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 ゲルマニュームの時代

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 私が学生の頃、電子工作にはゲルマニュームトランジスタが使われていました。
 パッケージは全て金属製で高価でしたが熱に弱く、我々の手に入るものは性能も低いものでした。
 そのうち2SC372等のシリコントランジスタが出て来ました。
 2SC372等の汎用小信号トランジスタも最初の頃は足が金メッキされていて1個300円位しました。
 ゲルマニュームトランジスタより高価でしたが徐々に値段が下がり、あっという間に逆転しました。
 汎用品種でも性能が高かったのでアマチュアの電子工作でもゲルマニュームトランジスタを駆逐してしまいました。
 ただ、プラスチックパッケージは見た目が悪く、吸水して直ぐに壊れるというデマを信じたので最後までゲルマニューム トランジスタを使い続け、シリコントランジスタに移行してからも金属パッケージのものを、暫く使っていました。
 今では20個100円位のプラスチックモールドトランジスタを使っています。
 ただ、最初の頃使っていたゲルマニュームトランジスタには愛着があり、当時のものは大切に保管しています。
 最近、コレクションとして買い足したものもありますが、同じ性能のシリコントランジスタより、かなり高価です。
 現在、手元には30種類以上、300個以上の未使用購入品があります。
 その他、使用済みの中古、ジャンク基板から外したもの、福袋の中に入っていたジャンク品等を所有しています。


 小信号トランジスタのパッケージ

小信号トランジスタのパッケージ

 左端はVHF、UHF帯の高周波トランジスタに使用されている小型のパッケージです。
 4本足で1本はシールドです。
 足と底面は金メッキされていて見た目の劣化が無く綺麗です。
 丁寧な作りです。
 小パッケージのゲルマニューム高周波トランジスタは電流定格、許容損失が微少です。

 左から2番目のパッケージは一部の低周波トランジスタや高周波トランジスタに使用されているパッケージで品種は 多くはありません。

 左から3番目のパッケージはゲルマニューム小信号トランジスタで最も多くの品種に採用されているものです。
 量産品でローコストの為か、表面が劣化しているものが多く、保存状態が悪いと品種名が読みとれません。
 汚れていても動作に問題は無いようです。

 左から4番目のパッケージはTO−5と呼ばれているもので低周波、高周波を問わず多くの品種があります。

 右端のトランジスタは一部のVHF帯高周波トランジスタ使われています。
 4本足が直線に配置され1本はシールドです。


 TO−5パッケージの底面

TO−5パッケージの底面

 TO−5パッケージは品種が多くケースと電極の接続が様々です。
 左端は底面がガラスでケースは電極に接続されていません。
 左から2番目は底面が金属ですがケースは電極に接続されていません。
 3番目はケースがコレクタに接続されています。
 右端はケースがベースに接続されています。
 この結線はベースリードが剥がれやすいので注意が必要です。


 小信号トランジスタの放熱器

小信号トランジスタの放熱器

 ゲルマニュームトランジスタは許容接合部温度が低く許容損失が小さい品種が多いので使いにくい事があります。
 小信号トランジスタでも放熱器を付け、少しでも許容損失を上げるという苦労をしていました。
 左側は2SB77等の最も一般的なトランジスタに嵌める菊形放熱器で上が上面、下が下面です。
 右側はTO−5サイズの放熱器です。


 放熱器付きトランジスタ

品種不明 2SA358
品種不明2SA358

 最初の写真は小さな菊形放熱器が被せてあります。
 トランジスタ自体は2SB77等と同じパッケージです。
 品種名が記述されていないので定格も判りません。
 足にマイカ板が通してありますが、どのように実装するのでしょうか?

 次の写真は2SA358です。
 手の込んだ放熱パーツ?が付いていますが、どんな目的で製造されたか興味があります。
 装置に実装されているのを見てみたいと思います。


 差動増幅用トランジスタ

2SA445H
2SA445H

 2個のトランジスタが1つのケースに入った差動増幅用のトランジスタです。
 何十年も前に通信販売で福袋(大きな段ボール箱入り)を購入した事があります。
 その中に入っていたジャンク品です。
 定電圧電源の誤差増幅器に使用したことがあります。
 日立のトランジスタで品種番号の後ろにHの文字があるものは通信工業用で若干高価です。


 2SAトランジスタ

2SA290 2SA353 2SA417 2SA242
2SA2902SA3532SA4172SA442

 2SA290 日立 メサ型 VHF用 やや大きなパッケージ 直線状4本足

 2SA353 日立 ドリフト型 中波、短波程度 別頁「2石レフレックスラジオ」で使用

 2SA417 NEC エピタキシャルメサ型 高速スイッチング

 2SA422 三洋 メサ型 VHF、UHF用


 2SBトランジスタ

2SB459 2SB476
2SB4592SB476

 2SB459は日立の合金型で低周波低雑音用です。
 何十年も前にオーディオ用プリアンプを作ろうとして30個程、購入しました。
 結局、作らず、そのままです。

 2SB476は合金型ストロボ用トランジスタでTO−5の外形で2A流せ、接合温度25℃で6Wの許容損失があります。
 最近、電池管ラジオB電源のDC/DCコンバータ用に購入したのですが安いシリコンの2SC5714.2SC5720 が入手出来たので、そちらを使っています。
 古い規格表では松下製となっていますが写真のものは三菱製です。


