと比較して性能が落ちるということはありませんでした。
 ただし、1K2を使用していません。
 今回は1K2を3本使った再生検波ラジオを製作してみました。


回路図

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ラジオ回路図

 回路は一般的なものです。
 ダイオード1N4005と2SC3422回りの部品は調整時に使うCVCC電源用の保護回路でラジオの 動作には不要です。
 又、このラジオは異常発振に悩まされ、回路図を何回も書き直しました。
 低周波チョーク、高周波チョークにパラに入っている抵抗は発振止めとして入れた物です
 再生の調整には色々な方法があります。
 今回、再生バリコンを使う方法と、スクリーン電圧をVRで可変する方法を試してみましたがバリコンを使う方が 切れが良かったので、こちらにしました。
 ケースに空けたVRの取り付け穴は音量調整用のVRを取り付けています。
 再生バリコンを絞れば音量は0に出来るので本来、音量調整VRは不要だと思います。


 使用部品

 ケース、シャーシーは以前に製作したラジオを分解し追加工したものです。
 バーアンテナも流用しましたが、20cmのフェライトバーに0.1mm×20本のリッツ線を巻いたものです
 再生巻き線は5極管コンバータ用の二次巻き線を少し巻き戻したものです。
 もう少し巻き数が少ない方が良いと思います。
 同調バリコンはラジオ少年より購入した290pF+120pFの親子バリコンの親側を使用しました。
 再生バリコンは一般的なスーパー用の親子ポリバリコンで、今回は子の方を使っています。
 高周波チョークはラジオ少年より購入した4mHの小型の物、低周波チョークはラジオ少年より購入したBT−CH−9、 出力トランスもラジオ少年のBT−OUT−1Hを使用しています。
 DC/DCコンバータも流用したもので巻き数等は忘れていますが電池電圧1.5Vの時、10KΩ負荷に46Vを発生する ロイヤーの回路で効率は70%近くあります。
 他の頁に類似の回路があります。


 製作したラジオ

製作したラジオ ラジオ内部 ラジオ操作面
製作したラジオラジオ内部ラジオ操作面


 製作結果

 室内でローカル局3局(639KHz、882KHz、1404KHz)が実用的な音量で聞こえ、周波数による感度差も ありません。
 ただ、出力が電圧増幅管ですので大きな音は出ません。
 再生の効果は大きく、スーパーと同程度の感度と選択度があります。
 夜間は多くの遠距離局が入感します。
 電池電圧が下がると音が小さくなりますが再生を強めにすると音量が復活します。
 電池電圧0.9Vでも実用的に聞こえます。
 電源電流は1.5Vの時240mA程度ですので電池1本あたり120mAとなります。
 新品のアルカリ単3電池2本で連続20時間使うことが出来ます。


 トラブル発生

 製作が完了し、動作を確認している時は良かったのですが、その後「自己発振」するようになりました。
 電源投入して暫くすると小さな発振音が聞こえ、徐々に大きくなり、飽和します。
 非常に耳障りです。
 発振波形を撮り忘れましたが聞いた感じでは2KHz程度です。
 ローカル局を受信すると発振音は目立たなくなりますが、局間では耳障りです。
 再生を絞っても発振音の具合は変化しません。
 調整時はCVCC電源を使っているのでDC/DCコンバータは無関係です。
 対策に丸3日程度、無駄にしました。
 内容を纏めると
 ・電源投入から数秒〜数分で発振が始まるが発振しないことがある。
 ・発振の開始時は小さな音で短時間で音が大きくなる。
 ・発振は継続するが稀に止まる事がある。
 ・発振は2KHz程度の連続音ですが電源電圧で周波数が若干、変化する。

 その後、ネットで発振対策に関して検索したり、回路定数を変えてみたり、対策部品を付けてみたりしましたが決め手が ありません。
 低周波チョーク、高周波チョークとパラに抵抗を入れた事は若干、効果があったので回路図に反映させました。
 結局、完璧な結果を得られないままに3日が経過し、この時点で真空管を疑いました。
 手始めにQ1とQ3を交換したところ明らかに状況が好転しました。
 次に以前に製作した1T4−1T4−1T4の3球レフレックススーパーから球を外し、このラジオに装着してみました。
 尚、この1T4は東芝製です。
 結果は完璧です。
 動作は問題なく発振の気配もありません。
 ただし、1T4はヒーター電流が多く、定格電圧も高いので動作時間は12〜 15時間程度になると思います。
 1K2の場合、ヒーター電圧はチョークコイルの直流抵抗、フューズの抵抗、1Ωの抵抗で80mV低下します。
 1T4の場合は130mV低下するので1Ωの抵抗は0Ωにする方が良いです。

