前回、電子びっくり箱を「実用性に乏しい。」と言っておきながら、またまた電子びっくり箱に手を出してしまいました。
ドライバートランスを使った回路は簡単ですが、理論的には難しく、思うように[しびれ具合]を調整出来ません。
調整といってもトランジスタのベース抵抗を可変する程度で、あまり手段がありません。
使えるトランスもST−26,ST−27,ST−28と、その互換品くらいで選択肢がありません。
今回、インダクタを使った電子びっくり箱の回路を考えてみました。
インダクタの選択肢はトランスより大きく、回路の自由度は増します。
ただし、トランスの場合、二次巻き線のグランドを分離出来たのですが、インダクタの場合は共通になってしまうのが欠点
です。
もう一つ出力トランジスタに高耐圧のものが必要になります。
回路図をクリックすると拡大表示されます。
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回路は555を使った発振回路です。
動作条件を調整するように各部に可変抵抗を入れてあります。
Q1は実験中に電源を逆接続してしまった時の保護用です。
絶対に間違えない人には不要です。
出力トランジスタはコレクタ耐圧300Vの小型のパワートランジスタです。
回路は簡単ですが、問題はインダクタで、どのような定格のものを使えば良いか全く検討がつきません。
最初、1mH、直流抵抗1Ω以下のパワーインダクタ(φ12mm、h15mm)を使ってみたのですが、思うように高電圧が
発生しません。
この時の出力トランジスタは2SC2335という中電力のものでした。
次に手持ちのインダクタ中で最大のインダクタンス(100mH)のものに交換してみました。
φ10mm、h12mm やや小型のドラム型のものです。
実測値はインダクタンスが80mH、直流抵抗が90Ωでした。
直流抵抗が90Ωあるのに7A流せるトランジスタを使うのは美的で無いと思い、回路図の2SC3620に交換しました。
結果は良好で、電源電圧3V以下から電撃を感じ、6Vでは可成り強烈です。
インダクタが飽和しているどうか、飽和した方が良いかどうかは確認できていません。
直流抵抗が90Ωあるので飽和しても問題ないと思います。
最初、電源電圧を9Vまで上げる予定でしたが、発生電圧が高くなりすぎたので、6Vで打ち切りました。
可変抵抗器でコイルの通電幅とサイクルタイム、出力トランジスタのベース電流を調整しています。
高電圧はインダクタの通電がオフになった瞬間に発生し、このパルス幅は非常に小さく、制御出来ません。
下に動作タイムチャートを示します。
ドライバ出力 | 高圧パルス |
年代物のアナログオシロを手持ち撮影したので画面が歪んでいますが、動作波形です。
最初の写真はドライバの出力波形で、出力トランジスタのベースに加わります。(1V/DIV、5mS/DIV)
かなりデューティーが小さくなっていますので平均の電源電流は5mA程度です。
2番目の波形は高圧パルスで、非常に細いので、輝度を上げないと写りません。(100V/DIV、5mS/DIV)
電圧は600V出ているので、トランジスタのコレクタ耐圧の2倍です。
電流、電力に余裕があり、パルス幅が非常に小さく、インダクタの直流抵抗が90Ωあるので、壊れないと勝手に判断しましたが
どうでしょうか?
2時間程度、連続動作した程度では波形に変化は見られませんでした。
壊れたらもっと高耐圧のものに換えることにし、とりあえず頑張ってもらいます。