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 低電圧アンプIC


FMラジオで失敗

 以前、超再生FMラジオを製作しました。(別頁にUP済み)
 弱い検波出力でスピーカーを鳴らす為にJRCのNJM2073DというICを使用しました。
 ところが発振で手が付けられず、結局トランジスタ3石で出力トランスを駆動しスピーカーを鳴らしました。
 結果、部品点数が増え、スペースを喰い、出力トランスは1000円位するのでコストも上がりました。
 今後の為に他に使えるICが無いか試してみることにしました。


NJM2073D

 まず失敗した2073Dですがアンプが2つ入っていて2CHのステレオアンプとして使う事ができます。
 この場合は直流カットの為の出力コンデンサーが必要です。
 2つのアンプをBTL接続にすれば出力コンデンサーを省くことが出来ますが1CHとなり、スピーカーの−端子は GNDから浮きます。
 電圧ゲインは44dB程度で固定ですが下げる事は出来ます。
 入力インピーダンスは100KΩと高いのですが信号源インピーダンスは10KΩ以下にするように書かれています。
 このICは色々なメーカーが製造していて××2822××等、番号が違う同等品もあります。
 プロが実装設計すれば問題なく動作すると思いますが我々アマチュアがブレッドボードやユニバーサル基板で扱うには 大変です。


 素人が使えるかどうかを判断する

 データシートを見て

 発振に対する詳細な記述がある。
 発振の心配が少ない品種は記述が、あっさりしています。

 参考回路の出力にCRの直列回路が付加されている。
 発振止めの常套手段です。

 基板のパターンの参考図が書かれている。
 発振か放熱に注意が必要という事です。


テストする品種

 低電圧アンプで探すと多数の品種が見つかります。
 ただし、同名、異名のセカンドソースが多く、意外と種類は少ないです。
 ここでは東芝のTA7368P(のセカンドソース)とモトローラMC34119(のセカンドソース)を試してみました。
 これらは2073Dとは異なる回路になっています。
 信号源はゲルマニュームラジオの検波出力を使いスピーカーを鳴らしてみます。
 手元にゲルマニュームラジオが無いので以前ラジオ少年で購入した中波ループアンテナの共振回路にゲルマニュームダイオードを 接続して検波した信号を増幅してみました。
 当地のAM放送は639KHz、882KHz、1404KHzの3局です。
 送信所からの距離は何れも15Km程度で、それ程遠くは無いのですが中間地点に400m〜500mの山がある為か ゲルマニュームラジオとして639KHzは良く聞こえますが882KHzは音が小さくなり1404KHzは全く 聞こえません。
 ここではラジオの性能を試す訳では無いので聞こえる信号で試すことにします。


TA7368P T

TA7368P T

 TA7368Pは東芝が本家だと思いますが今回使用したのはセカンドソースです。
 パッケージは8ピンDIP、8ピンSOP、9ピンSIPがありますが一般向けには9ピンSIPが出回っています。
 9ピンSIPは1番ピンが入力ですので配線し易いです。
 内部回路は1系統ですので直流カットの為の出力コンデンサーが必要です。
 ゲインは40dB程度に固定されていますが下げる事は可能です。
 入力インピーダンスは27KΩで、そこそこ高いのですが信号源のインピーダンスが高いのでエミッタフォロワで 受けました。
 結果は良好で発振もせず使い安いICです。
 実用的な音量ですが882KHzに対してはもう少し音量が欲しいと思いました。


TA7368P U

TA7368P U

 バッファを省いて直接信号を入力したら音量が下がると思ったのですが結果は殆ど変わりませんでした。


MC34119 T

MC34119 T

 MC34119はモトローラの低電圧アンプですがセカンドソース品が出回っていて今回使用したのも セカンドソース品です。
 NJM2073Dと同様、2つのアンプが内蔵されていますがBTL接続専用で2CHのアンプとして使用することは 出来ません。
 データシートは本家モトローラの物を見た方が判りやすいと思います。
 上図は反転入力端子に信号を入力したものです。
 ゲインは外付け抵抗で設定可能で(2×帰還抵抗/入力抵抗)となっています。
 電圧ゲインの最大値は46dB(200倍)となっていますので入力抵抗3.3KΩ、帰還抵抗330KΩにしました。
 入力抵抗が低いのでエミッタフォロワを付けています。
 結果は良好で発振もせずアマチュアにも使い易いICだと思います。
 音量もTA7368Pより上がっています。
 ボリューム最大でも大きな歪みは感じないので必要であれば、若干ゲインを上げることも可能だと思います。


MC34119 U

MC34119 U

 信号を非反転端子に入力すれば入力抵抗を上げる事が出来ます。
 データシートでは入力125KΩとなっているのでエミッタフォロワを省いてみました。
 結果は反転入力と殆ど変わりませんでした。
 部品点数が少ない分、有利になります。


 実験回路

MC34119 U

 上の写真はMC34119の時の実験回路です。
 発振こそしませんがゲインが大きい分ノイズを拾いやすくなっています。
 写真ではボリュームへの配線を短くするか3芯シールドを使えば改善されます。


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