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 HT7733A/50A


HT7733AとHT7750A

 秋月がホルテックの昇圧レギュレータを扱うようになりました。
 3.3V出力のHT7733Aと5V出力のHT7750Aです。
 HT7733Aが4個で200円、HT7750Aが5個で200円と非常に安いです。
 HT7750Aに関しては、以前、電子回路>「電池2本で5Vを作る」の頁で実験したことがあります。
 今回、再度、これらのデータを取ってみました。
 前回、書ききれなかった点も追加しています。


結線図

結線図

 結線図はHT7733AもHT7750Aも共通で、ICのみ異なります。
 ダイオードは30V1Aのショットキ型です。


製作した回路

製作した回路

 回路は10mm×20mmの基板に組んであります。
 上側がHT7750A、下側がHT7733Aですが、直付けした負荷抵抗とICパッケージ以外は全く同じです。


使用したインダクター

使用したインダクター

 使用したインダクターは100uHで直径4.7mm、高さ9mmと小型ですが、直流抵抗は0.5Ωと優秀です。
 一般的なマイクロインダクターは直流抵抗が大きいので特性が悪くなると思います。
 


入力電流

7733A入力電流

7750A入力電流

 HT7733A、HT7750A共、負荷電流を3段階に変え、入力電圧を可変して入力電流の変化をグラフにしました。
 このICは200mAの負荷電流が取れるとの話ですが、やや無理があるので、それぞれ、一番重い負荷の時、約100mA の電流が流れるように抵抗値を決めてあります。
 グラフから判るように動作開始電圧付近で大きなピーク電流が流れます。
 HT7750Aの負荷抵抗98.7Ωと217Ωでピークが潰れているように見えますが、たまたま、計測ポイントがピークを 外しているだけで、やはり鋭いピーク電流が流れます。
 供給電圧は起動時に0から立ち上がるのでピーク電流が流れる電圧を通過します。
 つまり、起動時にピーク電流が流せないと、このICは立ち上がれません。
 一次側の供給電源の内部抵抗が高いと動作しないという事です。
 


出力電圧

7733A出力電圧

7750A出力電圧

 入力電圧を可変して出力電圧の変化をグラフにしました。
 入力電圧の変化で出力電圧が変化し、定電圧特性は、あまり良くありません。
 負荷電流が少ない程、特性が良くなっています。
 もう少し、大きなコアで巻き線抵抗の、もっと小さなインダクタを使えば、大電流の特性が若干、良くなるかも しれません。
 逆に、一般的なマイクロインダクターの様な特性の悪いインダクターを使えば、性能は、さらに悪くなると思います。
 最低入力電圧はHT7733Aで1V程度、HT7750Aで1.5V程度、必要です。
 最大入力電圧は、定格出力電圧を超えた値を加えても動作している様に見えますが、基本的に昇圧コンバータですので 定格出力電圧以下とするのが安全です。
 


効率

7733A効率

7750A効率

 負荷電流20mA〜100mA程度では、電流が少ない程、効率は良くなっています。
 インダクタの特性の影響があると思います。
 安価のICの割には、そこそこの効率が出ています。
 HT7733AよりHT7750Aの方が特性が良いようです。
 


動作波形

スイッチング波形  HT7733A スイッチング波形
 2V/div、4uS/div
 100Ω負荷、2.4V入力の時

リップル波形  HT7733A リップル波形
 2V/div、10uS/div
 100Ω負荷、2.4V入力の時

スイッチング波形  HT7750A スイッチング波形
 2V/div、4uS/div
 100Ω負荷、3V入力の時

リップル波形  HT7750A リップル波形
 2V/div、10uS/div
 100Ω負荷、3V入力の時


使ってみて

 電圧精度は良くないものの、安くて、効率も悪くないので、簡単な用途には良いと思います。
 波形写真の様にリップルが大きいので、工夫した方が良いかもしれません。
 特定の動作点でFMラジオに雑音が入るので、考慮が必要な場合があるかもしれません。
 尚、電子回路やソフトウエア>その他製作>サイコロ でHT7750Aを使用した回路例が あるので参考にしてください。


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