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 電池管高一ラジオ

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 オリジナルの電池管ラジオを作りたい

 電池管ラジオのキットを2台程作り、動作させる事が出来たのですが、キットですので不完全燃焼です。
 オリジナルの電池管ラジオを作ろうと思ったのですが真空管に対する知識、経験が全くありません。
 とりあえず回路の簡単なストレート受信機を作ることにしました。
 枕元で使用するイヤホン専用のラジオとして使用する予定です。
 真空管に慣れたらスーパーヘテロダインラジオに挑戦してみたいと思います。


回路図

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回路図

 真空管は6418で高周波増幅、検波、低周波増幅の3球を使用しています。
 再生検波なら2球で済みそうですが、再生の方法には色々あって、どの方法が良いか決めきれなかった事、 再生を掛けると周波数範囲が狭くなるという記述があり、選局もコツが要りそうですので止めました。
 調整中の事故を防ぐ為にB電源にはトランジスタによる定電流回路を付けてあります。
 短絡電流が7mA程度ですので万が一、B電源をヒーター電極に接触させてもヒーター焼損を防げると思います。
 (敢えて確認はしていません。)
 B電池は12Vのものを2本直列にしていますが、定電流回路と電源表示LEDで3.5V程度のロスがあります。

 6418

 サブミニチュア管の6418は以前、補聴器用として生産されたそうで大量の在庫があるらしく、真空管の中では比較的 安価で(半導体に比べたらかなり高価ですが)入手も容易です。
 ヒーター電流が10mAと少ないのですが、かなり非力です。
 カソード電流の最大値が0.5mAですが、これを越えない範囲で出来るだけ近づける事が感度を上げる為に必要だと 思います。
 最初、グリッドのリターンを接地したのですがグリッド抵抗に流れるリーク電流で負バイアスが掛かり、電流が、あまり 流れません。
 グリッド抵抗のリターンをグラウンドでは無く、+1.5Vに接続するとプレート電流が増えるようです。

 電池

 A電池は単三電池ですが回路電流が30mA(/1.25V)ですので数十時間は使えると思います。
 B電源は約1mAを必要とします。(実測)
 B電池はA23という12Vの電池を2本直列にしています。
 公称容量は55mA程度のようですが、どれくらいの負荷電流を基準にしているか判りませんでした。
 こちらも20時間〜30時間は使えると思います。
 A23電池は秋月電子で5本200円で販売されています。

 バーアンテナ、バリコン

 これらは近くのパーツ店で購入したトランジスタラジオ用のものです。
 バーアンテナには固定用のアクセサリーが付属していないので取り付けに苦労します。
 バーアンテナだけでは、やや感度不足でしたので筐体内部に1m位のアンテナ線を貼り付けています。
 これは非常に効果がありました。

 実装

 実装はケースに合わせて切断したユニバーサル基板を使用しました。
 真空管ソケットはシングルインラインの丸ピンICソケットを切断して使用しました。
 スペースには余裕があるので製作は楽でした。

 チョークコイル

 高周波増幅は入力のみ同調回路があり、出力は非同調のチョークコイルです。
 このチョークコイルは周波数特性があり、現在の値は周波数の高い局で感度が少し高くなっています。
 値を大きくすると周波数の高い局が聞こえなくなります。
 この値を色々変えて試すのに時間が掛かりました。
 手持ちのインダクタのバリエーションが少ないのでトロイダルコアにホルマル線を巻いて値の調節をしました。
 現在の値が最適かは不明ですが切りがないので止めました。

 使ってみて

 木造家屋の室内でローカル局が実用的な音量で聞こえます。
 入力が強いときVRを最大にすると発振気味になりますが少し絞れば大丈夫です。


6418 ラジオ外観 ラジオ内部
6418ラジオ外観ラジオ内部

 電池管高一ラジオU

 上記の高一ラジオは入力側だけに同調回路があるものでしたが負荷側にも同調回路がある高一ラジオを考えてみました。
 真空管ラジオ用の高一コイルは寸法が大きく使いづらいのでトランジスタラジオ用のOSCコイル2個を組み合わせて みました。
 手持ちの高一コイルの負荷巻き線のインダクタンスは実測で5.6mHあったのですがOSCコイルは最大でも560uH程度 にしかなりません。
 今までの経験では電池管に対しては1mH前後が適しているように感じていたので、これで試してみました。


回路図

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回路図

 回路図は完成品をイメージして描いてありますが、実験段階ではCVCC電源を使う為、DC−DCコンバータを 使っていません。
 イヤホンジャックも付いていません。
 回路は高周波1段増幅の後、ダイオード検波、低周波2段増幅をしています。
 バーアンテナは10φ×140mmのフェライト棒にリッツ線を巻きました。
 バリコンは340pF×2連のポリバリコンです。


