斑の無い緑一色の個体を青と言いますが、斑入り品種から斑が消えてしまった個体も青と言います。
斑入りが選別されている全ての植物で、斑入りの個体と区別する為に用いられます。
軸(茎)の部分に褐色の色素が無い品種で、蘭に限らず全ての植物で呼ばれます。
通常は紅色の色素(アントシアニン)と葉緑素の混ざった褐色の色素を持つ個体(泥軸)が一般的です。
青軸は泥軸に比べ数が少ないので珍重されます。
斑の入り方の呼び名で、最も新しい葉にのみ斑が現れ、成長とともに消えてしまうものを言います。
後暗みの虎斑との区別が不明確で曙虎斑とも言われます。
斑の色を区別する言葉では無く、状態の変化を表現する言葉です。
「曙色」(夜明けの空の色)とは無関係です。(もちろん曙色の斑でも構いませんが)
芽当たりとも言います。
やっと確認出来る程度の小さな芽を言います。
主に新しい子供の芽を言い、花芽の場合は、あまり使いません。
長生蘭によく見られますが大黒蘭などでも見られる場合があります。
茎の色が澄んだ飴色(稀に澄んだ緑色)の半透明になります。
殆どの場合、葉に中斑や中透けがありますが無地の葉で飴矢の品種もあります。
その品種の標準的な個体より極端に葉幅の狭い個体を糸葉と言います。
葉幅が狭くても形状が直線的なものは針葉と言います。
糸葉の例は錦蘭(深山鶉)などに見られます。
覆輪の斑の幅が狭く地味なものを言います。
覆輪の幅が広いものは大覆輪と言います。
春蘭やエビネは毎年、新しい茎を出します。
茎は養分を蓄えて肥大し、落葉語も何年かは残ります。
落葉後の古い茎が芋に似ているので、この名があります。
古い芋を切り取って新芽を出させる事を「芋吹き」と言い、増殖の手段として利用されています。
斑の入った部分が平面的でなく、凹んだ状態になる斑を言います。
白色の斑が多い様に思います。
葉の全面が斑になって葉緑素が抜けてしまったもので、「幽霊」と同じ意味です。
全ての葉が「うぶ」であれば生育出来ません。
交配して種子から増殖させるのではなく、株分け、挿し木、取り木、メリクロンなどで増殖させる方法を
言います。
100%親と同じ形質を受け継ぎます。
ただし、斑入り、その他の個体変異は100%遺伝形質に取り込まれているとは限りません。
栄養繁殖で増やしても、特徴を失う場合があります。
交配一代目の雑種を言います。
個体による特徴のばらつきが大きく、親の特徴が表面に出てこない場合も多いです。
葉の形状変異の一つです。
葉先が2つ(または、それ以上)に割れてツバメの尻尾の様になる変異です。
富貴蘭で、よく用いられ、軸の部分の葉と葉の間隔を表現する言葉です。
葉重ねが密なものを「筬が詰まる」といい、葉と葉の間隔が広いものを「筬がゆるい」と言います。
葉や花弁の先端の尖った部分が折れ曲がり、折り鶴の頭の様に見える芸です。
寒蘭の花弁等に見られます。
葉の中央の葉脈(主脈、中脈とも言う)を中心線にして片側に斑が出て反対側に斑が無いものを言います。
当然ながら両側に斑のある個体より評価は下がります。
雅糸竜(ガシリュウ)とも言います。
葉の表又は裏面に無数の細かい縦皺が入ります。
多数の甲竜が現れた個体であると言われています。
(多数の葉が癒着して出来た)
斑の入り具合を柄と言います。
品種の特徴を良く現し、美しく斑が入った個体を上柄(じょうがら)と言います。
あまり程度の良くない個体を並柄と言います。
斑入りの品種から斑が消えてしまうこと、又は消えてしまった個体を柄落ちと言います。
蘭は草ですが古典園芸の世界では「木」という言い方をする場合があります。
大きく育って状態の良い個体を上木(じょうぎ)といったりします。
蘭に限らず、古典園芸は、対象の植物を草であっても木と呼びます。
多くの植物で葉の緑色が薄く、黄色っぽい個体が選別され、「黄葉」と表現されています。
葉が黄色くても葉緑素を含んでいる場合は栽培する事が可能です。
富貴蘭の場合は黄色い個体は虎斑に分類されてしまい、黄葉と言う表現は、あまりしません。
極端に暗い場所で栽培すると、もやしのように葉が黄色くなりますが、これは黄葉とは言いません。