 逆に1K2をレフレックススーパーに装着したら、こちらは発振しました。
 ということで1K2が限りなく黒に近いという結果になりました。
 1K2は1T4SFのスペアーとして9本程購入し、今回3本使った訳ですが、3本全てが不良なのか残りの6本はどうなのか 気になるところです。
 最初に製作したレフレックススーパーで中国球は安くて 結構使えるというイメージを持ったのですが、今回は 残念な結果でした。


 最終回路(1)

 1K2に問題がありそうですが確定したわけではありません。
 部品配置、配線、回路、等に不備があり、耐量の小さい1K2が発振するという事も考えられます。
 ここで1T4に交換して一件落着とすると9本ある1K2は不良在庫となってしまいます。
 その後も色々、回路を試してみました。
 現状、まだ時々、発振する場合がありますが、発振音は小さくなり、短時間で自動消滅します。
 選局すれば消えるので、ほぼ、実用に耐える程度にはなりました。
 初段の負荷はチョークコイルから抵抗負荷に変更しましたが、それほど大きなゲイン低下はありませんでした。
 2段目は抵抗負荷にすると大きくゲインが下がるのでチョークコイルのままです。
 音量調整VRは取り除きました。
 VRを絞る程音量が無く、再生バリコンで音量を絞れる為です。

回路図

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ラジオ回路図

 最終回路(2)

 2段目のチョークコイルも抵抗に変更してみました。
 抵抗負荷の場合、どうしてもゲインが下がります。
 抵抗値を最適化しないとゲイン低下が大きくなります。
 ゲイン測定用の試験回路を組んで実際に試してみるのが手っ取り早いです。
 入力に数十mVの正弦波を加え、出力波形をオシロで観察します。
 出力振幅が大きいほど良いのですが、波形が歪んでは駄目です。
 実験の最適値を回路に反映させたのが以下の回路です。

回路図

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ラジオ回路図

 低周波チョークが無くなったことで発振の要素は、また一つ減りました。

 最終結果

 負荷を抵抗に変えた事によるゲイン低下は僅かです。
 最初は問題無かったのですが、やはり異常発振が発生しました。
 常には起こらないことが悪質です。
 これ以上、打つ手が無いので3本共、東芝の1T4に交換しました。
 これで発振は全く起こらなくなりました。
 中国球に問題有りと言わざるを得ません。

 ラジオ少年のキット

ラジオ回路図

 私が最初に製作した真空管ラジオはラジオ少年のキットでした。
 この時、真空管にもラジオにも知識経験が無かったのですがキットの出来が良かった為、問題なく完成する事が 出来ました。
 そのラジオ少年ですが現在は一般向けのキットやパーツの販売を止めてしまって残念です。
 このキットは球別の販売で真空管は別途注文するようになっていました。
 真空管はアメリカ球(国産球を含む)と中国球が選べるようになっていました。
 アメリカ球は4本1組3000円、中国球は4本1組2000円でした。
 私はアメリカ球を2組購入しました。
 上の写真は製作したラジオです。
 適当なケースが見つけられず馬鹿でかいケースに入っています。
 電源は1.5V単電源ですがヒーターに250mA、DC/DCコンバータに565mA、合計815mA流れます。
 DC/DCコンバータはマイコンPWM制御で効率は70%以上あります。
 電池は単1電池2本パラで連続25時間程度使用出来ます。
 ただ、単1電池2本というと気軽に使えず、埃を被っていました。
 今回、AC電源に改造し、毎日使うラジオ(3代目)としました。
 真空管はアメリカ球から中国球に変更しました。
 私は毎日10時間位、ラジオを聴くので真空管を消耗品と考えた場合、安い中国球にした訳です。


 アメリカ球を中国球に差し替えた

 アメリカ球を中国球に変更すると音が小さくなりました。
 これが本来の性能差なのか偶々サンプルの個体差によるかは不明です。
 周波数の低い方では差は小さいですが高い周波数では差が大きくなります。
 音が小さいといっても室内で聴くには十分な音量があります。
 ラジオの回路図は私の設計では無いので掲載しません。


 AC電源回路

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AC電源回路図

 トランスは24V50mA2回路のものを使います。
 1回路をA電源に1回路をB電源に使います。
 A電源はDC/DCコンバータで電圧を1/10程度、電流を10倍程度に変換します。
 負荷が軽いとき出力電圧が上昇しないように出力側にシャントレギュレータを付加してあります。
 現在電圧を最低に絞ってありますが1.28V程度です。
 出力の短絡、開放に関して保護されます。
 B電圧はAC24Vを両波倍電圧整流しています。
 トランスのレギュレーションと負荷電流の関係で出力電圧は65V程度になっています。
 こちらも負荷の短絡、開放に対して保護されます。