実験回路

実験回路

 実験結果

 回路は簡単ですがスピーカーを鳴らすだけの出力が得られませんでした。
 高周波段のゲインが足りないようです。
 設計ミスか配線ミスかを確認出来ていませんが、即、実験を中止しました。

 3球スーパーに改造

 通常なら失敗した回路は分解して部品取りするのですが改造して3球スーパーにしました。
 回路の多くの部分は流用出来ます。
 ポリバリコンは340pFの2連バリコンから150pF+70pFの親子バリコンに変更しました。
 それに伴いバーアンテナも巻き直す必要があります。


回路図

回路図

 5678を3球でスーパーを作るということで5極管コンバータ、ダイオード検波、レフレックス回路ということに なります。
 特にレフレックス回路での異常発振に注意が必要です。


使用部品

 バリコン
 150pF+70pFの親子ポリバリコンです。
 ポリバリコンは不良品が多く安価な外国製のものは注意が必要です。
 最初から動きの悪いものもありますが、途中で電気的に壊れるものも多いです。
 取り付けビス穴の深さに余裕が無くビスと回転翼が接触し易いものもあります。
 この状態で回すと一発で壊れます。

 バーアンテナ
 10φ×140mmのフェライト棒にリッツ線を巻きました。
 ポリバリコンの容量が小さいのでインダクタンスはコイルをバーの中央に置いた状態で580〜600uH程度が必要です。
 巻き数は数えていませんがインダクタンスで合わせ込みました。
 手持ちのリッツ線が太かったので巻き幅が足りず、一部、重ね巻きになりました。
 この状態でグリッドに入力すると浮遊容量で高い周波数同調出来ません。
 従って二次巻き線をグリッドに入力します。
 二次巻き線の巻き数は同調巻き線の1/3位にします。
 巻き数が多いと浮遊容量が増え、少ないとゲインが下がります。

 OSCコイル
 10mm角のトランジスタラジオ用のOSCコイル(赤コア)を巻き直します。
 まず巻き線を全て取り除きます。
 0.6mmのウレタン線を用意し、最初に二次巻き線を30回巻きます。
 巻き終わりを交流的なGNDレベル(この場合はB+)に接続します。
 二次巻き線の上に一次巻き線を重ね巻きします。
 電圧50〜70V程度では特に絶縁しなくても大丈夫のようです。
 30回のところにタップを出します。
 外側のコアを外した状態で160uH程度になったら巻き終わりとします。
 巻き始めをGNDに接続し、タップをグリッド、巻き終わりを子バリコンに接続します。

 IFT
 トランジスタラジオ用10mmのものを無改造で使用します。
 コアの色は黄、白、黒のどれでも構いません。

 低周波チョーク
 山水のST−30を使用しました。

 出力トランス
 山水のST−30の巻き線と鉄心の隙間に0.16mmのウレタン線を50回程度巻き、スピーカー出力とします。

 DC−DCコンバータ
 別の頁「不明のコアを使ったDC−DCコンバータ」で説明したものです。
 効率は63%程度です。


 製作したラジオ

DC−DCコンバータ 回路基板 ラジオ外観 ラジオ内部
DC−DCコンバータ回路基板ラジオ外観ラジオ内部

 実用的な性能が出たのでケースに入れました。
 スーパーは製作、調整に多少の手間が掛かりますが確実に完成します。


 製作結果

 地元のローカル局3局(639KHz、882KHz、1404KHz)実用的な音量で受信出来ます。
 ただ、出力が電圧増幅管、出力トランスが貧弱ですので大きな音は出ません。
 レフレックスの割には音質が良くDC−DCコンバータのノイズは全く感じません。
 電池電圧1.5Vの時の電源電流は300mAです。
 電池電圧0.9V程度まで受信出来ますが1.0V以下では音が小さく、手元に置く必要があります。
 単3電池2本で間欠15時間程度の使用時間と思われます。


 レフレックス回路のトラブル

 レフレックス回路は異常発振し易く出来れば避けたいところです。
 回路図で音量調整VRの値が大きいと低周波のブロッキング発振を起こします。
 回路図の100KΩを250KΩにすると発振します。
 AGCループを切断しても止まりません。
 VRを絞ると発振は止まるのでCカップリングされた音声信号のフィードバックが影響しているようです。
 回路図の100KΩでは特に問題ありません。