花の付け根から後方に伸びた突起物を距と言います。
風蘭や鷺草など多くの蘭に見られますが、無い種類もあります。
距は蘭以外ではスミレなどにもあり、蜜を分泌する器官と言われています。
風蘭の距は、かなり細長いものですが、これは蝶や蛾のように口の長い昆虫をターゲットにしていると
予想します。
葉の中脈を境にして半分が斑で半分が青となっている単純な斑。
蘭の「源平柄」に相当します。
こちらは主に双子葉の草花や樹木に対して用いられます。
斑の安定性は悪く、葉全体に対する斑の面積の割合は、大きくなったり、小さくなったりします。
極端な場合、青や幽霊になります。
富貴蘭の伝統的な植え方で、水苔を空洞のドーム状に盛り上げ、その上に富貴蘭の根を跨がせます。
空洞にするのは鉢内部の通風を良くし、加湿を避ける意味があります。
ドーム状に高く盛り上げる植え方は空中に根を長く伸ばす富貴蘭にとって鑑賞的にも生育的にも好都合です。
熨斗芸(のしげい)が、さらに進化して葉が筒状になってしまったものです。
鑑賞的には珍品ですが葉の表面が筒の内側になってしまうので、一般的に生育は悪くなります。
構造上、天葉が伸びにくくなるので芯止まりし易いです。
斑入りの品種で新しい葉が伸びる時、斑に葉緑素が薄くかかり、雲って見える状態を言います。
成長とともに斑の部分の葉緑素が消えて(雲が晴れて)斑が鮮明になります。
成長とともに斑が消えてしまう状態を言います。
葉が不規則に変形したもので、一つの芸として認定されたものです。
獅子葉と同じ意味で用いられます。
病気や障害で萎縮、変形したものは狂い葉とは言いません。
葉が芸として変形する事を狂うという場合がありますが、この場合は悪い意味ではありません。
しかし、状態が悪くなる事を言う場合もあります。
例えば斑が抜けてしまった事を「芸が狂う」と言ったりします。
ある個体が同一品種の一般的な個体に無いい特徴を持っている場合、その特徴を芸と言います。
その特徴は「斑入り」、「花変わり」、「形状の変化」などです。
覆輪又は紺覆輪の覆輪の部分が葉の先端から葉の中央に向かって縞状に入り込んだ様子を言います。
入り込んだ部分の先端は葉元に達する事はなく、途中で消えます。
葉の中央の葉脈(主脈)を境にして左右半分が全面、青で、残りの半分が全面、斑の状態を言います。
見た目はインパクトがありますが、覆輪や縞が不完全な場合が殆どで、評価は低いです。
芸の継続性も悪く、子の多くは斑のない「青」か、全部が斑である「幽霊」です。
規則正しい、細かい縞が葉の全面に入った状態を言うようです。
最上柄だと思えば良いでしょう。
語源が判らないので、私は使いません。
葉の表(稀に裏)の主脈の部分に線状の盛り上がりや窪み、又は樋状のものが生じた芸を言います。
発生起源は2枚の葉が癒着したものと言われています。
品種により全部の葉に甲竜を生じるものと、数枚に一枚しか出ないものがあります。
覆輪で甲竜の二芸品を見た事がありますが、甲竜の部分にも覆輪がありました。
発生起源が2枚の葉の癒着であるので、甲竜は小さな葉であり、この部分(葉)にも覆輪がかかります。
富貴蘭には軸の部分にのみ斑を出す品種が何種か知られています。
この位置に出た斑を腰斑と言います。
江戸時代に園芸が大流行し、当時、栽培された植物は「古典植物」とか「古典園芸植物」とか呼ばれます。
この中には松葉蘭や細辛など、現代では一般的でない物もありますが、菊や朝顔のように現代でも普及している
ものもあります。
朝顔を例にとると、当時も現代と同じように、より大きい花、より美しい花を求めた人々がいたと思われます。
しかし、このような楽しみ方は古典園芸とは言いません。
変化咲きや、糸葉のような珍品を収集するのが古典園芸だと言えます。
植物自体には古典も現代もなく、違いは楽しみ方にあります。
古典園芸の裏には、投機的な面もあり、良くも悪くも発展を支えてきました。
蘭の栽培も技術的には古典園芸の延長線上にありますが、現代園芸として楽しんでも問題はありません。
荒れ地、空き地、芝生などに生える「ネジバナ」と言う野性蘭があります。