 改造後のラジオ

DC/DCコンバータ AC電源 ラジオ内部
DC/DCコンバータAC電源ラジオ内部


 改造結果

 中国球に換えた事で若干、音が小さくなりましたが実用上十分な音量でストレス無く聴くことが出来ます。
 音質も良くDC/DCコンバータの影響も皆無です。
 1日10時間聴いたとして電気代は1日1円以下、年間300円以下です。
 現在1A2、1K2、1B2、2P2の構成ですが1R5、1T4、1S5、3S4に換えてもOKで、若干、音量が 上がります。
 電気代も上記計算の範囲内です。


 電源回路メンテナンス

作り直した電源
作り直した電源

 上記のラジオは、ほぼ毎日8時間くらい使用しましたが、半年くらいは何の問題もありませんでした。
 ところが突然、時々、音が出なくなったり音が小さくなったりするようになりました。
 原因はA電源の電圧が小さくなったり戻ったりすることが原因と判りました。
 回路設計のミス、部品の劣化等、原因は色々考えられますが、原因を追及するより作り直した方が早いと判断しました。

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AC電源回路図

 前回は24V0.05A 2回路の電源トランスを使用しましたが今回は6.3V0.5A 1回路の電源トランスを 使用します。
 6.3V巻き線にはCTがあるので3.15Vの両波整流回路にします。
 前回はA電源に降圧のDC/DCコンバータを使用しましたが今回はB電源に昇圧のDC/DCコンバータを使用します。
 図の回路定数で整流後の電圧は3.5V程度、A電源電圧は1.38V程度になります。
 実際に使用してみて問題は無く、コンバータのノイズも全く感じません。

 高1レフレックス

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高1レフレックス回路

 上の回路は試作した高1レフレックスラジオです。
 2個所で同調する方式ですが、このタイプは何回も失敗し、成功したことがありません。
 今回も蚊の鳴く様な音で実用的とは言えませんでした。
 基本的にGmの小さい電池管ではゲインが不足するようです。
 ヒーター電流の大きな一般的な真空管では、この回路でも実用的な音量になると思います。
 さらに、この回路では同調個所が2個所ですので等容量2連バリコンが必要になり、調整が面倒です。
 利点として選択度が上がる点とバーアンテナに再生コイルが巻かれていないので不要輻射が少ない点、ボディーエフェクトが 少ない点があります。


 使用部品

 バーアンテナ
 20cmのフェライト棒に0.1mm×20芯のリッツ線を巻きました。

 バリコン
 ジャンクの金属バリコンで350pF2連、30pF3連のものです。

 再生バリコン
 親子ポリバリコンの親側。

 再生検波コイル
再生検波コイル
 FT114#61コアにリッツ線を巻きました。
 初段の負荷コイルと次段の同調コイルは1:1でインダクタンスはバーアンテナに合わせました。
 再生コイルは適当です。

 1mH高周波チョーク
 FT50#61コアに0.26mmのウレタン線を巻きました。

 1:3トランス
 サトー電気で購入。

 出力トランス
 ラジオ少年で購入。


 DC/DCコンバータ

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DC/DCコンバータ回路

 DC/DCコンバータの回路は簡単ですが製作するには手間が掛かります。
 発振トランスにはトロイダルコアを使います。
 コアに接合部が無いので機械的振動音が低減されます。
 コイルを巻くのは大変ですが巻き数を微調整するのが他の鉄心より楽です。
 巻き数を減らす為に透磁率の大きな#75フェライトコアを使用します。
 #75コアは導電性があるので透明アクリルラッカーをスプレーし乾かしておきます。
 最初に一次巻き線を巻きます。
 0.26mmウレタン線を24回バイファイラ巻きにします。
 巻き終わったら透明アクリルラッカーをスプレーし固めておきます。
 これにより機械的振動音が低減されます。
 次に0.12mmウレタン線を450回程度巻き二次巻き線とします。
 トランスを回路に組み込みダミー負荷を接続して負荷電圧を観測しながら少しずつ二次巻き線を巻き戻します。
 今回は実測8130Ωの抵抗を接続し入力電圧1.5Vの時、負荷電圧47.3Vとしました。
 効率は73%になります。
 実際のラジオは少し負荷が軽くなり、効率は66%程度になります。
 負荷解放電圧と負荷短絡電流を確認しておきます。
 オシロスコープでコレクタ波形(2CH)を確認しておきます。
 ポケットトランジスタラジオを回路に近づけて空中伝搬ノイズの影響をチェックします。
 問題が無ければ厚紙で作ったケースに収納し銅テープでシールドします。
DC/DCコンバータ