 その後、毎日使用している

 このラジオは調子が良いので現在、毎日使用しています。
 私は、ほぼ毎日、仕事部屋に籠もっています。
 多い日は1日12時間程度ラジオを聞きます。
 電池は単3エネループを4本を2本ずつ2組に分け、1組が放電終止となったとき交替して充電しています。
 1回の充電で15時間程度聞くことが出来ます。
 このエネループは2000回の充電回数ということですが実際には350〜450回程度だそうです。
 仮に365回とすれば2年間使える事になります。
 電池の償却と充電する電気代を考慮しても1日あたりのコストは5円程度と思われます。
 球も5678が3本ですのでメンテナンスが楽です。
 5678は安価で手持ちに10本位のスペアーがあります。
 ノイズも無く音質も良く、音量も室内で聞くには十分です。
 エネループの放電終止電圧は0.9V〜1V位ですが1.1V位になると急激に放電終止に向かいます。
 1V位になると音量が小さくなるので電池を交換し充電します。

 再度、高一ラジオを作る

 4球スーパーや3球レフレックススーパーが確実に作れるようになったので敢えて高一ラジオを作る必要は無いのですが 再度、高一ラジオを作ってみました。
 今度は単同調の高一レフレックス回路に低周波増幅2段を追加しました。
 レフレックスで低周波1段の増幅がされているので高周波1段+低周波3段ということになります。
 いくらゲインの小さい電池管でも、これくらい増幅すればスピーカーを鳴らせるはずです。

回路図

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回路図

 回路図で検波ダイオード2個の極性を逆にしても動作するのでが回路図の方が球に対して正バイアスとなるので感度が 上がります。
 ただし、単同調の高一では感度を上げると分離が悪くなります。
 スクリーン電圧をVRで可変すれば良いとは思うのですが面倒なのでB+に直結しています。
 バランスを取って初段だけB+電圧を下げています。
 初段のプレート負荷になっている高周波チョークの値はクリチカルです。
 これより大きくすると高い周波数の感度が下がります。
 これより小さくすると低い周波数の感度が下がります。


 使用部品

 バーアンテナ
 φ10mm長さ200mmのフェライト棒にリッツ線を巻きました。
 ディップメーターで共振周波数を合わせ込んだので巻き数は数えていません。

 バリコン
 別のラジオで使っていたジャンクのバリコンを流用しました。
 3セクション有りますが一番大きなセクションは羽と筐体が接触していて使えないので中と小のセクションをパラに しています。

 高周波チョーク
 市販のマイクロインダクターを使用しました。
 1mH以上のものは高い周波数でQが下がるので470uHのものを3個直列にしています。

 低周波チョーク
 ラジオ少年から購入した小型のものです。
 ST−30より寸法は大きいのですが半値で買えます。

 出力トランス
 ラジオ少年から購入した一次インピーダンス20KΩのものです。


 DC−DCコンバータ

コンバータ回路図

 いつも通りのロイヤーの回路です。
 入力電圧1.5Vの時、10KΩの負荷に38Vを発生し、効率は63%です。
 実際のラジオで、これより若干負荷が軽くは入力1.5Vの時130mA程度を消費します。
 ヒーターと合わせ280mAくらいの電池電流です。
 出力の短絡と開放に対して保護されます。

 DC−DCコンバータのトラブル

 今回、トランスはEE19コアを使用しています。
 最初、小型にするためにFT−50#75コアを使いました。
 透磁率が大きいので巻き数が少なくて済みます。
 負荷に10KΩの抵抗を接続したときの効率は62〜63%で問題ありませんでした。
 ところがラジオに組み込むと消費電流が急増します。
 オシロで発振波形を見ると波形の片側が潰れています。
 結局、一次巻き線と二次巻き線に8KΩ程度の抵抗値があることが判りました。
 一次巻き線と二次巻き線を重ね巻きしたため漏洩電流が発生しているようです。
 負荷に抵抗だけを接続したときは動作したのですがラジオに組み込むと出力のGNDと入力のGNDが共通になる為に 誤動作するようです。


 製作したラジオ

DC−DCコンバータ ラジオ外観 ラジオ内部
DC−DCコンバータラジオ外観ラジオ内部


 製作結果

 バーアンテナが大きいのでローカル放送を聞くには十分な感度があります。
 同調回路が一つだけですので分離は良くありませんが当地はローカル局が少ないので混信することはありません。
 電池が新しい時は感度、音量は上がりますが分離は悪くなる傾向があります。
 出力が電圧増幅管ですので大きな音は出ませんが室内で放送を聞くのに十分な音量があります。
 電池電流は1.5Vの時280mA程度で15時間程度は使えると思います。


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