ネジバナの斑入りや葉変わり、花変わりを選別、命名した品種を小町蘭と言います。
「砂子斑」を参照してください。
特に富貴蘭で、天葉が急に短くなり、以降、木が小型化してしまう現象を言います。
環境の変化等による成長障害が考えられます。
ただし、西出都等で小型化した個体が珍重され、銘名されるようなケースもあり、芸であるか障害であるかの
区別が難しいです。
葉の表面の緑色を紺と言います。
緑色の濃いものを「紺地が強い」と言い、黄緑色のものは「紺地が弱い」と言います。
薄い緑色の地に濃い緑色の縞が入った状態を言います。
実際には縞の部分が地の色で、地の部分が斑の色です。
薄い緑色の地に濃い緑色の覆輪が入った状態を言います。
実際には覆輪の部分が地の部分で、内部が斑の部分です。
つまり中透けであると言えます。
白中透けや黄中透けも紺覆輪という場合があります。
葉の縁などにケロイド状の半透明の隆起が生じる芸です。
以前(例えば前年)と比較して、生育状態が良くなっている場合、作上がりしたと言います。
以前(例えば前年)と比較して生育状態が悪くなっている場合、作落ちしたと言います。
葉の外周が緑で、その内側が斑になっていて、葉の中心部が緑になっている複雑な斑入りの形態を言います。
中斑の中心部に緑が残っている様な感じです。
奇形花の一種です。
通常の蘭では6枚の花弁の内、1枚が唇弁に変化し、他の花弁より美しくなります。
3枚の花弁が完全に唇弁に変化したものを三蝶咲きと言い、豪華で幾何学的な美しさがあります。
距のある花では距も3本になるようです。
同じ花の花粉、又は同じ株の花粉、又は同じ品種の花粉を使って結実させることを言います。
セルフ交配と同じ意味です。
ある程度の確率で親に近い個体が得られますが、交配したという時点で親とは異なる物となります。
伝統的な古典園芸では同一株から株分けなどの栄養繁殖で殖やされた個体のみが親と同じ名前を使えます。
自家受粉では親に似つかない二級品が大量に出ますが、これらが親と同じ名前で流通するのは問題です。
植物の茎の部分を言います。
富貴蘭の様に葉元に囲まれて見えない場合もありますので、その場合は葉元の重なりの部分を言います。
変形した葉の芸を言います。
富貴蘭の場合は葉が不規則に、曲がった状態のものを言います。
ノキシノブ(シダ)の場合は葉が細かく分裂したものを言います
斑の入り方の一つで蘭の様に葉の長い単子葉植物に特有なものです。
葉の長手方向に1本又は複数本の斑が線状に入ります。
斑の色は白、乳白、黄、浅黄など様々です。
春蘭や寒蘭で縞と呼ぶのは実際には、中透けの先端の紺が蹴込んだものです。
これに対して富貴蘭の縞は葉先に突き抜け、「棒縞」と言われます。
春蘭や寒蘭でも希に棒縞の品種が有りますが、はっきり「棒縞」と表現されます。
葉の面積に比較して斑の量が少ないことを言います。
鑑賞価値は劣りますが、葉緑素が多い分、栽培は楽ですし、値段も安くなります。
地味な親から柄の良い子がでることもあり、これが斑入り植物栽培の楽しみでもあります。
斑入りとの区別は難しく、経験的に区別するしかありません。
斑入りとの違いは、出現率の違いです。
自然界では斑入りは極めて稀にしか出現しませんが(例えば10万個体に一つ)地模様では群生した全ての個体に
似通った模様がある場合が多いです。
地模様でも斑入りに劣らぬ鑑賞価値の高いものがありますが、希少性を尊ぶ古典園芸の世界では、それほど評価
されません。
地模様の例として、シュスランの葉脈縞などがあります。
地模様と区別して斑入りを本斑(ほんぷ)という場合があります。
地模様に本斑が入った個体もあります。
茎の部分の葉緑素が抜け白くなったもので、錦蘭や小町蘭にみられます。
春蘭では素心花を白花と言う場合があります。
この場合、一般的には唇弁が白で花弁は緑です。
春蘭では花弁が白い花(素心ではない)が少数存在するので、こちらも白花と呼ぶしかありません。
斑の入り方の一つで、白地や、黄色の地に緑点を散らしたような芸です。
蛇の皮に例えた名前ですが、それほど似ているとも思えません。
春蘭には多くの品種がありますが、他の蘭では稀です。