 実験したラジオ

実験したラジオ

 改造

 上記のラジオは見事に失敗しました。
 やはり電池管ラジオはスーパーに限ります。
 通常なら部品を取ってジャンク箱に戻すのですが、苦労して加工したシャーシーはゴミになってしまいます。
 回路を変更して何とか実用に耐えるラジオに改造しました。
 回路は別のページ「単球レフレックスラジオ」で使用した同調回路が1個所のものです。
 ただし、この時使用した球はヒーター電流が大きく、Gmが比較的大きい為何とか使えた訳です。
 そのまま1K2に置き換えた場合、音が小さく、実用的ではありません。
 そこでバーアンテナを何度も作り直し、出力管を2P2に変更して何とか使えるラジオになりました。


 回路図

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ラジオ(改)回路図

 B電圧に対する過電圧、過電流保護回路がDC/DCコンバータ内部のものと重複していますが、調整時には DC/DCコンバータでなくCVCC電源を使用するため誤設定に対する保護です。
 B電圧に対するロスが1.5V程度あるので調整終了後は本体側の保護回路を外しても良いのですが大差ありません。
 電池電圧が下がるとロス電圧も下がり電池電圧1.25Vの時のB電圧のロスは0.65V程度です。


 使用部品

 使える限り部品は流用するのですが、回路変更だけでは実用的な音量がありませんでしたので何点か交換しました。

 出力管
 1T4から2P2に変更しました。
 多少は効果がありましたが消費電力は増えました。

 同調バリコン
 単連で良くなったこととCを減らしてLを増やしたかったのでAM親子ポリバリコンの親子をパラ接続しました。
 230pFの単連バリコンになりました。

 バーアンテナ
 ゲインを稼ぐにはアンテナを強化するしか手が無いので何回もコイルをまき直しました。
 フェライトバーは20cmのものから14cmのものに交換しました。
 短い方が良いという訳ではありませんが手持ちの20cmのものは透磁率が低く同じインダクタンスを得るのに巻き数が 多くなり、分布容量が増えてしまいました。
 リッツ線も0.1mm20芯のものから0.1mm10芯に変更しました。
 共振周波数を合わせ込んだので巻き数は数えていません。

 その他の部品は流用しました。
 シャーシー内部に70cm程度のワイヤーアンテナを張りましたが効果は有りませんでした。


 製作したラジオ

製作したラジオ ラジオ内部
製作したラジオラジオ内部


 製作結果

 大きな音は出ませんが室内で個人的に聴くには支障がありません。
 ローカル局(639KHz、882KHz、1404KHz)が同じレベルで聴けます。
 ただ高い周波数ほど再生を深く掛ける必要があり、通常と逆ですが深く考えないことにします。
 ヒーターとDC/DCコンバーターの合計電流は電池電圧1.5Vの時300mAです。
 電池電圧が低下しても再生量を増やせば、音量低下を補うことが出来ます。
 大体、電池電圧1V位まで使えます。
 単3電池2本(パラ接続)で連続10時間程度は使えると思います。
 電池を単1電池1本にすれば連続20時間以上動作すると思います。
 DC/DCコンバータによるノイズの影響はありません。


 その後の改良

 このラジオは電池電圧1.0Vまではローカル局3局が実用的に聴けるのですが0.9Vになると周波数の低い639KHzの 局が聴けなくなります。
 882KHzの局と1404KHzの局は0.9Vで実用的に聴けますが手直しして639KHzの局も聴ける様に改良 しました。
 回路定数を色々、試しましたが高周波チョークを作り直したところローカル局3局が電池電圧0.9Vで聴けるように なりました。
 今までの高周波チョークはFT50#61コアに0.26mmウレタン線を巻いてインダクタンス1mHにしたものです。
 インダクタンスが小さいので低い周波数でゲインが不足していた様です。
 コアの材質も#61材と思い込んでいたのですが実は#43材だった事が判明しました。
 インダクタンスを大きくすれば低域のゲインは大きくなるのですが逆に高域のゲインは落ちてしまいます。
 特に#43材は1MHz以上で性能が落ちるのでインダクタンスは1mH以上に出来ませんでした。
 材質が#43材か#61材かは見ただけでは判りません。
 コアにウレタン線を10回巻き、インダクタンスを測定すれば計算でAL値が求められます。
 巻き数は、もっと多くても良いですが計測の為に多く巻くのは面倒です。
 AL値は同一品種でも1割くらいバラツキ、計測誤差、計算誤差もあります。
 ただし#43のAL値は#61材の9倍程度あり、中間に別品種はないので間違える事はありません。
 今回は確実に#61材を選び、0.07mm×7芯のリッツ線を巻き2mHのチョークにしました。
 これで低域のゲインが増え、高域でもゲインの低下も抑える事が出来ました。
 回路定数は色々試しているの現状はC3が47pF→33pF、C2が100pF→47pF、L1が上記の説明の通り 1mH→2mHとなっています。
 ローカル局3局が電池電圧0.9Vまで聴けるようになったので連続動作時間は単3電池2本で15時間程度になると 思います。


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