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 5W+5W パワーアンプ

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 特に必要に迫られているわけではないですがオーディオパワーアンプを製作してみました。
 昔、オーディオアンプアンプ作りに嵌った時期がありました。
 当時はトランジスタ技術などもオーディオアンプの記事が多数掲載されていたので見様見真似で作ったものです。
 そのとき製作した20W+20Wのアンプが手元に残っています。
 回路は当時流行の全段直結OCL純コンプリメンタリーで終段は2SA627と2SD188です。
 このペアは一世を風靡しましたが1987年の規格表では既に保守廃止品種となっています。
 当時、多くの雑誌で掲載されていた半導体ステレオアンプの製作記事も現在は殆ど見られません。
 ベテランが設計した最新の回路も我々凡人の耳では判別できず、100W+100Wといった大出力も家庭では持て余して しまいます。
 1チップのパワーアンプICも出ていますが、ベテランの製作記事にはなりません。
 現在、アンプの記事としては寧ろ管球アンプの方が一般的です。
 家庭用としては3W+3Wもあれば十分ですが管球のシングルアンプなら立派な記事になります。
 電気的な特性ではトランジスタに劣るのですが聴いた感じでは劣った感じはしません。
 回路も簡単でトラブルも少なく調整も楽です。(高電圧に注意すれば)
 ただし、部品が高価で入手困難、重量が重い、発熱が大きい、ヒーター電力が無駄、感電が怖い等の問題があります。
 今回、自宅で使用する目的で5W+5Wのパワーアンプを製作しました。
 回路はゲルマニュームトランジスタを使用した古典的なものです。
 回路的に目新しさはありませんが素人が使うには十分です。


 回路図

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回路図

 回路は全て手持ちのゲルマニュームトランジスタを使用しています。
 (整流ダイオードはシリコン、LEDはガリウム合金です。)
 私はアンプ回路に関しては素人ですので交流的なゲイン、位相補正、フィードバック等は適当というかカットアンドトライ です。
 ゲルマニュームトランジスタは現在、入手困難で特にドライバのコンプリメンタリペアは絶望的です。
 同じ回路を2組作らなければならないのでHFEも揃える必要があります。
 今回使用した2SB22、2SD30はオーディオアンプに興味を持ち始めた頃(何十年も前)に購入した10ペアの内の 2ペアです。
 その後シリコントランジスタに移行したので温存されました。
 コンプリメンタリペアとして購入しただけあってHFEが揃っていて無駄なく使えました。
 他のトランジスタは手持ちに比較的個数のある品種からHFEを測定して選別しました。
 2SB22、2SD30のVcboは25Vです。
 無信号時にはトランジスタに電源電圧の1/2が掛かりますが中点の電圧は大きく振れるので結局、電源電圧は25V程度 に制限されます。
 回路は電源電圧−24Vで考え、動作確認は−24VのCVCC電源で行いました。
 最大出力は電源電圧で決まり(VCC×VCC)/(8×RL)となり、電源電圧24Vでは9Wとなります。
 実際には回路ロス等で、これ以下になります。
 今回は電源電圧24Vで無歪み最大振幅20Vp−pとなりました。
 これはAC電圧7Vとなり8Ω負荷に6W強の電力が発生したことになります。
 この時の電源電流430mA、入力信号100mVでした。
 出力トランジスタの損失は1石あたり最大2Wをイメージしました。


製作したパワーアンプ

出力トランジスタ 回路基板 アンプ内部 アンプ前面 アンプ背面
出力トランジスタ回路基板アンプ内部アンプ前面アンプ背面

 出力トランジスタは2SB474で一般的なパワートランジスタの外形(TC−3、TB−3)より一回り小さく、 Vcbo=35V、ICmax=2A、許容損失はケース温度25度で12Wのものです。
 放熱器はアルミのチャンネルを加工し最大2Wの損失に対処出来るようにします。
 基板はユニバーサル基板を使用しています。
 回路変更による部品交換に耐えるように両面スルーホールのガラスエポキシ基板を使います。
 その際、ゲルマニュームトランジスタに熱ストレスが加わらないようにソケットで交換出来るようにしています。


最大出力

調整ツール ユニット1最大出力 ユニット2最大出力
調整ツールユニット1最大出力ユニット2最大出力

 最初の写真は自作の周波数特性測定装置です。
 1Hz〜10MHzの正弦波を1Hzステップで発生出来る機能とPCのウインドウズアプリと連動して周波数特性を 計測する機能があります。
 ここでは1KHzの正弦波を入力し、レベルを調整して出力が歪む直前の波形をコピーしたものです。
 2枚目の写真ががユニット1のもの、3枚目がユニット2のものです。
 ユニット1とユニット2では大差ありません。
 入力(黄色)と出力(水色)を重ねて表示しています。
 入力は280mVp−p程度、出力は20Vp−p程度です。
 AC100mV入力でAC7.07Vの最大出力を発生したことになります。
 アンプの入力が、これ以上の時はVRを絞る必要があります。
 負荷抵抗8Ωに7.07Vの電圧が発生したので無歪み最大出力は6.25Wとなります。
 ただし、ここではCVCC電源で電源電圧24Vに固定しています。
 実際の電源(トランスの二次電圧を平滑したもの)に接続し2ユニット共最大出力を発生させるとレギュレーションの低下 により5W+5W程度になります。


周波数特性

ユニット1周波数特性 ユニット2周波数特性
ユニット1周波数特性ユニット2周波数特性

 これは周波数特性測定装置でプロットしたアンプの周波数特性です。
 入力レベルは最大出力より少し低い位置です。(適当です。)
 低い周波数でグラフが乱れているのは周波数特性測定装置の問題です。
 低い周波数では測定データの平滑時間が不足してAD変換の値がばらついてしまうためです。
 ユニット1で30KHz超、ユニット2で40KHz超までフラットです。
 高い周波数で出力波形が乱れていますがレベルが小さいし、実際には、このような高い周波数が入力されることは無いので 無視します。
 現在、出力コンデンサーに1000uFが使われていますが470uFで十分だと思います。
 画面コピーはXPのものですがインターネット接続以外の殆どの作業は未だにXPパソコンで行っています。
 周波数特性装置のアプリは98SEのPC上のVC6で作成したものですが64bitのWindows10で動作することを 確認しています。


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