成長点が失われる事を芯止まりといいます。
春蘭や長生蘭は毎年新しい茎を出し、これらの茎は複数の成長点を持っているので一つの芽が損なわれても
普通は代わりの芽が伸びて来ます。
これに対し風蘭や樫の木蘭は毎年同じ成長点が無限に伸びていきます。
このとき成長点が傷つくと、それ以上成長出来ません。
これを芯止まりと言います。
芯止まりになった個体は、やがて枯れますが、その前に子芽を出すのが普通です。
蘭やスミレは花弁の内、下側の一枚だけが他とは違った特別な形状をしています。
これを唇弁と言います。
星斑とも言います。
小さな丸い斑が夜空に星を浮かべたように数多く出ます。
この斑は蘭に限らず、ツワブキなどにも見られます。
バイラス病であると言う説がありますが、伝染するわけでもなく、斑入りとして流通しています。
富貴蘭で、日を強く採ると軸の部分が浅黄色に明るくなる場合があります。
このような軸の状態を透け軸と言います。
葉の先端が針の様に尖る芸で、鈴虫の産卵管から付けられた名前です。
発生起源は主脈(中脈)が伸びた場合と甲竜が変化した場合があるようです。
安価に流通する普及品種のことを言います。
裾物の中には品種としての特徴が少ない鑑賞価値に欠けるものも多少は存在します。
しかし、多くの裾物は丈夫で殖えすぎた為、値段が下がった訳で、鑑賞価値が低い訳ではありません。
裾物でも株立ちにして丁寧に作れば自慢出来る一鉢になります。
店では単価の割に場所を取る裾物をあまり置かなくなったので逆に珍品となってしまった品種もあります。
砂子斑と胡麻斑に関しては人により定義が異なる様です。
両方とも細かい点状の斑が無数に入るもので、同じものだと言う人もいます。
白又は黄色のベースに緑点を散らしたものが砂子斑で、緑の地に斑が点状に入った物が胡麻斑であるという人
がいますが、その逆を言う人もいます。
いずれにせよ、緑色の濃い部分が地で、白や黄色の部分が斑であることは間違いなく、その意味では大差ありま
せん。
濃紺の糸状の縞のように見えますが、斑とは区別されています。
葉や軸に1、2本現れた場合「墨を引く」と言います。
たくさん現れた場合は「墨流し芸」といわれ、斑入りでは無く、無地葉変わりに分類されています。
極、細い白縞が黒く変色した様なものや、濃い紅の汚れを墨と言ったりする場合もあり、多少混乱しています
春蘭や寒蘭などでは唇弁のことを舌と言います。
自家受粉、又は自家受粉で増殖された個体のことを言います。
斑が葉の全面に均一に入った状態を言います。
縞の場合、細かい縞が葉の全面に多数、入った状態を言い、太くて荒い縞では言いづらいです。
上柄の意味と同じです。
通常、蘭の唇弁(舌)には紅や褐色の斑紋があります。
唇弁の斑紋が消え、緑、黄色、白(又はこれらの中間色)以外の色素を含まない花を素心と言います。
唇弁が、これ以外の色で塗りつぶされたものをベタ(ベタ舌)と言います。
唇弁以外の花弁は緑色が一般的ですが、最近の春蘭では、赤花素芯、黄花素芯といったものも存在します。
蘭以外では素芯という言葉は、あまり用いられませんが、素芯ロウバイ等があります。
素芯ロウバイは、花弁中心部の褐色の色素が抜け、鮮やかな黄色一色になった品種を言います。
葉の外側に斑があるということで、覆輪のことです。
中斑に対応する言葉です。
富貴蘭を株分けするとき、子株の根が少ない場合、親株の軸の下部に親の古根を付けて切り分けることをいいます。
親株自体は4〜5本も根があれば十分ですので、下の方の根を軸ごと、子に付けて切り取ってしまう方法です。
ただ、下の方の根は活力が弱く、台切り以後、急速に傷む場合が多いので、あまり、助けにならないことが多いです。
時期と管理が良ければ、少ない根でも活着しますし、特別な事情が無ければ、もう少し親に付けて置いても良い訳です。
コクラン、ユウコクラン、シマササバランの変異種を選別し、命名したものです。
覆輪の斑の幅が広くなったものです。
極端に斑の面積が広くなり中央部に少量の緑を残す場合は、「紺中通し」と呼ばれる場合があります。
複数の芸を併せ持つ個体を言います。
