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このセクション「真空管ラジオ」では自作の真空管ラジオを紹介してきましたが、今回はトランジスタラジオを紹介します。
実はトランジスタラジオを製作するのは初めてだったりします。
「子供の科学」に掲載されていたラジオの製作記事を再現して紹介しているサイトがあったので参考にさせて頂きました。
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回路はゲルマニュームトランジスタ2石を用いたレフレックスラジオです。
検波はゲルマニュームダイオードを使用しています。
高周波増幅には最初、合金型の2SA18Hを使用していたのですが途中でドリフト型の2SA353に変更しました。
最初、高い方の周波数が受信出来ず、トランジスタが原因だと勘違いした為です。
ボリュームは音量調節ではなく、初段のトランジスタのバイアス調整です。
ただし、左に回しきれば音量は0になるので、ボリュームとして使えます。
左端から右に回して行けば感度が上がり、音が大きくなります。
最適値まで回せば音声は最大になりますが、さらに回せば逆に感度が下がり音量は下がります。
音声が最大になる位置は受信周波数、電池電圧により異なります。
MOSFETは調整時の電源逆接続防止用ですが特に必要ありません。
チョークコイルはFT−50#43(アミドン製の本物)に0.32mmUEWを偏らないように巻いて800uHに合わせて
あります。
トランジスタは何れも日立製のゲルマニュームトランジスタです。
向かって左側のトランジスタは合金接合型の2SA18Hで手持ちのジャンク品です。
最初、高周波増幅/低周波増幅(レフレックス)に使用していたのですが高い方の周波数が受信出来ず、トランジスタが駄目
だと勘違いしたので2SA353に交換しました。
結論としてはバイアス調整回路の回路定数や高周波チョークの出来具合が原因であり、2SA18Hでも受信出来たと
思います。
2番目のトランジスタは2SA353で2年ほど前に購入した新品です。
販売店のゲルマニュームトランジスタの在庫も尽きてきたので、結構、高価です。
このトランジスタは性能的には2SA18Hと似たようなものですが構造がドリフト型でコレクタ容量が
小さくなっています。
3番目のトランジスタは低周波用の2SB77です。
昔、新品で購入して使い回したものです。
2SB75、2SB77は昔、よく使いました。
1個、100円〜150円でしたがまもなくシリコンの2SC372が1個200円〜250円で出回り始めました。
性能が良く、当時、足は金メッキされていましたが「プラスチックパッケージは吸湿して直ぐに壊れる。」というデマを信じた
私は、ずっとゲルマニュームトランジスタを使い続けました。
その後、シリコントランジスタを使うようになってからも金属パッケージを選んでいました。
現在ではトランジスタやマイコンチップ等のプラスチックパッケージに抵抗が無くなっています。
右端のダイオードは1N34Aで日立製のゲルマニュームダイオードです。
昔、写真の様に成形加工されたものを大量に買い込みました。
品種名の刻印が無いので1N34Aかどうかは判りませんが動作はしています。
たまたま、半導体が全て日立製ですが昔は素人には日立製が入手し易かったように思います。
シリコンの時代になってからは東芝製が入手し易くなりました。
この他、回路図には逆接続防止用のMOSFETと表示用のLEDが載っていますが、これらはラジオの動作に影響せず、
無くてもかまいません。
ラジオ外観 | ラジオ内部 |
ケースはタカチのSW−100プラケースを使用しました。
スピーカーは小型のものを蓋に付けました。
電池は単3電池2本です。
受信周波数全域で感度を上げるのは大変です。
一つは高周波チョークの周波数特性です。
市販のマイクロインダクターは330uH又は470uH程度以上のものは分布容量の影響で使えません。
私はFT−50#43コアに0.32mmUEWを巻いて800uHにしています。
このコアには類似品が出回っていて高周波特性が落ちるのでアミドン社のものを使います。
今回、組んだ回路では800uH程度に最適値がありました。
インダクタンスが多すぎると高い周波数が受信出来ず、少なすぎると低い周波数が受信出来ません。
もう一つは初段トランジスタの動作電流です。
初段のトランジスタはバイアスの与え方で感度が大きく変化します。
又、受信周波数でバイアスの最適値が変化します。
電池電圧が下がってくるとバイアスが変化するので回路定数は固定出来ません。
結局、可変抵抗でバイアスの調整をすることにしました。
シリコントランジスタならもう少しラフに扱えるのかどうかは経験がないので判りません。
回路は簡単ですが結果を出すのは大変です。
NHK第二(639KHz)、NHK第一(882KHz)、静岡放送(1404KHz)が実用的に聞こえます。
ただし、周波数毎に感度を調整する必要が あります。
特にNHK第二は可成りバイアスを深くしないと音が小さくなります。
逆に静岡放送はバイアスを深くすると音が小さくなります。
バイアス調整で上記3局は同程度の実用的な音量で聞くことが出来ます。
又、電池電圧が低下したときもバイアス調整で、ある程度の音量を保てます。
スピーカーが小さく、大音量という訳にはいきませんが.....
電源電流は電池電圧3Vの時13mA程度で、このうち3mA程度がLEDに流れます。
電池は連続100時間以上は持つと思います。
性能の低いトランジスタ回路がバイアス調整で、かなりの高感度になるのが面白いところです。
内蔵のバーアンテナだけでローカル放送は十分に聞こえますがボディー内部側面に10cm程度のワイヤーアンテナを付けて
みました。
さすがに10cmのアンテナでは大きな効果はありませんがバーアンテナの方向が外れた時の音量のレベルが少し上がった
気がします。
スピーカーで実用的に聞こえるのはローカル局だけですが夜間にマグネチックイヤホンで聴くと遠距離の局が何局も
聞こえます。
その中には中国語の局と朝鮮語の局が有り、内容はハッキリ聞こえますが何を言っているのかは判りません。
簡単な回路の割には高感度ですが最良の状態で聞くには選局の度に感度調整が必要です。
使い方は再生検波のラジオのようだと思います。
(私は再生検波ラジオに成功していないので想像ですが。)