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 再生検波ポータブルラジオ

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 電池管ラジオを作る場合、4球スーパーが最も確実で実用性があります。
 3球レフレックススーパーは省エネ省スペースという利点がありますが発振し易く難易度が上がります。
 スーパー以外で実用的なラジオを作るのは困難ですが、時々、挑戦して失敗しています。
 今回、遊んでいたプラケースに再生検波(0−V−2)ラジオを組み立ててみました。


 使用部品

ケース
 タカチ SW−125S
 幅70mm高さ40mm奥行き125mm
 余っていたにケースにスピーカーの鳴るラジオを組み込もうと思ったのがスタートです。

バーアンテナ
 壊れたパナソニックのポケットトランジスタラジオから取り外したものです。
 バーの余ったスペースに再生巻き線を追加しました。
 回路図ではアンテナ巻き線も描かれていますがスペースが無く止めました。

ワイヤーアンテナ
 感度が不足した時の為にケースの内側に30cm位のアンテナ線を貼り付けてあります。(0.8φUEW)
 効果が不明の為、現在は接続されていません。

バリコン
 一般的に販売されているスーパー用のポリバリコンの親側を使用しています。
 ストレートラジオ用のポリバリコンはバーアンテナに合わなかった為です。

真空管
 6088を3本使用しています。
 以前は安く入手出来たのですが最近では入手が大変になり、値段も5678の2倍以上します。
 B電圧が40V以下では6088の方がプレート電流が流れやすくヒーター電流も少ないので便利です。
 B電圧が40V以上では5678の方が安全です。

高周波チョーク
 以前、「ラジオ少年」から購入したものです。
 動作条件固定の時4mH位のインダクタンスでは分布容量で高域のゲインが落ちます。
 今回はスクリーン電圧を調整して対応します。

低周波チョーク
 山水のST−30トランスを使用しました。

出力トランス
 山水のST−30トランスに二次巻き線を巻き足したものです。
 鉄心とコイルの隙間にφ0.16のUEWを巻けるだけ巻きました。
 50回程度だと思います。


DC/DCコンバータ

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コンバータ回路図

 #75コアは導電性があるのでアクリルラッカーをスプレーして絶縁します。
 ラッカーが乾いたら一次巻き線を出来るだけ均一に巻きます。
 巻き数は40回センタータップですが20+20のバイファイラ巻きとします。
 巻き終えたら再びアクリルラッカーをスプレーして巻き線を固めます。
 このコンバータの発振周波数は可聴域ですので機械的な振動音がしますが巻き線を固める事により振動音を低減します。
 (殆ど聞こえないレベルになります。)
 二次巻き線は多めに巻き、ダミー負荷で負荷電圧を確認しながら巻き戻します。
 回路は出力開放時の過電圧保護と出力短絡時の過電流保護が成されています。
 短絡電流は15mA程度で6088のヒーター電流の20mAより小さいことがミソです。
 実際のラジオのB電流は2mA程度ですが、これより重いダミー負荷8.2KΩを接続し、入力電圧1.5Vの時の効率は65 %程度でした。


ラジオ回路図

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ラジオ回路図

 回路図は現時点の最終形を示していますが、最初に書いた図面から大きく変更されています。
 理由は異常発振に悩まされた為です。
 最初はバリコンで再生量を調整する回路でした。
 DC/DCコンバータの発振ノイズがヒーターに回り込むのを防ぐ為にA電源に大容量のコンデンサが入っています。
 電源スイッチの接点が多少、気になります。
 電源は単3電池1本で、電池が新しい(1.5V)時、ヒーターとDC/DCコンバーターに190mA程度流れます。
 連続8時間程度は動作すると思います。


 製作したラジオ

ラジオ外観 ラジオ内部 基板部品面 基板半田面 6088真空管
ラジオ外観ラジオ内部基板部品面基板半田面6088真空管

 ケースの寸法が小さいので部品配置に苦労しました。
 手直しを予想していたので基板が簡単に取り外せる構造にしてあります。
 6088はハウリング対策の為ウレタンシートで巻いてあります。
 電池管は発熱しないので溶けることはありません。
 予想通り数多くの手直しをしたので基板の裏側はグチャグチャになってしまいました。
 回路図に無い調整時の保護部品等も付いています。


