先日、大井川鉄道の終点である井川ダムまで乗車しました。
終点の井川ダムが特別な観光地と言うわけでもないので、目的は鉄道に乗車すること、そのものにあります。
家から単に井川ダムに行くなら、車で行った方が早いかもしれません。
私が大井川鉄道で井川に行くのは、若い頃、一度行ったかどうかで、記憶がありません。
その後、車で行った事は何回かあります。
一度、終点まで乗車してみたいと思っていましたが、やっと実現出来ました。
JR東海道本線の金谷駅から大井川に沿って遡る、ローカル鉄道です。
SLの運転をしている事で知られています。
金谷から千頭まで39.5Kmを「本線」と呼び、SLはこの区間で運転されます。
線路幅は在来線と同じ狭軌で、通常サイズの車両を使用しています。
千頭から井川ダムまでの25.5Kmを「井川線」と呼びます。
線路幅は同じ狭軌ですが、建築限界寸法が極端に小さく定められている為、車両サイズは、ずっと小さくなります。
何年か前、長島ダムが出来たとき、一部の路線が水没することになりました。
その際、変更した新しいルートで90/1000という急勾配が発生し、この短い区間のみ、アブト式の電気機関車を接続します。
この勾配は日本の鉄道で最も大きく、アブト式が採用されているのも、日本でここだけです。
ホームに電気機関車と蒸気機関車が並んでいます。
写真の奥手の方向が金谷方向となります。
金谷に向かって大井川を下るのですが、鉄道的には「上り」となります。
蒸気機関車の運行は季節、曜日によって異なるようですが、通常1日1往復程度運行されている様です。
蒸気機関車だけではパワー不足の時、電気機関車を補助的(実際はメイン?)に使っている様です。
貨物列車を不定期に運行しているかどうかは知りませんが、あるとすれば電気機関車を使うはずです。
通常のダイヤは右手に見えるオレンジと紺の電車で運行されます。
2両編成ですがワンマンですので先頭車両の前よりに座るのが、降りる際に便利です。
井川線のホームは大井川本線ホームの隣にあります。
写真の手前方向が井川方面となります。(奥手方向は行き止まり)
線路幅は本線と同じですが、車両サイズはずっと小さくなります。
先頭車両は井川方面に上る(鉄道的には下り)時の運転席になりますが、この車両には動力は無く、最後尾にディーゼル機関車
を接続して、押し上げる形となります。
短いアブト区間のみ電気機関車を接続します。
写真は千頭に向かう上り列車に電気機関車を接続する作業を写したものです。
鉄道的には上り列車ですが、地形的には急勾配を下る形になります。
列車が急勾配を滑り落ちてしまわないように支えながら、ゆっくり降りることになります。
逆に井川に向かう下り列車では、下流の駅で電気機関車を接続します。
この時は、最後尾に機関車を接続して急勾配を押し上げる形になります。
アブト式は2本のレールの中央に歯の付いたレールを敷き、これに機関車の駆動歯車を噛み合わせます。
従って、急勾配でもスリップしません。
写真は後のミニ列車を支えながら急勾配を下る機関車を写したものです。
アブト式になってから、まだ年月が経っていないので、機関車は新しいです。
機関車はミニ列車より背が高いのですが、アブト区間は短く、この間だけトンネルも大きく造られています。
窓から見える新緑も美しく、景色も最高です。
紅葉のシーズンも楽しめると思います。