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 常夜灯の実験

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 私の仕事部屋は昔、納屋として使っていた建家の内部を改装したものです。
 入り口に照明が無いので夜間の出入りが不便です。
 内部からAC電源を引くのも煩わしいので太陽電池による常夜灯を思いつきました。
 10年以上前に購入した太陽電池が使い道の無いまま遊んでいるという事もあります。
 実際に製作し、設置したので製作記事として書けば良いのですが、あまりにもコストパフォーマンスが悪いので 実験項目として分類しました。
 私自身の記録としては意味がありますが、真似て作ってもメリットはありません。
 ランプは10φの白色LEDに5mA流しているだけですので明るくはありませんが闇夜の時の目印にはなります。


使用した太陽電池

 使用した太陽電池は288mm×172mmのアルミパネルになっています。
 長い間眠っていて当時のデータが残っていないので型番を入力して検索したのですがヒットしませんでした。
 当時はパネルの値段が高く4千円近くした記憶があります。
 パネルの裏側に使用方法の簡単な説明が図示されています。
 内部は2つのブロックに分割されていて直列接続で12V、並列接続で6Vのバッテリーに接続するイメージがあります。
 今回は並列接続にしますが出力ダイオードは実装済みです。
 並列接続での開放電圧は9V以上あります。
 短絡電流は正確には計れませんがマルチメーターの400mAレンジ(内部抵抗不明)でオーバーフローします。
 晴れた日には十分過ぎる発電量がありますが曇りや雨の日は、この大きさでも不足します。


何に充電するか

 今回はスーパーキャパシタに充電しました。
 ニッケル水素電池に充電することが面倒であることが理由です。
 白色LEDに5mA流した時のVFは2.5V程度ですのでニッケル水素電池は4本直列になります。
 4本直列で充電した場合、充電電流は4本同じですが1本に掛かる電圧は同じになりません。
 例えば4本直列にして8Vを掛けた場合、全ての電池に2Vが掛かる訳ではありません。
 高い電圧が掛かる電池は充電が進み、低い電圧の電池は充電されません。
 逆に放電するときは充電されない電池が基準になるので能力が出ません。
 私はニッケル水素の充電器を色々作って、この事を実感しました。
 最初、マキシムの直列充電用のICを使ったのですが上手くいきませんでした。
 ニッケル水素電池は充電、過放電にも注意が必要です。
 軽い充放電を繰り返すとメモリ効果で充電出来なくなります。
 最初に購入したパナソニック製の充電器で充電が上手く出来なかった事が充電器製作のきっかけになりました。
 4本充電すると必ず1本か2本の電池が充電出来ていません。
 この4本を直列にしても使い物になりません。
 その後、ずっと自作の充電器を使っていたのですが、長年経過して再びパナソニック製の充電器を購入してみました。
 メーカー製の充電器は小型軽量で使い勝手が良く、最初は快適でした。
 ところが30〜40回充電した電池が充電出来なくなりました。
 LEDの点滅は 「電池が古くなったので新しいものに交換しろ。」 というサインです。
 電池は充電器と同時に買ったパナソニック製で1000回近く充電できるはずです。
 結局、自作の充電器で充電し直す事になりました。
 この 「古くなった電池」 は自作の充電器で、その後何十回も充電していますが普通に使えています。
 結局、現在も自作の充電器を使い続けています。
 話が横道にずれましたがニッケル水素電池の充電には苦労した思い出があります。


スーパーキャパシタ

 スーパーキャパシタにも欠点があります。
 最も大きな欠点は二次電池に比べエネルギー密度が低い事です。
 従って同一エネルギーのコストが非常に高くなります。
 どれくらいのエネルギーが取りだせるか下の回路でテストしてみました。

 放電時間のテスト

 1F5.5Vのスーパーキャパシタを5Vで充填後スイッチを切って何分間発光するか確認しました。
 5.6mAのCRDを接続していますが5VからLEDのVFを引いた電圧では5.6mAは保てず5mAしか流れません。
 放電に因る電圧降下で、さらに電流は減っていきます。
 1時間経過すると微かに光るだけですが完全に消えるには、さらに1時間以上かかりました。
 光源として何とか使えるのは30分以下でした。
 単純に計算して10時間発光させるには20Fの容量が必要になります。
 又、大容量のスーパーキャパシタは耐圧が低く3V以下の物が一般的ですので直列に接続する必要があります。
 結局、通販で100F3Vのものを4本購入し直列に接続しました。
 これで25F12Vのキャパシタになります。
 本当は、もっと大容量のものが欲しいのですが高価ですので精一杯です。