2種類の芸を持つものは二芸品と呼ばれるので、さらに、それ以上の芸を持つ物を言います。
春蘭や富貴蘭などの葉の出方を言います。
これらの蘭では天葉は真上に出ますが、成長するにつれて、だんだん垂れてきます。
成長しても垂れ方の少ない種類を立ち葉と言います。
栽培している場所の事を棚と言います。
蘭には樹上や岩上に着生している種類がたくさんあり、着生蘭と呼ばれています。
着生蘭と比較する意味で、地面に生える蘭を地生蘭と言います。
富貴蘭が子株を生じるとき子株の最初の2枚位の葉は長さが非常に短いです。
この小さい葉を稚葉と言います。
稚葉の付いた株は、分けたばかりの若い株だとわかります。
植物が樹上や岩上に根を伸ばして生育している状態を着生と言います。
着生植物には蘭やシダやアナナスなど多くの種類があります。
樹上に着生しても寄生している訳ではありません。
小型になった変異品種を総称して矮鶏と呼ぶ芸に分類する場合があります。
蘭の奇形花の一種です。
6枚の花弁の内、1枚の花弁は完全な唇弁です。
2枚の側花弁が唇弁になりかけています。(不完全な唇弁)
6枚の花弁の内、3枚が完全な唇弁に変化したものは三蝶咲きと呼ばれます。
野性や実生のセッコクから変異品種を選別し、命名したものです。
蘭の葉を横から見ると通常は、なだらかな曲線を描きます。
葉元から葉先まで真っ直ぐに伸びた形状の葉を直刀葉と言います。
斑の入り方の一つで、短く細かい糸くずの様な斑が無数に散らばる状態を言います。
細かい点状の斑が散らばるものは砂子斑や胡麻斑と言いますが、これらを含めて散斑と言う場合も多いです。
散斑が線状に集まって縞のように見えるものを言います。
富貴蘭の用語で葉の離脱層の事を言います。
古葉は離脱層で分離して落葉し、元の部分は落葉後も軸に残ります。
付けは直線状に見えるものや、曲線状に見えるものなど様々で、品種を見分ける目安にもなっています。
大部分の品種は「月型」という形に分類されますが、「波型」「山型」「一文字」という形もあります。
中には付けの無い品種もあり、「付け無し」呼ばれています。
特に蘭の産地に関して使用するようです。
蘭の場合、産地に大群落を作ったり、広く分布したりする訳ではありません。
比較的狭い範囲がスポット状に点在します。
一つ一つのスポットを「坪」と言います。
[使用例」 品種Aと品種Bは同坪で採れた。
葉先にだけ斑の入った状態を爪斑と言います。
このうち、斑の色が白いものは「峰斑」と呼ばれる事が多い様です。
一般的な個体より葉面の光沢が強く、プラスチックの様に見える種類を言います。
春蘭、寒蘭、富貴蘭などで用いられ、葉の形状を表す言葉です。
なだらかに下垂した葉の先端が上に曲がったものを言います。
斑入りの品種で新しい葉が出た当初より斑が鮮明なものを言います。
最初は不鮮明で成長とともに鮮明になるものは後冴え(のちざえ)と言います。
通常、花は横向きに開花しますが、上に向かって開花するものを天咲きと言います。
富貴蘭では豆葉品種の多くは天咲きになります。
最も新しい葉、最上部の葉、中心の葉を天葉と言います。
最上部の1枚を言いますが、上から2枚目位までを言う場合もあります。
葉の数が多い種類にのみ有効で、葉数が1〜2枚の種類では意味をなしません。
成長とともに斑の種類が他のものに変化する様子を言います。
天冴えで後暗みの斑と、後冴えの斑の2種類の斑を持っている場合に起こります。
最初に天冴えの斑が現れますが成長とともに消えます。
この時、後冴えの斑が現れるので、途中で斑が切り替わった様に見えます。
斑の入り方の一つです。
不定形なブロック状の斑が葉や軸の一部に出ます。
斑の色は白、黄、萌黄やこれらの中間色が、あります。
春蘭では斑切れ良く、雉の尻尾の様に斑が出る品種が多くあります。
富貴蘭では斑切れの良いものは少なく、全体的にぼんやりと黄色くなる物が多いです。
葉や軸の部分に出る褐色の汚れを泥と言います。
紅色の色素(アントシアニン)と葉緑素の緑が混じって茶色になったものです。
通常は葉よりも軸の部分に多く出て泥軸と呼ばれます。
斑入り、その他で葉緑素の少ない品種は泥が紅色になる場合もあります。