 製作結果

 異常発振で苦労しましたが、現状、手元に置けばローカル局3局(639KHz、882KHz1404KHz)が 聴けるようになりました。
 ただ、回路が小電力でスピーカーが超小型の為、大きな音は出ません。
 選局はクリチカルですが逆に言えば分離は良いといえます。
 いずれにせよ使い勝手は良くありません。
 ブロッキング発振のような悪質なトラブルは取れましたが再生の調整で発振気味になります。
 日常使う訳では無く、完璧さを求めるようなラジオでは無いので、これで終了とします。


 感度不足に対するトラブル対策メモ

ワイヤーアンテナを取り付け
 受信はしているようですが蚊の鳴くような音しか出ません。
 そこでケースの内側に30cm程度のワイヤーアンテナ(φ0.8UEW)を接着しましたが効果はありません。
 結局、2段目のプレート?(又はスクリーン...忘れた)のB+への半田付けが外れていたのが原因でした。
 現在、ワイヤーアンテナは残して有りますが接続はしていません。


 異常発振に対する対策メモ

 再生がクリチカルで強くするとブロッキング発振を起こす。

再生方法の変更
 最初、再生量をバリコンで調整していたのですが再生が効き始めると異常発振が発生します。
 そこで再生方法をスクリーン電圧を調整する方法に変更しました。
 効果はあまり有りませんでしたが以降、この方法になっています。

再生回路コンデンサー容量の変更
 ケースの寸法が小さいので再生バリコンとVRの両方を付ける事が出来ません。
 再生バリコンを外して、その位置にVRを付けました。
 バリコンのように微調整は出来ませんが固定コンデンサーを10pF〜100pFの範囲で交換してみました。
 再生の効き具合は変わりますが、再生が効けば異常発振が起こるので、どれが最適か判断出来ません。

バーアンテナの極性を変える
アンテナコイルの極性を変える
 アンテナコイルの接続は上図(A)のようになっていましたが(B)のように接続を入れ替えてみました。
 アンテナコイルの極性を変えたときは再生コイルの極性も変える必要があります。
 発振は弱くなりましたが低い周波数の感度が落ちて駄目でした。

再生コイルの巻き数を減らす
 再生コイルは適当に巻いたもので巻き数に根拠がありません。
 試しに巻き数を半分程度にしてみました。
 これは少し効果がありましたが、まだまだです。

高周波チョークとパラに抵抗を入れる
 効果は不明で現在は外してあります。

再生回路と直列に抵抗を入れる
 多少の効果はあるようですが感度と引き換えで最適値が不明の為、現在はショートしてあります。

出力トランスにパラに入れているコンデンサーの容量を増やす
 1000pF→3300pFにしましたが効果は不明です。

ハウリングの対策
 球を薄いウレタンシートで巻いてみましたが効果不明。

B電圧のデカップリング
 初段のB電源にデカップリング回路を入れました。
 効果はあるようですが感度が下がるので最適な時定数を決める必要があります。
 現状が最適かは不明。

5678に換えてみた
 状況は変わらず感度は下がりました。
 40V以下の低いB電圧では6088の方が有利です。

2段目のプレートに1000pFのコンデンサーを入れた
 これは少し効果がありました。
...
 以上、いろいろ試して放送は何とか聴ける状態にはなっていますが完璧ではありません。
 弱いハウリング状の発振音が局間で聞こえる事があります。
 調整中のCVCC電源でも発生するのでDC/DCコンバータのノイズでは無いようです。


更新(2021/01/20)

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ラジオ回路図

 検波回路の低周波チョークを100KΩの抵抗に変更し、外したST−30は2段目に移しました。
 筐体内のワイヤーアンテナを接続してみました。
 大きな改善は見られませんが悪くはなっていません。