 回路図

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回路図

スーパーキャパシタの保護

 キャパシタを直列に接続し電圧を掛けた場合、各キャパシタに均等に電圧が掛かる保証はありません。
 従って各キャパシタに3V以上の電圧が加わらないような保護回路が必要になります。
 今回は簡単に整流ダイオード3本を直列にし順方向の電圧降下で保護しています。
 夏場で1.8Vを超える電圧で電流が流れ始めます。
 2Vで数mA、2.4Vで200mA程度2.6Vで500mAを超えます。
 冬場を想定して冷蔵庫の冷凍室に入れると電圧が+方向に0.2Vシフトしました。
 3V耐圧のキャパシタが1.8Vしか使えない事になりますが簡単な保護回路ですので妥協します。
 逆並列にショットキダイオードを入れていますが、これで逆電圧から保護できるかは不明です。
 回路的には逆電圧が加わる事はありません。


点灯切り替え

 点灯は太陽電池の出力電圧で判断します。
 昼間は開放電圧が10V程度になりますが夜間は限りなく0Vに近づきます。
 基準電圧1.25Vより低くなったら点灯します。
 実際にはトランジスタQ2のベース電流による電圧降下の影響で1.4Vで切り替わりました。
 この電圧は日没後の結構暗い状況です。
 判別回路は充電電圧2V程度まで動作します。
 通常2Vまで放電する事は無いし、2.5V以下ではLEDが点灯しないので問題ありません。
 判別回路は点灯、消灯に拘わらず0.6mA程度を消費します。
 その他キャパシタの分圧抵抗で最大0.2mA程度を消費します。


充電電圧

 電圧は昼間に充電しているときは9V程度に上昇します。
 暗くなって充電が止まれば過電圧防止ダイオードに吸収され、1mA近い回路電流も流れているので7V以下になります。
 設置場所は直射日光の当たらない場所で条件は良くありません。
 この後はLEDの放電により徐々に電圧が下がります。
 充電電圧が下がるにつれCRDに掛かる電圧も減って定電流が保てなくなり放電電流は減っていきます。
 3V以下になるとLEDに電流が流れなくなります。
 翌日に充電が開始されるまでに完全に放電してしまうことは無いと思います。
 太陽電池出力には逆流防止ダイオードが入っているので夜間0Vになった太陽電池経由で放電することはありません。


試作した常夜灯

太陽電池パネル 回路基板 ケース内部 ケースとLED
太陽電池パネル回路基板ケース内部ケースとLED

 今回使用した太陽電池は10年前に購入して眠っていたものです。
 スーパーキャパシタは通販で購入したのですが1個960円の物を4個購入しました。
 高価ですので余分には買えず壊さないように気を遣いました。
 高価な基板を100円ショップで買った木箱に収納しました。
 LEDは10φの白色のものです。
 5mAでも明るく光りますが、もう少し流したいところです。


設置してみた

取り付け場所 点灯中
取り付け場所点灯中

 設置場所は直射日光の当たらない場所で条件は良くありません。


結果と考察

 晴れた日は良好に動作しますが雨の日は上手く動作しません。
 原因は充電量の不足です。
 太陽電池の能力はあるのですが設置場所が直射日光の当たらない場所の為、絶対的に発電量が不足すると思われます。
 これについては太陽電池を直射日光の当たる場所に移動するか、さらに大きなパネルに交換するしかありません。
 次にスーパーキャパシタの容量不足です。
 現在、25F12Vになっていますが晴れた日で7V程度しか充電出来ません。
 やっと1日分です。
 晴れた日に3日〜4日の充電量を確保する必要があります。
 ネット広告見ると2.7V500Fのキャパシタを6個直列に接続し16V83Fのキャパシタにしたものが5千円台で販売 されていました。
 83Fのキャパシタに12.6V程度充電出来れば現在の電荷の6倍を蓄える事ができます。
 ただし、常夜灯の実験に、そこまで投資する気分にはなってはいません。
 さらに大きな電力を扱うにはスーパーキャパシタより鉛蓄電池に充電した方が現実的だと思われます。
 今回の実験は中途半端な結果でしたが色々考えることがあり楽しめました。


 回路図更新

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回路図

 根本的には充電容量が足りないのですが少しでも増やすために

 1 シャントレギュレーターの電圧を少し上げる。
 2 無駄な消費電力を減らす。

 1に関してはダイオードの順方向電圧で対応していますがコンデンサー1本あたりショットキダイオードを 1本追加しました。
 その結果、0.3V程度、充電電圧の最大値が上がっています。
 2.0Vあたりから電流が流れ始め、2.8Vで0.5A程度になりました。
 2に関しては電圧検出回路の動作電流を1/3程度に抑えました。


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