もともと紅色の色素を持たない品種もあり、これらは青軸と呼ばれ、泥は出ません。
軸(茎)の部分に褐色の汚れが出る個体を泥軸と言います。
富貴蘭でよく使われる言葉ですが、棒蘭でも青軸と泥軸があります。
青軸が選別されている全ての植物には比較対象としての泥軸が存在します。
中斑の斑の部分が広くなり、周辺にわずかな緑を残したもので、紺覆輪と呼ばれることもあります。
見た目が美しく、人気がありますが性質が弱く、栽培は難しいです。
斑の色により、白中透けとか黄中透けとか言われます。
葉の中央に細い縦縞が一本通る様子を言います。
「紺中通し」という表現をよくしますが、これは浅黄地の中央に葉先に達しない紺縞が通ったものです。
これは、実際には浅黄の大覆輪です
斑の色が白や黄色の大覆輪でも「紺中通し」と言えなくはありません。
ただし、白地に紺の中通しでは生育が困難で現物を見たことはありません。
覆輪とは反対に葉の中側に斑が出て周辺部は緑の状態を言います。
斑の面積が広いものは「中透け」と呼ばれるので、斑の面積のあまり広くないものを言います。
斑の色により白中斑とか黄中斑とか呼ばれます。
形状や寸法が標準的なものを並と言います。
芸の状態が、あまり良くない物も並と言います。
例えば斑の入り方が、あまり良くない個体を並柄と言います
(標準的と言うより、あまり良くないと言う意味が込められています。)
ある品種が二つの芸を同時に現した場合「二芸品」と言います。
例えば斑入りで花変わりであれば二芸品です。
古典園芸で用いられる楽鉢は通常は黒く塗られます。(黒楽鉢)
黒く塗らないで、絵付けをしたものを錦鉢と呼び、主に観賞用に用いられます。
釉薬が盛り上がる様に絵付けされ、縁や足の部分は必ずと言って良い程、金色で彩色されています。
絵の題材は花鳥風月、故事、図柄模様など様々です。
深山鶉、繻子蘭、紅繻子蘭などのシュスラン属の蘭の変異品を選別、命名したものです。
江戸時代に大流行しました。
富貴蘭は根を鑑賞の対象にしたり、根で品種を見分けたりします。
富貴蘭の根の先端5mm位の部分は成長期に色付きます。
泥軸(軸に褐色の汚れがある)の大部分の品種は根の先端が茶褐色で、「泥根」と呼ばれます。
泥軸の少数の品種は澄んだ緑色の「青根」を出します。
泥軸の少数の品種は美しいルビー色の根を出し「ルビー根」と言って珍重されます。
泥軸の品種は、この他、赤みの強い根や、黄色みの強い根など品種により、様々な色の根をだします。
青軸の品種は大部分が青根で、残りは薄黄色や乳白色の根です。
私は見たことがありませんが青軸で赤根の品種があると聞いた事があり、本当だとしたら大珍品です。
葉の左右両端をつまんで貼り合わせた様な奇形葉です。
したがって葉の表面は内側に隠れます。
成長とともに斑が消えていく(葉緑素が乗る)事を後暗みと言います。
一般的には暗まないで斑が残った方が評価が高いです。
しかし、白の曙斑などは暗まなければ生育出来ません。
それに消えていく時の斑の変化も楽しめます。
最初、青葉や、沈んだ状態の斑が成長とともに鮮明になるものを後冴えと言います。
葉の表面全体に、ぼやけた、はっきりしない虎斑が出たものです。
葉縁に、やや強くでます。
白縞や白覆輪で斑の色が地の緑色の上に溢れて半透明の膜を貼ったように見えることを言います。
万年青や富貴蘭で使われる言葉です。
ウイルスやビールスと同じ意味です。
不治の病で伝染性が強いので処分するしかありません。
斑に似た斑紋を出したりする場合があり、斑入りと間違えたりします。
また、萎縮したり、変形したりする場合もあり、これを芸だと勘違いする事もあります。
葉の出方を言います。
植物は葉を1枚しか出さない物とか2枚と決まったものとか、いろいろあります。
一株から複数の葉を出す種類では葉数が多い程、見栄えが良いし、生育も良いと言えます。
葉の枚数が多く、整然と出ているものを「葉繰りが良い」と言います。
双子葉植物の樹木や草花に対して用いられます。
葉全体を刷毛で掃いたような斑が入ります。
野山を歩いていて見つける斑の多くは、この掃込み斑です。