 NPNトランジスタ

2SC72 2SC90 2SD30
2SC722SC902SD30

 シリコントランジスタはNPN型がメインですが逆極性のPNP型(2SA**、2SB**)の品種も豊富にあります。
 ゲルマニュームトランジスタはPNP型がメインで逆極性のNPN型(2SC**、2SD**)の品種は少ししか ありません。
 小信号のコンプリメンタリー用か小信号のスイッチング用のみです。
 2〜3種類程度の高周波用トランジスタがあった様ですが中波位にしか使えません。
 
 2SC72は小信号のスイッチング用です。

 2SC90も小信号のスイッチング用でジャンク基板から外したものです。

 2SD30は低周波コンプリメンタリー用ですが写真のものは単独で購入しました。


 コンプリメンタリペア

B77A/D77A B22/D30
B77A/D77AB22/D30

 2SB77Aと2SD77Aのペアは菊型放熱器を嵌めると20Wクラスのパワーアンプのドライバに使えます。

 2SB22と2SD30のペアは小出力アンプの出力か5〜8W程度のパワーアンプのドライバに使えます。
 このペアは電解コンデンサーの様に被せたフィルムに品種名が印刷されています。
 前項で紹介した2SD30はケースに直接印字されています。


 黒塗り

2SA244 2SB107 2SB239
2SA2442SB1072SB239

 NECの一部のトランジスタは黒塗りで足が金メッキで美しくコレクションに最適です。
 何の目的で、このように丁寧に作られているのか理由は解りません。
 いずれも古い品種の様です。

 2SA244はTO−5サイズの高周波トランジスタですが、このクラスでは比較的、電流が流せます。
 ただ、底面がガラスですので、この部分はメッキ出来ません。

 2SB107は一般的なTO−3サイズの合金型トランジスタですが25℃の許容損失は10Wしかありません。
 使いにくそうですので眺めていた方がよさそうです。

 2SB239はTO−8又はボタン型と呼ばれるサイズの合金型トランジスタで1A、13Wのスイッチング用です。


 パワートランジスタ

パワートランジスタ

 左側はやや小型のTO−66パッケージでVcbo=35V、IC=2A、PC=12W 三洋の合金型2SB474

 中央は一般的なTO−3パッケージでVcbo=135V、IC=15A、PC=40W 三洋のベース拡散型2SB410

 右側はジャンボサイズの新電元の合金型2SB214 Vcbo=100V、IC=30A、PC=80W
 シリコントランジスタでこのサイズならPC=300Wはいけそうです。


 トランジスタソケット

トランジスタソケット

 昔はトランジスタソケットが売られていました。
 小信号用のものもありましたが写真のものはTO−66パッケージのパワートランジスタ用です。
 写真の様に装着されて福袋に8組入っていました。


 ゲルマニュームダイオード

ジャンク 1N34A SD18 SD46
ジャンク1N34ASD18SD46

 左端は何十年も前に買った福袋に入っていたジャンクのゲルマニュームダイオードです。

 1N34Aはフォーミング加工された状態で大量に福袋に入っていました。
 実験等に使いました。

 SD18は当時購入したのですが今まで使った事がありません。
 高耐圧ですので高抵抗となり、検波効率は落ちると思います。

 SD46は当時、よく使いました。
 半田付けの熱に弱いので、なるべくリード線を長く残していました。


 最近買ったダイオード

1N60 B22/D30
1N60D311/311A

 1N60は最も一般的な検波ダイオードだと思いますが入手したのは最近です。
 最近の実験には使っています。

 2枚目の写真の上3本はD311、下3本はD311Aです。
 最近、複数の通販ショップで「ロシア産超高性能ダイオード」とか言われて結構な値段で売られています。
 ゲルマラジオを作り電灯線アンテナで聴き比べてみました。
 当地のローカル局3局(639KHz、882KHz、1404KHz)のうち低い方の2局ではD311の方が 1N60より少し大きな音で聴くことが出来ますが1404KHzの局は1N60でもD311でも聴けません。
 結局、1404KHzの局は増幅しなければ聴けず、増幅すれば特にD311のメリットはありません。
 実際のラジオにはシリコンショットキバリアのMA700Aを使っています。


現役のゲルマニュームトランジスター

LCRブリッジ 内部
LCRブリッジ内部

 このLCRブリッジは年代物ですが、今でも使えます。
 内部を覗いてみると、ゲルマニュームトランジスタが見えます。
 東芝の2SB56と読み取れます。
 このトランジスタも広く一般的に使用されていました。


 トランジスタ規格表

 昔はCQ出版の半導体規格表を数年に一度購入していました。
 最初は半導体の登録数も少なく、登録品種の全てが掲載されていました。
 その後、特にバイポーラトランジスタの登録数が増えて、保守品種、廃止品種はデータがカットされるように なりました。

87年規格表

 手持ちの規格表で保守、廃止品種が掲載されているのは1987年版が最後です。
 その後、雑誌「トランジスタ技術」の付録ディスクとして1988年規格表の復刻版が配布されました。

88年規格表

 これにも保守品種、廃止品種が掲載されていますので、ここら辺が全品種掲載の最終版ではないかと思います。

88年規格表データ

 上の表は88年規格表のデータの最初の頁です。
 品種名の左側に付いている★マークは保守又は廃止品種を示します。
 現在も保守、廃止品種は毎年発生していると思いますが、保守、廃止品種になるとネットでもデータの検索が困難に なります。
 その意味でも古い規格表(復刻版データ含む)は大事な資料になっています。


 ダイオード規格表

87年規格表

87年規格表内容


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