 再生検波イヤホンラジオ

 単3電池1本で連続30時間程度の連続動作を目標として製作したものです。

 製作した回路

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ラジオ回路図

 再生検波の回路方式には色々な方式がありますが今回もスクリーン電圧を調整する方式にしました。


 使用部品

ケース
 タカチ SW−125S
 幅70mm高さ40mm奥行き125mm

バーアンテナ
バーアンテナ
 市販品に使えるものが無いので自作しました。
 10φ×60mmのフェライトバーに0.07mm×10芯のリッツ線を巻きました。
 同調巻き線はディップメーターで共振周波数を合わせ込んだので巻き数は数えていません。
 再生巻き線は20回巻いたのですが後で10回に減らしました。
 再生巻き線の巻き数はカットアンドトライで決めるしかなく悩むところです。
 (その後10φ×70mmのフェライトバーで作り直しました。)

バリコン
 スーパー用のポリバリコン(PVC−20Yのコピー品)の親側をと子側をパラにして使用しています。

真空管
 6088を2本使用しています。

高周波チョーク
 以前、「ラジオ少年」から購入したものです。
 動作条件固定の時4mH位のインダクタンスでは分布容量で高域のゲインが落ちます。
 今回はスクリーン電圧を調整して対応します。

低周波チョーク
 山水のST−30トランスを使用しました。

出力トランス
 山水のST−30トランスを使用しました。


DC/DCコンバータ

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コンバータ回路図

 まず動作条件を仮定し巻き数やバイアスを合わせ込みます。
 これをやらないと効率が50%以下になってしまいあす。
 今回は18KΩの負荷抵抗に38Vの電圧を発生するという条件で合わせ込みました。
 実際のデータは17.72Ωの抵抗に37.4Vの電圧を発生したところで終了しました。
 入力電圧1.5V入力電流は86mAで効率は61%です。
 ラジオ負荷は、これより少し軽くなるので入力電流は減ります。
 負荷解放電圧は40V、負荷短絡電流は11mAとなります。
 オシロでコレクタ波形は確認しておきます。

コンバータ動作波形

 製作したコンバータ
製作したコンバータ


 製作したラジオ

ラジオ外観 ラジオ内部
ラジオ外観ラジオ内部

製作結果

 当地のローカル局(639KHz、882KHz、1404KHz)を実用的に聴く事が出来ます。
 電池電圧が下がると音量は小さくなりますが再生VRを調整すれば音量を補う事が出来ます。
 電池電圧0.9Vでも実用的に聴く事が出来ます。
 電池電圧1.5Vの時ヒーターとコンバータの合計電流は100mAです。
 単3電池1本で連続25〜30時間は使えるはずです。
 再生を効かせれば感度や選択度は結構良いのですが再生が効きすぎた時の発振音は耳障りです。
 使い勝手はスーパーに劣ります。
 真空管は個体によりハウリングが出やすいものがあるようです。


 再生検波イヤホンラジオ作り直し

 ある日、ST−30Aトランスが必要になり上記の再生検波ラジオから取り外してしまいました。
 球やイヤホンジャックなども他に回してしまいました。
 しばらく残骸のままでしたが、作り直すことにしました。
 基板は一旦、真空管ソケット以外の全ての部品を取り除き再利用しました。
 バリコンは再利用しました。
 フェライトバーは取り付けの関係で10φ70mmから10φ60mmに変更しました。
 その為、同調コイルはインダクタンスが不足し、リード部分を巻き足したのでビニル線でリードを付け足しました。
 再生コイルはリード線をビニル線に付け替えました。
 DC/DCコンバータは流用しました。
 ケースは流用したので外観は同じです。


回路図

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回路図

 トランス負荷が抵抗負荷になったので音が小さくなると思ったので殆ど変わりませんでした。
 再生を掛けすぎた時の強烈な発振音が小さくなりました。
 調整時の事故を防ぐ為に必要以上に保護ダイオードが入っています。
 このホームページは自分の作品の記録とメンテナンスが目的ですので記入しています。


製作したラジオ

ラジオ内部

 外観は全く同じですので省略します。
 ST−30Aが2個無くなったのでスペースが空きました。
 消費電流は電池電圧1.5Vの時、100mAでした。
 単3電池1本で連続20〜30時間使えると思います。

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