部分的に濃淡のある散斑の様な感じです。
斑に安定性が無く、地味になれば青葉に、派手になれば幽霊になります。
古典園芸では一般的に楽鉢を使います。
楽鉢は、脆くて壊れやすいし、腰高で風などで倒れやすいので、そのままでは管理が大変です。
そこで、鉢掛けに鉢の縁を引っかけて、鉢を吊した状態で栽培します。
これで倒れる心配は無くなるし、鉢底が浮くので通風も良くなります。
鉢掛けは、太い針金を加工した市販品がありますが、角材で自作する人もいます。
花色の変化や花型の変化など、花を観賞の対象とする品種を総称して「花物」と言います。
斑入りの品種で、その品種の本芸とされる個体に比べ、斑の面積が広いものを「派手」と言います。
見た目にインパクトがありますが、育てにくく、良い子が出にくいので、悪い意味で使われる場合が多いです。
しかしながら、「明るく美しい」という意味で使われる場合もあります。
葉幅が細く、直線的な形状をした葉を針葉と言います。
直線的ということで、必然的に葉肉は厚めで固めになります。
葉肉の薄いものは単に細葉と言ったり糸葉といったりします。
富貴蘭の葉の形状を言います。
横から見て全ての葉が、なだらかに円弧を描いているものを言います。
姫葉の姫は小型という意味ではありません。
「大型の姫葉」も存在します。
春蘭では姫葉とは言わず、「中垂れ葉」などと言います。
葉や茎の葉緑素が部分的に失われ、白や黄色に変色したものを言います。
一種の奇形ですが、色や模様の変化が楽しめるので鑑賞の対象にします。
病気や成長障害でも斑に似た斑紋が生じる場合がありますが、これは斑とは言いません。
斑によくにたものに「地模様」がありますが、出現率以外の違いを定義するのは難しいです。
斑入りは個体変異ですが、斑の種類により遺伝性があります。
覆輪の遺伝する確率は0、棒縞は限りなく0に近いですが、虎斑や散斑は、かなりの確率で遺伝します。
蘭の場合、実生が盛んになったのは最近で、多くの斑入り品種は野生種の選別品や栽培種の芽変わりが増殖されて
流通したものです。
野性の風蘭の変異品種を選別し、命名、登録したものです。
今後は実生の選別品種も登録されていくものと思われます。
緑の地と斑の境界のことを言います。
境界がぼやけて見えるより、はっきり判る方が評価が高く「斑切れが良い」と言います。
斑の入り方の一つで、葉の周辺部を斑が囲み、中央部は地の緑色です。
斑の面積の狭いもの(覆輪の幅の狭いもの)を糸覆輪と言います。
斑の面積が広いものを大覆輪と言い、評価は高くなりますが性質は弱くなります。
葉の縁に紅色の色素が現れる事を言います。
覆輪の斑の部分に色素が乗って、紅色の覆輪の様に見えるものが大部分だと思います。
深山麦蘭では多くの品種が選別されています。
品種により、冬季にだけ紅隈がでるものや一年中でる物があります。
富貴蘭では紅扇という品種が有名ですが、これは浅黄又は萌黄の覆輪に一年中、紅が乗ります。
泥軸の「泥」は紅色色素と葉緑素の緑が混じった茶褐色の汚れです。
泥軸でも軸の部分に斑が通った個体は葉緑素が少量です。
紅色の色素が葉緑素で濁らないので軸が紅色になります。
斑の入り方の一つで、「縞」といえば、本来、この「棒縞」を指します。
棒縞は縞の先端が葉先を突き抜けるもので、富貴蘭の縞は、全て棒縞です。
良くなったり、悪くなったり安定性が悪く、時により斑が無くなってしまったり、全面が斑(幽霊)になったり
します。
これに対し、春蘭や寒蘭では紺覆輪が蹴込んだものを縞と言い、実際には中透けです。(中押し縞と言う表現も
あります。)
春蘭や寒蘭でも希に棒縞の品種が有りますが、はっきり「棒縞」と表現されます。
「透かし星」と同じです。
萌黄色で境界のはっきりしない虎斑を「ぼや虎」と言います。
不明瞭で色彩のコントラストが低く、芸としての評価は低いです。
山採り品などで、時々、見られますが、固定せずに消えてしまう場合も多いです。
斑入り、その他の個体変異は同一品種でも個体により善し悪しがあり、栽培方法によっても変わってきます。
その品種の特徴(芸)を良く表した状態を「本芸」と言います。
