昔、半導体は金属のケースに入っていてガラスで封止されていましたが、シリコントランジスタが登場するようになってから
プラスチックパッケージ(レジンモールド)のトランジスタが出始めました。
最初は汎用の小信号トランジスタだけで、高性能トランジスタやパワートランジスタは相変わらず金属製のケースに
入っていました。
当時、プラスチックパッケージは吸湿して、すぐに壊れるという噂が流れていました。
私も趣味でトランジスタを購入するときは、多少高くても金属製ケース(ハーメチックシール)のものを選んでいました。
メーカーも自信が無かったのか技術が無かったのか、当分の間、高級品種?はハーメチックシールのままでした。
月日は流れ、プラスチックパッケージの耐久性に問題が無いことが判った為か、最近のトランジスタは殆どの製品が
プラスチックパッケージになってしまいました。
半導体も集積化され、個別部品は減り、多ピンで小型のプラスチックパッケージになり、製品の低価格化に貢献しています。
部品の集積された基板のサイズも、ぐっと小さくなり、安っぽく見えます。
コストも下げられているので、品質は落ちているかもしれませんが、回路技術やソフトウエアは進歩し続けています。
仕上げの良いハーメチックシールの半導体はコレクションしても懐かしいですが、プラスチックでは何となく興味が
削がれます。
ただ、ハーメチックシールでもメッキ処理の悪いものは表面が腐食して、文字が判別出来なくなっているものもあります。
これは小型の金属パッケージトランジスター用の放熱アクセサリーです。
ちょっと無理させて使う時、取り付けて使用しました。
最近のプラスチックパッケージでは、このような事は出来ません。
2SC814は金属パッケージのように見えますが、単にプラスチックパッケージの汎用トランジスタにアルミを巻き付けた構造
になっています。
こんなに手を掛けて、コレクタ損失は400mW程度です。(ネジで大きな放熱器に固定すれば、
もう少し増えるかもしれません。)
何を思ったのか、私はこのトランジスタを沢山、買い込みました。(かなり昔の話です。)
ただし、場所を取るので使いづらく、一度も使ったことがありません。
現在ではトランジスタにソケットは使いませんが、昔は高価なトランジスタを大事に使うためか、トランジスタ用の
ソケットがありました。
写真は小型のパワートランジスタ用のソケットですが、小信号用トランジスタのソケットも見たことがあります。
これは何十年も前に購入したフォトトランジスタで、結構、高価でした。
現在では錆びたり腐食したりして使い物になりません。
ガラス窓も黄ばんで曇っているように見えます。
こうなるとハーメチックシールが長持ちするとも言えません。
最初に購入したプラスチックパッケージの国産トランジスタは2SC372だったと思います。
最近のプラスチックパッケージの形状は皆、蒲鉾型ですが、当時の2SC372は蒲鉾の底に円盤が付いたような形状
でした。
2SC372は当時の標準トランジスタとして結構、長期間製造されたようで、末期の形状は単なる蒲鉾型に簡略化された
という噂を聞いたことがありますが、真偽は確認していません。
現在のトランジスタは形状が皆同じで、コレクションの意欲が湧きません。
写真のトランジスタは外国製と思われますが、足が金メッキ、白と黒のツートーンで結構、美しいです。
白の部分はプラスチックでは無く、セラミックかもしれません。
当時、私は見た目でトランジスタを選んでいたようです。
データくらいは貰ったと思いますが、今となっては何のトランジスタか、さっぱり判りません。
一般的に言って、足が金メッキされているものは他の部分も作りが良く、持ちが良いようです。