品種名が正確で一意性を持っていれば不要な言葉です。
しかし、世の中には偽物が出回っているので、これを区別する為の言葉として用いられています。
最近では、実生品ではないという意味で用いられているようです。
しかし、言葉自体には何の保証もありません。
品種名を誤魔化すような人は、実生品であっても「本性品」と言うでしょう。
富貴蘭、その他で用いられ、葉の形状の変異を言います。
標準品種に比べて葉幅が広く、葉の長さが短く、ずんぐりした形状のものを言います。
「豆」は小型の意味ではなく、「大型豆葉」も存在します。
富貴蘭、春蘭、寒蘭など葉が長いものは一般的に葉先が尖っています。
尖り方が、ゆるい品種を丸止めと言います。
種子を播いて繁殖させること、又は種子を播いて繁殖させた個体を実生と言います。
葉縁の一部に、かすかな斑が現れる斑の状態を言います。
多くは糸覆輪で、覆輪の幅が狭くて、一部分しか見えない状態です。
葉先に白斑が入った状態を言います。
山の頂上に雪が残った状況を表現していると思います。
従って斑の色は白で、他の色は「爪斑」と言います。
蘭は自然界では共生菌(ラン菌)の働きを借りて発芽します。
一般の植物と異なり、種子の内部に発芽の為の養分を持っていないため、自分の力では発芽出来ません。
一部の蘭では、親株の根元に種子を蒔くと少量の苗が得られますが、これも共生菌の助けを借りています。
1921年に寒天培地に種子を蒔く方法が発表されました。
この方法ではラン菌の助けを借りないので無菌培養と言われます。
斑の無い葉を無地と言います。
葉型の変異や地合の変異を「無地葉変わり」と言ったりします。
突然変異で新芽に親と異なる性質が現れる事を芽変わりと言います。
斑入りなどは実生で現れる事もありますが、登録された品種の多くは野生種の選別か、芽変わりです。
バイオ技術で成長点培養の事を言います。
成長点を取り出して培養、増殖させ、これから親と同じ遺伝形質の植物体を大量に作ります。
しかし、斑入りや葉変わりなどの一部は個体変異で、遺伝情報に組み込まれていないものもあり、全ての芸が
メリクロンで再現出来るとは限りません。
メリクロンのもう一つの目的はウイルスフリー苗の生産にあります。
これは、成長点がウイルスに冒されないという性質を利用しています。
葉の表面に鑢の目のような細かい凹凸がある変異を言います。
無地葉変わりの一つです。
葉の全面が斑になってしまったものを言います。
棒縞の品種は斑が暴れやすく、幽霊になってしまう場合があります。
また、覆輪の品種も幽霊の子を産み易いです。
斑の色は白〜黄〜緑まで連続的に存在します。
白の幽霊は生育出来ませんが、斑の中に葉緑素を含むものは生育出来るものもあります。
また、出芽が幽霊でも後で緑が乗ってくる「後暗み」の品種は斑の色に関係なく生育出来ます。
このような斑は「曙斑」に分類されます。
古典園芸で使用する伝統的な鉢です。
楽焼きの鉢の表面に黒い釉薬を掛けたもので「黒楽」とも呼ばれます。
鉢穴が大きく3本足が一般的で、高級品ほど肉が薄く壊れやすいです。
腰高で、やや不安定であるので、通常は鉢掛けにつり下げて使用します。
黒く塗らないで絵付けをしたものは「錦鉢」と呼ばれます。
葉の表裏が荒れ地で細かい凹凸があり、葉肉が厚い個体を羅紗又は羅紗地と言います。
布の「羅紗」に例えて、厚く、ごわごわした感じを表しています。
葉肉の薄いものは「縮緬地」という場合があります。
無地葉変わりに分類されます。
蘭科の植物を総称して蘭と言いますが、蘭と名の付く物で蘭で無い物がたくさん存在します。
特にシダとユリ科に多いように思います。
松葉蘭、栗葉蘭、紐蘭、シシラン、ナンカクランはシダです。(この他にも多数あり)
葉蘭、折り鶴蘭、スズラン、ヤブラン、ケイビランなどはユリ科です。
君子蘭はヒガンバナ科です。
花変わりの一つです。
蘭は進化の過程で6枚の花弁の内の1枚が唇弁に変化しました。
六弁花は6枚共、花弁になったもので、先祖帰りの芸です。
富貴蘭などで新しく出た子を株分けした若い苗のことを言います。
最近では実生苗と区別する意味でも用いられます。